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110話 イベントも終盤

 無事に神聖樹を復活させて村に戻って来た俺たちは、少し休憩した後にジークフリードやスケガワと共に今後の事を相談していた。


 まあ、俺はおまけと言うか、話を聞いていて時おり相槌を打つだけだけどね。


 今は、スケガワが打った武器を皆でチェックしている所だ。


「これがあのインゴットを混ぜて作った杖だ」


 インゴット1つでは大き目の武器を作ることが難しいらしく、銅のカッパーインゴットと混ぜて作ったらしい。



名称:守護獣の杖のレプリカ

レア度:4 品質:★5 耐久:150

効果:攻撃力+8、魔法力+27、大悪魔グラシャラボラス及び、その眷属に対し、与ダメージ+66%。

重量:2



「造形は特にいじらず、デフォルトにしておいた」


 言われてみると、ボーナスを選ぶ時に見た守護獣の杖の形にそっくりだな。ただ、能力は微妙に下がってしまっているな。



名称:守護獣の杖

レア度:4 品質:★10 耐久:200

効果:攻撃力+10、魔法力+30、大悪魔グラシャラボラス及び、その眷属に対し、与ダメージ+100%。

重量:3



 特に、グラシャラボラスの眷属に対する与ダメージ+100%性能が66%に下がってしまっている。これは大きいんじゃないか?


 普通に守護獣装備を貰って来た方がよかったかもしれん。だが、コクテンたちは全然違う感想を持った様だった。試作品の剣をチェックしながら唸っている。


「期待以上の性能だな!」

「数を揃えたら、普通に守護獣武器を手に入れるよりもいいんじゃないか?」

「1度作って勝手も分かったから、品質は1つか2つは上げられると思う」


 スケガワとしては鍛冶師のこだわりとして、混ぜる物をカッパーインゴット以外にしたいらしい。なので、次に作るまでにプレイヤーから素材を集めるつもりなんだとか。


「俺の持ち出しでも良いんだが、アイアンとブロンズは、全部に使える程の量が無いんだよな。出来れば錫鉱石辺りを持ってるプレイヤーから買い取りたいところだな」

「錫? 錫鉱石が必要なのか?」


 錫鉱石なら少し持ってる。と言うか、2つ目の神聖樹につながる洞窟の採掘ポイントから普通に入手できたんだけど。それを教えたら、スケガワが考え込んでいる。


「そうか……。やはり、あの樹海は第4エリアと同レベルの場所になっているのかもな」


 錫鉱石は第4エリアに採掘できるポイントがあるようだ。そのままでは銅よりも弱い雑魚金属なのだが、銅と混ぜると青銅に変化し、強度が上昇するらしい。


「鍛冶師仲間を連れてちょいと採掘してくる」

「護衛も付けよう」

「頼むよ! ふっふっふ、腕が鳴るぜ!」


 錫にそんな使い方があったとは。銅鉱石は川で採掘できるし、イベントが終わったら青銅装備でも何か作ってみるかね? 


 居てもたってもいられず、鉱石の採掘に向かったスケガワが抜けて、次に探索の話に移った。マップを見ながら、グラシャラボラスの居場所がどこなのか相談している。


「じゃあ、神聖樹の周辺に、あの黒い靄に包まれたモンスターは出現しなくなったんですね?」

「僕が確認した限り、出現しなかったね」

「1本目の神聖樹の周辺では完全に姿を見せなくなったわ」

「2本目の神聖樹があった樹海周辺で戦闘をしてたパーティも黒モンスターがいなくなったと報告して来たよ。中には、目の前で靄が消えて、普通のモンスターに戻った瞬間を目撃したパーティもいたみたいだ」

「やっぱりあの黒い靄は中ボスたちが広めていたってことでしょうか? 白銀さんはどう思います?」

「まあ、そうなんじゃないか?」

「ですよね」


 そもそもサーバーのトッププレイヤーたちと俺が、一緒に会議をしているのがおかしいんだよ。重要な情報を入手したのは運が良かったからだし、もう観光とかNPCとの交流みたいなのんびりモードに戻りたい。


 だって、トッププレイヤーたちの話してる内容が恐ろしいんですもの。


「ただ、この辺にはまだ黒い靄を纏ったモンスターが出現するようだよ?」

「あ~、村から一番離れたエリアね」

「そこは完全に第4エリア相当の敵しかでないから、ほとんど探索の手が入っていない場所だね」

「だが、何かがあるんじゃないですか?」

「そうだね。例のグラシャラボラスがそこに居る可能性があるかもしれない」

「じゃあ、死に戻り覚悟で強行偵察をした方がいいかしらね~」


 第4エリア並の敵がうようよ居る場所に突っ込むって、俺なんかマジで瞬殺だ。その手前の樹海でさえ死にかけてたんだから。


「白銀さんはどうします?」

「いや、どうするって……。そんな危険な場所には行けないぞ? あとは任せるさ」

「えー! 一緒に行こうよ!」

「2本の神聖樹に関しては白銀さんの尽力が大きかったし、今回も協力を得られたら心強いんですが……」


 マルカは絶対にクママと一緒にいたいだけだろう! コクテンも勘弁してくれ。


「いやいや、足手まといになるだけだって!」

「私は気にしないよ! それに、白銀さんもボス戦とかでレベル上がったって喜んでたじゃない! 今回は敵がもっと強いから、きっとレベルも上がるよ?」


 確かに中ボス戦では全員が1つずつ、樹海戦では俺が2つに、モンス達が1つずつレベルアップ出来たし、リターンも大きかった。だが、俺は元々はハイリスクハイリターンのギャンブルプレイヤーではなく、ローリスクローリターンのまったり系プレイヤーなのだ。


 俺は、また神聖樹の復活の様な、農業系技能が必要になったら声をかけてくれと伝えて、さっさと逃げだすことにした。


 あのままマルカと話してたら、クママ欲のままに俺たちを同行者に引っ張り込もうとする彼女の勢いに負けて、一緒に行くことを承諾してしまいそうだったからね。


「よし、ようやくゆっくりと釣りをする時間が取れそうだな! いくぞみんな! イベントは今日で5日目だし、あと3日しかないんだからな!」

「ムー!」


 オルト達は普通に俺の前を走り出すが、クママだけは前足を振ってアピールしている。


「もしかして、素手で魚を狙うつもりか?」

「クマ!」


 あの川結構深かったと思うぞ? まあ、やる気なら止めないけど。熊だしね。


「うん、頑張れ?」

「クマクマー!」


 そんなやり取りをしていたら、周囲が妙に騒がしいのに気が付いた。プレイヤーたちもNPCたちも、同じ方向を指差して驚きの声を上げている。


「何が――って! なんじゃありゃぁ!」


 なんと、森のさらに先。遥か遠くに黒い柱の様な物が立ち昇っているのが見えた。高さは森の木々の10倍近いんじゃなかろうか? その黒い柱は表面がユラユラと揺れ動き、何やら不定形の物で形作られていると分かる。


「あの柱、黒い霧みたいなもので出来てるよな……。絶対にイベントに関係あるだろ。うーん、大人しく釣りは出来そうもないな~」



次回は9日更新です。


お正月、病院に行けずに突き指を放っておいたら微妙に治って来ました。

まだ痛いんですが、今更病院に行くのも悔しいという……。

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