また買ってしまった
見事に脱色して茶色くなった髪をした元勇者のユウトを奴隷商の元へと連れて行く。
「ようこそおいで下さいました。本日は奴隷の購入をご希望でしょうか」
「あぁ、いや、今日はこいつの登録をしてもらおうと思ってな。一番軽い契約でいいから」
「そうでしたか、そちらのような綺麗な奴隷をお持ちなのに失言でした。少し歳はいってますが、売っていただけるのでしたら高値で買い取らせていただきますよ。それにそちらのドドも元気になったようで、もったいないことをしました」
「カルファ、褒められたぞよかったな。だがまぁ、だが本人が離れたいと言わない限り売るつもりはないから。それとこいつは今はドドなんてださい名前じゃなくフィラという名前をつけたから、よろしく」
挨拶が終わり、別室にて契約の魔法使いの元でユウトの奴隷契約の準備をしているところに、外から騒ぎ声が聞こえてきた。
「なにかあったのか?」
「申し訳ございませんが、少し失礼してよろしいでしょうか」
「ああ」
奴隷商は申し訳そうな顔をしながら、すぐに戻ってきた。
「勝手なお願いではございますが、先に1件奴隷契約をさせていただきたいのですが大丈夫でしょうか」
「急いでいるわけではないので、別にかまわないぞ」
「お許しがでたぞ、さっさと連れて来い」
奴隷商の言葉を聞いて、殴られたのか顔を腫らしたごつそうな男が猿轡をかませた女を羽交い絞めにして連れてきた。
「むぐ、むぐ、むぐぅ」
首に輪をはめ、魔術師が契約魔法を唱えるとジタバタ暴れていた女がおとなしくなる。
「ご主人様、あの人は」
「あぁ、フィラ、思い出したくはないが、そうだろう」
「もしかして、お知り合いでございましたか?」
「いや、知り合いというほどではない。一度会ったことがあるだけだ」
「そうでしたか。この女は盗人ということで捕まり、奴隷として私どもが扱うことになったのです。なんでも、高価な絹の下着を店に売りにいき、偶々居合わせたお客の金持ちにその場で履いていた下着を脱いで渡したんだそうです……それでその男が家に帰り、隠し持っていた下着が妻に見つかり大騒ぎ、なんと買った下着は奥さんの持ち物で、以前他の町に出かけた際に道中で盗賊に奪われた荷物に入っていたものだったそうです。そのため、下着を売ったこの女は盗賊ということがばれ、捕まったという次第でございます。この女をお買い上げになりますか?」
抜け目のない女盗賊だと思っていたが、ただの馬鹿だったか。
「いや、いらん。それよりこっちの登録をはやく頼む」
「むぐ、むぐ、ぷはぁ。薄情者~、あたしとあんたの仲じゃないか。助けると思って、ねっ」
口だけで器用に猿轡を外し話かけてきた。
「そんなこといっても、いらんものはいらん。いや、お前は確か……ちょっと耳を貸せ」
奴隷商の許可を貰い、女盗賊に耳打ちをする。
「どうせ金目の物を隠し持ってたりしてるだろ。お前の購入代金をその金で払えば、俺が奴隷の主人となってやってもいい。たぶん他のやつらよりはまともに扱ってやると思うぞ」
「この、鬼ー、悪魔ー」
「そうだな、5年間俺の元で仕えたら、奴隷の身分から解放してやってもいい」
「えっ、まじ? その話のった~」
他のやつらもある程度したら奴隷から解放も考えてもいいかもしれないか。
「すみません、トイレいってもいいですかー?」
トイレから戻ってきた女盗賊が俺に小さな宝石4つを渡そうとしていたので、カルファに受け取らせていたおいた。
なんか触りたくない。
「おい、商人、こいつ買うことにしたが、いくらだ?」
「金貨1枚と銀貨50枚でいかがでしょうか」
「随分とぼったくるんだな」
「いえいえ、そんなことはございません。くしゃくしゃになっているとはいえ、この赤い髪も梳かせば綺麗になるでしょうし、顔だって平均よりはずっと上です。胸はそれほど大きくはないものの、そういうのが好みのかたもいらっしゃいますし、このくらいの金額が妥当なとこでしょう」
「はぁ、わかった…… そのかわり、そうだな、3日間でいいから奴隷としての躾をしておいてくれ。以前買った盗賊はその辺がまったくダメで、勝手し放題だぞ」
「さようでしたか、確かにあの時の盗賊も犯罪奴隷として兵士から引き渡されてすぐに、躾も何もしてないうちにお買い上げになられたのでしたよね。3日とは通常より大分短いですが、できるだけのことはやってみます」
「それじゃぁ、3日後に引き取りにくるからな」
「そんなー、酷い~~」
随分疲れることがあったが、無事ユウトの登録も済ませ奴隷商の館を後にした。
「ご主人様、ほんとによかったのですか?」
「フィラの心配ももっともだが、あいつは自分の代金を自分で払ったんだ、損はないだろ」
「それより、カルファに渡した宝石はばっちいから、すぐ手放したい。というわけでフィラとカルファとユウトはそれを売りにいってきてくれ。小遣いもやるから、その後ゆっくり楽しんでくるといい。宿は前と同じところにとっておくから、夜までに戻ってくればいいからな。それじゃぁ頼んだぞ」
「ですが、この宝石では代金には全然足りないと思いますが、よかったのですか?」
カルファ、そういうことは早く言ってくれよ。いや、まぁ誰にも相談しないで決めたんだけどね。
「あ、あぁ、まぁ、なんだ、その分こき使ってやるとするさ。俺は宿に行くから後は頼む」
「はい」×3
今までひとり暮らしだったのが、こちらに来てからずっと誰かと一緒にいる。それも悪くはないが、たまにはひとりでゆっくりするのも悪くない。
そんな気分だったこともあり、宿ではひとり部屋、3人部屋、5人部屋の3つをとり、個室でゆっくりとアイテムBOXの整理をしながらその日は夜までくつろいで過ごした。




