表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世の中は意外と魔術で何とかなる  作者: ものまねの実
31/456

あの橋渡るこたーない

チェックポイントを目指して平原の中に延びる街道を走り続けると、やがて見えてきたのは木で出来た簡易の関所のような門のようなもので、どうやらここで通過する者を確認するようだ。

若干スピードを落として近付くと、何人かの男性が門の脇に置かれた椅子に座っており、手に持っている板状のものに通過者を記録していくスタイルのようだ。


俺の接近に気付いていたのだろうが、近付いてくると馬ではない姿に面食らっているようで、しげしげと俺の方を観察していて、本来は何かを書き込むであろう作業を怠っている姿に少し気になってバイクを彼らに寄せて停まった。

「あっと、どうした?何か問題か?馬なら水や餌は用意できるが……まさか、これ馬なのか?」

俺の接近に正気に戻った一人がそう声をかけてきたが、その傍にいた人たちも気を取り直していたので、俺の通過は記録されると思われるので心配はないだろう。


「いえ、これは馬ではないので必要ありませんよ。少し聞いておきたいことがありまして。俺の前に通過者はいますか?」

まあこれは無いとは思うが念の為に聞いておこうと思っていたのだが、思いもよらない答えが返ってきた。

「一人いるな。ガイトゥナに乗った奴で確かえーと……あぁ、オーゼルだな」

手元のリストを確認して名前が出てきたのだろう。

参加者の中でガイトゥナに乗っていたのは一人だけだ。

ということは優勝候補と睨んでいた奴が俺よりも先にチェックポイントを抜けたということか。

俺自身は結構無茶をしてあの川を渡ってショートカットして来たのだが、一体どうやって俺よりも先に行けたのだろうか。


「随分早いですね。俺も結構急いできたつもりなんですけど、どうやったんでしょう?」

答えが出るわけもなく、一応男性に聞いてみたところ、一か所だけショートカットが出来そうな場所があるらしい。

「多分、昔の橋脚跡を利用して川を渡ったんだろう。ガイトゥナなら飛び越せるくらいの間隔の足場が点在してるはずだ」

「へぇー、そりゃ随分と頑張ったもんですねぇ」

俺が渡ってきた場所より少し下ることになるが、それでも通常のルートよりも大分手前で川を渡れる場所らしく、川の中に点在する足場はガイトゥナであれば鳥の羽ばたきと跳躍力で辛うじて飛び移れるのではないかという所だそうだ。

それでも渡り切れるかどうかは半々ぐらいと見られるとか。


なるほど、どうやら俺と似たようなことを考えていたようで、あちらは俺とは違いちゃんとガイトゥナの騎乗の技術を駆使して渡った為、なんだか俺の方がズルをした気分だ。

まあ実際橋を作って渡るのをまともな手段だったとは思っていないが。

とりあえず先行して進む相手がいることが分かっただけでも収穫だと思い、その場に別れを告げ走り去った。


地図によるとこの先で通過すべきチェックポイントはあと1か所だけで、全速で飛ばせばガイトゥナには追いつけるだろうが、それをするとバイクの魔力が底を尽く可能性が出てくるので、巡航速度での移動となる。

それでも馬に比べれば相当早いと思われるのだが、あのガイトゥナの速度がどれくらいの物かわからない以上は安心できる要素にはならない。

進み続けるうちに、何もない平原から木々が目立つ林の中に続く道へと景色が変わりつつある。


未だ先を行くガイトゥナには追いつけずにいるのだが、もうじきチェックポイントについてしまう。

まるで蜃気楼を追うかのような先の見えない追跡劇に焦りが出てきた時、ようやく前方に砂塵を見つけた。

石畳が敷かれた街道を走ってもあまり砂埃が舞うことは無いので、その横の固められた土の部分を走っているようだ。

恐らく馬と違い、蹄鉄の付けられていないガイトゥナの足に対する負担を考慮してのことだろう。


僅かずつではあるが差が縮まり始めると、相手も俺の存在に気付いた様で、ローブのフードに包まれた顔が一瞬こちらを振り向くと、僅かに覗く口元が驚いたような形に歪められたのが分かった。

まさかこんなに早く追いつかれるとは思っていなかったというところか。

ようやく横に並べる位置に付き、走りながらオーゼルの方を窺う。

全身がローブで包まれているために全貌は計り知れないが、それでもこれだけ近付けばある程度の相手の情報は分かるもので、なんと驚いたことにオーゼルは女性だった。

風にあおられたフードから幾分か顔が顕わになると、見えて来たその肌は透き通るような白さで、目元に垂れる髪は紫色に近い銀髪のようだ。

サファイアの如き透明感のある青い瞳は吸い込まれそうなほどに美しい。


「これは…?変な物に…子供?」

「え、女?まじか」

「む!私が女であることに何か文句でも?」

「あぁいえ、そんなことは…」

こんなレースに参加するぐらいだ、どんな荒くれ者かと思っていたのが、こんな美女だとは予想だにしなかった。


相手も俺のバイクの異形さとそれを操る子供の姿に困惑と驚愕の入り混じった眼をしていたが、レースに集中するために前だけを向いて走り続けた。

暫く林の中の道を走ったのだが、思ったよりも左右への蛇行が多く、バイクではカーブでの減速がどうしても発生してしまうため、走りの切り返しが得意なガイトゥナに少しずつ離され始めた。


ようやく林を抜けると、すぐにチェックポイントが目に入り、平原にポツンと立っている門をめがけて俺達は一直線に駆け出していく。

直線距離ではバイクにやはり分があり、林で付けられていた差もグングン縮まり、遂に抜くことが出来た。

そのままの速度を維持して門を抜け、あとはゴールのジネアの町の北門を目指すだけだ。

地図を見ると街道は町との間にある岩山を避けて大きく西側に曲がった造りとなっており、街道を駆け抜けるのが一番の近道だと考える。


走り続けて10分ほど経っただろうか。

街道の先にあった岩山の切れ間からジネアの町の外壁が見え始めた。

この先の川に掛けられた橋を抜けて北門に飛び込めば俺の優勝が決まる。

そう思っていた。


街道の右手側には岩山があるのだが、今覗いている切れ端は高さのある段々になっており、バイクや馬の脚では降りることは出来ない。

だが、それ以外ならどうだろうか。

一つだけこの条件をクリアできる存在がこのレースにはいた。

ある程度の高さから落下しても減速でき、かつ着地の衝撃を逃がせる構造を持った強靭な脚のある生き物。

そう、ガイトゥナである。


今まさにその崖と言っていい山肌からガイトゥナが飛び出してきた。

「うっそだろっ、崖だぞ!?」

俺のはるか前方に羽ばたきながら鳥類独特のあの脚の形を器用に畳むようにして着地し、衝撃を見事に散らしたガイトゥナは何事もなかったように走行に移った。

相手の着地した場所が良すぎたため、恐らく俺が橋に差し掛かる頃にはガイトゥナは渡り切ってしまい、ゴールまでにはギリギリ追いつけるかどうかといったところか。


正直、相手の方が一枚上手だったとしか言えない。

ショートカットが出来るとは思っていなかった岩山を何の躊躇もなく登って飛び降りるという彼女の胆力にも驚かされた。

もはや逆転の手は無いのかとあきらめかけていたのだが、不意に目に映った物に思わず笑みが浮かぶ。

普段は川で漁をしている人の物と思われる小舟が川岸にロープ一本だけで係留されていた。


今目指す橋は町の北側にあるため、渡った後はまだ門まで距離があるため、すぐに南を目指して走り抜けぬけねばならない。

だが船を使えば川の流れは南に向かっているため、斜めに南下する形で舵を切ると渡河と同時にジネアの町のすぐ近くへと辿り付ける。

もちろん普通に舟を漕いでいてはガイトゥナの方がはるかに早く付いてしまう。

そこで役に立つのが魔術だ。


早速小舟のある岸辺を目指してハンドルを切り、滑り込むようにバイクごと舟へと乗り上げる。

ロープを解いて舟を出すと同時に、水魔術で水流を操作する。

川の流れに逆らわず、斜めに横切る様に水をジェットのように後方へと噴出しながら舟を動かす。

徐々に加速していき、最高速に乗った時点で川の中ほどへと至っており、ガイトゥナはというとようやく橋を渡り切ろうかという所だった。


俺の取った行動の意外性が強烈すぎたのか、焦りが出たようでガイトゥナの速度が上がったのだがもう遅い。

既に対岸に舟の舳先が付いており、バイクで街道へと一気に飛び出した。

「あ~ば~よ~とっつぁ…っとと、お嬢さ~ん」

跳ね上がるようにして岸を後にし、捨て台詞を残して後方にいるガイトゥナを置き去りにジネアの町へと入っていった。


ゴールである門を潜ると歓声に迎えられ、道の脇に並んだ人たちから拍手を浴びせられながら広場へと向かった。

「アンディ!すげーよ!ほんとに優勝しちまった!」

人混みから飛び出してきたシペアが飛び付くようにしてバイクにしがみ付き、興奮と感動で半泣き状態だ。

ユックリと広場に進入し、適当な場所にバイクを停めてからしがみ付いているシペアをバイクから剥がしていく。


「とりあえずこれでお前が優勝したことになった。あとはザルモスから全部取り戻して来い」

涙で顔をグシャグシャにしていたシペアは俺の言葉に何度も頷き、早速ザルモスを探して走り出した。

俺の役目も終わりだと思ってバイクに身を預けていると、ゴールの方向からまた歓声が上がった。

どうやら2位が着いたようで、拍手が徐々に広場に向かって大きくなっているのがわかる。


現れたのはやはりガイトゥナに乗ったオーゼルだった。

既に到着していた俺に気付くと近付いてきて、鞍から身を翻すようにして降りてきた。

俺の目の前に着地したオーゼルは意外と身長があり、170センチを軽く超えているのではないだろうか。

「全く、あんな方法で抜かされるとは思いませんでしたわ。私はオーゼル、よろしければあなたの名前を聞かせて頂けても?それとできればあの乗り物に関することも」

オーゼルから飛び出してきたお嬢様言葉に若干の衝撃を覚えたが、名乗られた以上は返さなければ礼儀に反する。

「これはご丁寧に。俺はアンディ、黒1級の冒険者です。あれはバイクという走る魔道具です」


「走る魔道具なんて初めて聞きましたわ。ふ~ん、こんなものがあれだけの速さで駆けるなんて、面白いものですわね」

やはり自分に勝った相手の乗り物に興味があったようで、唸ったり感心したりしてバイクの周りを歩いて観察していたオーゼルだったが、それを見て嫉妬したのか、ガイトゥナがオーゼルに顔を寄せて胸元に頬ずりをしだした。

「きゃっ、どうしたのジェクト、急に甘えだして。はいはい、ここ撫でて欲しいのでしょう」

オーゼルの顔の方へと顎の下を見せるようにしたガイトゥナ、ジェクトの催促に応じてオーゼルが顎の下を撫でる姿は中々絵になる物で、目を細めて気持ちよさそうにしているジェクトと柔らかい笑みを浮かべているオーゼルの存在にその場の空気が和やかなものになった。


「ふざけるな!こんなレースは無効に決まってるだろう!」

突然響いた罵倒に広場の視線は一斉に声の発生源へと向かう。

そこではレースの運営側の人間と思われる数人の男性に詰め寄っているザルモスの姿があった。

ザルモスの顔には焦りのようなものが浮かんでいるが、対して罵倒を受けている側は冷めた目でザルモスを見ている。

「ザルモスさん、このレースには何も問題は無いんです。無効にする理由もありません」

「なんでだ!あんな訳の分からんものでレースに出て問題は無いってのか!」


どうやらザルモスは俺の勝ちに納得がいっていないようで、そのことについて運営側に申し立てをしているようだが、恐らく却下されて終わるだろう。

全く持って往生際の悪い奴だ。

勝ちは勝ちなんだから素直にシペアに渡すものを渡せばいいものを。


まだギャーギャー騒ぐザルモスに段々周りの空気も険悪になっていく。

ザルモスは住民たちの誇りである町のレースにケチをつけているのだ。

既に周りから向けられる目には非難の色が混じっているのも少なくない。

それを察した運営の男性もザルモスの口を閉じるために強い口調で言い放つ。

「そもそも!このレースではどんな物に乗って参加しても一向に構わないというのが大前提にあるんです。騎乗したものに文句があるから無効にというのはありえません!」


キッパリと言われるとザルモスは歯を食いしばって悔し気にしているが、俺はなぜ奴がそこまでシペアを自由にするのを嫌うのか気になり、少し考えてみた。


借金のかたに手に入れた厩舎を世話する人手が惜しいから?

いや馬の管理の手間を考えると確かにシペアはいた方がいいが、別にこだわる理由にならない。

ならシペアに何かがあるのだろうか。

だがシペア自身は特に何か変わった所があるわけでもなく、ただの子供である以上はあまり価値があるわけでもない。


となると残るは亡くなったシペアの父親に要因が?

亡くなった父親の何かが原因でシペアが狙われるというのも少し想像が出来ないな。

それを探るためにもまずはシペアに合流して話を聞かねばならない。

広場を飛び出しシペアを探すと、向こうも俺を探していたようですぐに見つかった。


「アンディ!ザルモスがどこにもいなくて!」

「奴なら広場にいるから心配するな。それよりも少し聞きたいことがあるんだが」

ザルモスを見つけられず焦っていたシペアを落ち着かせ、俺の気になっていたことを聞いていく。

質問の意図がよくわからない様子のシペアだったが、素直に答えてくれたため俺の推理の裏付けがドンドンと出来上がっていき、今回の騒動の大凡の裏がわかってきた。


「なるほど、そういうことか…。シペア、広場に行くぞ。丁度人も大勢いることだし、ザルモスのやったことを白日の下に晒せるかもしれないぞ」

それだけ言うと今来た道を戻って広場へと急いだ。

「ザルモスのやったことって―あ、ちょっと待ってよ!走るのが速いって!」

後ろからシペアの非難の声が聞こえるが待ってられない。

とにかく今はザルモスの罪を暴くのが優先だ。


「あの小僧の優勝でいいから、シペアの代理は無効にしてくれればそれでいいからよぉ!」

まだ食い下がり続けるザルモスだが、流石に運営側もうんざりしだしてきたようで、主張の一部を受け入れて早々に引き下がってもらうつもりのようだ。

このままではザルモスに益が残ってしまう結果になってしまいかねない。

そうは問屋が卸さない、ということで早速ザルモスたちを囲んでいる人の輪から飛び出して騒ぎの中心へと乗り込んだ。


「おっと、それでは困るんですよ、ザルモスさん」

突然現れた人物に中心にいた人たちは一瞬眉をしかめたが、その存在が俺だと気付くとすぐに安心する者と緊張する者に分かれた。

もちろん、ザルモスが緊張する側だ。


「テメェは…、シペアの代理の小僧か。何の用だ」

苦々しい顔を隠さずにそういうザルモスに、俺は早速本題をきり出す。

「いやね、なにやら俺の優勝に関して含むものがおありの様でしたので、交渉次第では優勝を辞退というのも考えてますが、どうでしょう?」

「…なんだと?」

突然の俺の提案に、ザルモスを含めて周りで聞いていた者たちにもザワリとどよめきが走る。


それに最も驚いたのはたった今俺に続いて広場に入ってきたシペアだ。

息を切らせて下を向いていた顔を勢いよく起こし、猛烈な抗議をし出した。

「おいアンディ!いきなり何言ってんだ!辞退なんかしたら俺の―」

「私に勝ちを譲るつもりかしら?屈辱の借りを科そうなど、到底受け入れられたものではなくてよ」

シペアの声に混ざってオーゼルの不機嫌そうな声も聞こえてきたため、2人には手で軽く制しておき、話を続ける。


「いかがです?ザルモスさんと運営の方が納得していただければの話ですが」

「まあ、内容次第によっちゃあ受け入れてもいいぜ」

ザルモスは自分の交渉力と真の狙いを悟らせないことに自信があるようで、前向きに交渉をする気でいる。

一方運営側はというと、小声で何かを話し合っており、少し時間がかかったが、結論は出たようだ。

「辞退するかどうかは完全に個人の意思です。なので我々は止めることも勧める事も出来ませんので、お2人で話し合ってください」

そう言って一歩下がった男達によって、今この場には俺とザルモスの2人だけで交渉が行われることとなった。


「では、まずこちらから条件を言いましょう。辞退の対価として、ザルモスさんの所有する、土地や資産といったものの4割をこちらに渡して頂きたい」

またもザワザワとどよめきが起こり始めた。

町の連中もザルモスが金貸しの真似事をして手にした財をそれとなく知っていたために起きたどよめきだろう。

「バカ言え、4割もやれるか。優勝賞金の300万ルパに色を付けてやるのがせいぜいだろ。それで手を打てや」

流石に俺も吹っ掛けすぎたと思うが、当然全部貰えるとは思っていなかったのでこの結果は予想できている。


「そうですかねぇ。優勝の栄誉の価値はそれぐらいあると俺は思ってるんですが。…まあいいでしょう。それなら俺に土地を一つもらえませんか。小さいのでいいんですよ」

少し困った風に言って今度はグッと価値の低いものを要求する。

そうすると先に要求された高価なものに比べてハードルが下がるため、惜しくなくなってしまう。

心理学でいう所のアンカリングというやつだ。


「ふん、まあそれぐらいならいいだろう」

案の定、簡単に手放すことを約束してしまい、俺の狙い通りに事が運ぶことに笑みが浮かんでしまう。

「なら地図のこの、一角を頂きます。ここの管理はザルモスさんが行っているので、俺に譲渡する旨を宣言していただくだけで、ここにいる皆さんが証人になるでしょう」

そう言って手に持っていた地図の一角を指さしてみせると、先ほどまで上機嫌だったザルモスの顔色が変わり、何かを言おうと口を開いたが、周りから集まっている目線に気付き、すぐに口を閉じ直した。


俺がザルモスから貰おうとしている土地は実はシペアの父親が生前所有していた放牧地だった場所だ。

ジネアの町から東に少し行った場所にあり、そこそこ頑丈な柵で囲まれた場所は馬や牛といった動物たちを好きに遊ばせることができる広さはあるが、放牧地としての規模は小さい部類だ。

そんな場所をレースの優勝を辞退してまで欲しがるとは普通は思わないため、全く予想だにしていなかったザルモスは動揺を隠せていない。


「ザルモスさん、もういいでしょう。いい加減お互い腹を割って話しませんか」

そろそろ頃合いだと判断した俺はザルモスの真意を暴く行動に出る。

「なにを、話すことがある…」

ようやく絞り出せたといった感じでそう口にするのが精いっぱいの様で、これから俺が話すことが気になってはいるようだ。

ここで俺から切り出すのはザルモスが独占しようとしてひた隠しにしてきたものの存在だ。


「さっきの地図の場所、あそこの地下にある遺跡についてですよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] レースの結果が談合でどうにかなるわけがないでしょう。少しデタラメが過ぎる。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ