仕入れその2
後半少しえっちな描写があります。そういったものが苦手な方はこの話は飛ばしてください。また、念のため途中にここから先注意みたいに目立つように書いてあります。
鬱蒼と木々の生い茂った森を女盗賊を先頭に歩いていく。所々人の歩いたような痕跡はあるものの、案内がなければ森に不慣れな人間には分からないだろう。
しばらく歩くと不恰好に増設された小屋が見つかった。
「以前はもっと小規模だったんだけど、メンバーが増えて手狭になったんだよ」
こちらは何も言っていないのに女盗賊は勝手に言い訳している。
「フィラ、ほんとに家の中にいるのは3人か?」
「はい、間違いありません」
戦闘能力的には他のメンバーに劣るが、こういった索敵にかけてはフィラが一番役に立つ。
体を摺り寄せ甘えてくる少女の頭を優しく撫でてやると、目がとろんとし緊張感が抜けてくるのが見て取れたため、ほっぺを摘んでぷにぷにしてやった。
以前のがりがり少女もやっと柔らかなほっぺになってきたものだ。
「もぉ、ご主人様、酷いです」
頬をぷぅと膨らませて抗議してくるが、尻尾はゆっくりと揺れており嬉しいのがばればれだ。
「アホか、今は緊張感をもつ場面だ、しゃんとしろ」
「そうでやんすよ~、兄貴に甘えれて嬉しいのはわかるけど、これからあの家に押し入るんでやんすよ」「ガハハハ~」
「おい、ドヤッキー知らない人が聞いたら誤解するだろ、ちゃんと盗賊退治するって言えよ」
やべっ、なんか変な気分になってきた。盗賊ってもしかしてこんな感じなんじゃないだろうか。
それは置いておいて、作戦はこうだ。
女盗賊がアジトの家へ戻り、留守番の3人を家の外へ連れ出し、それを俺たちが倒す。いたってシンプルだ。
「それだとあたしの手を縛ってる縄をとかなきゃいけないよね。もし逃げたりしたらどうするんだい?」
「別に逃げてもいいさ、その時は斬るだけだから」
相手にどういう効果を与えることができたかは定かではないが、ニヤリと作り笑みを浮かべ俺は答える。
「やつらを連れ出せばほんとに逃がしてくれるんだろ。それまでは言うことを聞くわよ。もしあたしを抱きたいっていうんだったら抱いてもいいし」
あまり大きくはない自身の胸に手をあてがい揺さぶりながら女盗賊が言う。
「寝首をかかれちゃかなわんしな、遠慮しておこう。それより連れ出す件頼んだぞ」
めちゃくちゃ興味を惹かれる話ではあったが、今だ女性と付き合ったことがない奥手な俺はちょっと躊躇してしまう。
女盗賊が小屋へと向かい、入り口の扉を開け中へ入る。
鍵がかかっていたり、合言葉をいったりとかはない。
しばらく皆緊張の面持ちで盗賊が出てくるのを待っている。
女盗賊が寝返ってしまえば相手は4人、こちらも森の外に捕まえた盗賊たちと仲間を残してきており、ここにいるのは俺とフィラ、ドヤッキー、ドンズルーの4人だけなので同数となってしまう。
そんな中、扉が開く……盗賊たちが出てくる…1、…2、…3人、そこで扉が閉まる。
今だ!
手で指した合図と共に木の陰から一斉に飛び出し走る。
俺が一番早く盗賊の元へと辿りつく、指まで覆われている手甲で腹部を力いっぱい殴りつける。こちらに直前まで気付けておらず武器はおろか、防御体勢さえとれていない柔らかい腹部へ拳が突き刺さり、そのまま腹を押さえてうずくまる。これでひとり!
視線を移すとドヤッキーも盗賊に斬りかかっていた。ショートソードが一瞬のうちに右腕、左腕、わき腹の3箇所を浅く傷つける。盗賊は遅れて腰から剣を抜き構え、……そのまま剣を地面へと落としてしまった。『兄貴にいただいた剣が早速役にたったでやんす。ありがとでやんした』 すっかり忘れていたが、やつはそんなものを持っていたな。これでふたり!
残るひとりにはフィラが対峙している。ステータス的に劣るが少し様子をみることにした。命に関わらない程度の怪我であればヒールで治してやれるし、あまり甘やかしてばかりもいられない。じゃねーわ
「おい、フィラなんでお前まで飛び出してきてるんだよ。お前の攻撃のメインは弓なんだから、俺たち3人が飛び出した後ろから援護すればよかったんだよ」
「あ、つ、つい」
確かにフィラの戦闘経験が少なすぎた。
フィラは腰を低く落としナイフを構えて盗賊と睨み合っている。俺の言葉で思い出したようで背中に背負っている弓に意識がいっており、距離をとろうとしているようだ。
「ばっ、違うだろ」
割って入ろうとしたところに、ドンズルーが追いつき一撃を放つ。それほど速くない攻撃に盗賊は受け止めるべく剣を動かす。が、その余裕の笑みが崩れる。ドンズルーの棍棒の強撃はガードをものともせず、剣ごと体を打ちつけ盗賊を吹っ飛ばす。
あ、あぁ、これで三人か。こいつが一番可哀想だな。
腹部を押さえて蹲っている者、しびれて力が入らずへたり込んでいる者にドヤッキーが手際よく縄をかけていき、たぶんあばらが何本かいっちゃったであろうやつにはフィラがヒールをかけていく。
「おおい、終わったから出て来いよ」
俺の声に女盗賊が小屋から出てきた。ん?
「これで約束どおりあたしは逃がしてもらえるんだよね」
「もちろん逃がしてやるさ。でも、金目のものを持ち出して、それを持って逃げようとしてるだろ」
「あははは、やっぱばれた~? ごめんね、これ渡すから見逃して、ねっ」
腰に下げている袋をこちらに投げてよこす。
*****少しえっちな内容になります。そういったのが嫌いな方はここで終了してください。ここまでと次話の最初とで話がつながるようにします。
「それだけじゃないだろ、それに喋り方も変だぞ」
俺の言葉に口から指輪を吐き出し、ズボンのポケットからどんだけ入ってたんだよって言いたくなるくらい膨らんだ袋もこちらに放り投げる。
「アホか、お前。明らかに胸がでかくなってるだろ」
女盗賊の胸はふた回りほど大きくなっていた。さすがにばれないわけないだろ。
「ドンズルー、捕まえろ。ドヤッキー、ひん剥けー!」
俺の言葉にドンズルーが後ろから羽交い絞めにし、ドヤッキーが服の前のボタンを外していく。ボタンを2つ外したところで、ボトリ。服の裾から袋が落ちる。もう1つ外したところで、ボト、ボト。胸を覆うように隠していた袋が2つ落ちてきた。ドヤッキーはスケベそうな顔をして、口の端から涎がこぼれ落ちそうになっている。いや、俺も正直どんな顔をしてるか自信はない。
振り向いて後ろにいるフィラを見ると、両手で顔を覆い隙間からちらちらと盗賊を覗き見ている。
「兄貴、ボタンを全部外し終えましたが、ほんとに全部ひん剥いちゃうでやんすよ。どうもこの女まだまだ隠してる気がするでやんす」
「だろうな、容赦なくいけ」
上着を脱がせると肩に紐をかけ、脇にぶら下がっている袋が2つ見つかった。下にはくすんだベージュ色のシャツを身に着けている。
ズボンを脱がせると、下から白い綺麗なズロースが現れた。
「おい、それはなんだ?」
「えっと、絹の下着。あたしの愛用品だよ」
そんな高級品をこんなとこで常に使ってる馬鹿なんているわけないだろ。たぶん金目のものということで身に着けたんだろう。こいつ抜け目がないわ。
「兄貴、剥ぎ取るでやんすか?」
「あ~、保留。この分だとまだまだ隠してそうだな。ドヤッキー交代だ」
「ここまできて酷いでやんす」
そんな声を無視して下着の上から無遠慮に触っていく。下着を脱がすかどうか迷ったが、生でみるより下着の上から触ったほうがどちらかというと刺激が少ないだろうという考えからだ。
エロいことしたい、でもちょっぴり怖い。そんな複雑な心境なんです。
やっぱりな、当然のことながら胸の谷間、そして胸の間に宝石が隠してあったので、首元から手を突っ込み取り出す。
下着の上から胸を鷲掴みにして調べる。ん?
「おい、これはなんだ?」
「あたしの乳首」
「んなわけあるかー」
径の小さな指輪を両の乳首にはめていた。そしてへそからは真珠が出てくる。
「さっきから内股だが、おい、飛び跳ねてみろ。いや、その前にっと」
くしゃくしゃな髪をまさぐるとカチューシャが隠れていた。
「よっし、飛べ」
俺の言葉に従って盗賊が飛び跳ねるとズロースの裾から宝石が2個転がり落ちてきた。
盗賊は気まずそうに笑みを殺している。
「まだいくつか考えられるが、どうする? 自分ではなすか? それともドヤッキーに逆さに持ち上げて振ってもらうか? あぁ、お腹の中に隠してた場合は腹を斬って出すしかないよな」
剣を手にし、盗賊の目の前でちらつかせる。
「はいはい、もう降参、降参だよ」
ドンズルーから体を自由にしてもらい、下着の中に手を入れもぞもぞしたと思ったら小さな袋をひとつ取り出す。
「お腹の中にはさすがに何も隠してないよ、もし取り出せなくなったらと思うと怖いもん」
俺たちは目の前に積まれた袋や宝石をみて驚きを隠せなかった。ていうか、ほんとにどんだけ隠してたっていうんだよ。
「あははははー」
盗賊は照れ笑いを浮かべている。
「おい、もういいよ、服も返してやる。その絹の下着も付けてていい。それにその股間から取り出した袋は餞別にくれてやる。とっとといけ」
なんかもうこいつと関わるのが面倒になってきた。
「見逃してくれてありがとねー、あと内緒だけどお尻の穴に入ってる真珠3粒は貰ってくね」
小屋の前の開けた場所を抜け森に入り、追いかけても捕まらないだけ離れてから捨て台詞を吐いてそのまま駆けていく。
「すごい女でやんしたね。あの根性見習いたいものでやんす」
「それより中で飯にするでんねん」
「わかったわかった、お前は勝手に中に入って食い物あさってろ。それよりフィラ、いつまで顔を隠してるんだ」
「えっ、でもたぶん顔真っ赤だから……」