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王都にて

 王都ーアランドラ王国の王城がある街である。温暖な気候に恵まれているこの国は西のシャンテ共和国との関係も良好で街は活気にあふれている。

 城郭都市として街は周囲大きな壁で囲まれているが、ここ何世代も進入どころか攻撃を受けたことさえない。

 


 俺達は街からこちらを視認できない位遠く離れたところで迎えを待っていた。

 予め商人と女性二人を先にいかせ、状況を説明してもらっているからだ。

 さすがに骸骨は外したが、剣などの刃物が付いたままの真っ黒い馬車で街へ向かうわけにはいかない。

 間違いなく兵士達に攻撃されてしまうだろう。

 ちなみに女性達がなぜ商人の馬車に乗っているかというと、捕まえた盗賊と戦利品でこちらの馬車がいっぱいになってしまったという理由からだ。


 しばらくすると商人の馬車が5人の兵士を連れて戻ってきた。

 兵士は最初馬車に驚いたようだったが、なぜかドヤッキーはドヤ顔で満面の笑みを浮かべている。

 冒険者カードを提示したことによりこちらの身分は確認できたのだが、馬車が問題で街へはすぐ入ることができなかった。


 最初奪った際は幌馬車だったのだろう。

 それが矢も防げるように幌の部分を木に変更して箱馬車タイプにし、貨物部分に盗賊を乗せ馬車や旅人を襲うというような使い方をしていたため、夜でも見つかりにくいように全体が真っ黒に塗られ、車体の各所に刃が取り付けられていた。

 さすがにこのようなものは街中へ持ち込めるわけはないのだが、盗賊を退治し、きちんと戦利品の半分を納めたという功績からしばらくの間は門の外に置き門番が管理してくれることになった。


 盗賊退治の後処理は結構面倒だった。

 盗賊たちのアジトから奪ってきた品物はざっくりと半分と奪ったお金の半分を渡すことになったが、これはすぐ済み問題ではなかった。ちなみに鑑定しまくって安そうなものばかり国に納めてます。


 面倒だったのは助けた女性達のことだ。

 現在俺が仮の主人となっているが、元の主人の血縁者に返せば奴隷の販売評価額の半値が報酬として貰えると聞いていたので、巨乳ちゃんの仕えていた貴族の屋敷に行くと貴族の位が剥奪されたそうで困窮した生活を送っていた。

 そのため返還するとしても報酬は支払えないとのことで完全に奴隷の権利がこちらに移ることになった。

 評価額の半値というのがミソで、半値を報酬として払っても奴隷を売ればお釣りがくると思ってしまうが、評価額は奴隷商が販売する際の金額のことで、実際に買い取ってもらうとなると結局半値位になってしまうので意味がないということだ。

 俺の奴隷となったわけだが迷っている。

 奴隷解放なんてかっこいいことはできない。かといって奴隷を売るなんて行為はこちらも俺の感情的に許されない。やはり俺の奴隷とするのいいのだろうが衣食住とまた余分なお金がかかってしまう。どうすればベストなのかいまいちまとまらない。


 若い方の女性はというとこちらは奴隷ではなく、商人の娘だったが家族が殺されてしまっていく当てがないので俺に付いてきたいと言う。

 天涯孤独の身でひとりで生活していく自信がないから俺に寄生しようという魂胆が丸見えだ。

 俺はまだあまりよく知らないこの世界で信用できるかどうか分からないものを身近には置きたくない。今のところ仲間は奴隷だけで十分だ。

 奴隷になるなら連れて行くよといったところ、難色を示したため保留となっている。

 ちなみに盗賊につけられていた奴隷契約は街に戻ってすぐ衛兵達によって解除手続きがおこなわれた。


 盗賊の洞窟から王都へくるまで1泊野宿をし、王都へ着いたのは昼前だったが盗賊退治の後処理が終わるとすっかり暗くなっていた。

 宿を決めることになった際に風呂付にしようかと思ったが、一人暮らしでいつもシャワーでお湯を張って風呂に入るのなんか数ヶ月に一度程度だったしで、それほど惹かれなかったため普通の宿に泊まることにした。

 風呂は嫌いではないが、別になくても困らんしね。

 宿では男3人、女3人での部屋割りとした。

 俺プラス女性達でハーレムも考えたが、会話もうまくできず気まずい状態になってしまいそうなので性別で分けるしかない。だがしかしそのうちに……今のところは妄想するに留めておこう。


 部屋割りも決まったとこで、食事をすることになった。

 泊まることになった宿も冒険者がよく利用する宿で1階が食堂、2階が宿泊施設といった作りだ。

「そういえば、まだきちんと挨拶していなかったな。俺はコウだ」

「ドヤッキーでやんす」「ドンズルー」「フィラです」

 実は俺は女性達の名前を知らなかった。いつも相手の方を向いて名前も呼ばずに話していたし、すぐ別れるだろうと思って聞いてもいなかった。


「カルファと申します。ご主人様どうぞよろしくお願いいたします」

 巨乳ちゃんはカルファというのか。

「リエッタです。よろしくお願いします」

 若い方の元商人の娘はリエッタか。というか、なんでここの飯代も宿代もこいつの分まで払ってやらなきゃいけないのだろうか。

 カルファは俺の奴隷だから払うのは当たり前だが、リエッタの方は納得いかん。


「それでカルファとリエッタはこれからどうするつもりなんだ?」

「私はご主人様の奴隷ですので、なんなりとお申し付けください」

「頼れる当てもありませんし、コウさんについていってはいけませんか?」

「どうして俺に頼るんだ。こっちだって人を養っていく余裕なんてない。それに昼にも言ったが、奴隷しか連れて行く気はない」

「そんなこと言わないでくださいよー」

 なんかだんだんムカついてきた。盗賊から助け出したときはしおらしかったのに、少し生意気になってきた気がする。


「ここの飯代と宿代は俺が払ったんだぞ、これからも俺に払い続けろというのか?」

「えー、盗賊から結構奪ったんでしょ。そのくらいいいじゃないですか」

「リエッタさん、ご主人様に失礼ではありませんか」

 カルファよ、ナイスフォローだ。


「これは俺達が命がけで稼いだものだ。お前にとやかく言われる筋合いはない。命があっただけありがたいと思え。そういえば、盗賊に捕まってた人を助けた場合は普通はどうするものなんだ?」

「普通なら衛兵に渡して終わりでやんす」

「それじゃぁ、リエッタは明日になったら衛兵に引き取ってもらうことにするからな」

「えー、あたしコウさんについていきたいー」

 ドヤッキーとドンズルーは話に興味がないようで、俺に断りをいれて外に出かけていった。


「俺達は冒険者として生活をしているんだ。お前は戦えるのか?」

「身の回りの世話とかだったらできますよー」

「俺は貴族や大商人ではないからそんなことをしてもらう人を雇うことはできない!」

 きつめに言ったらしゅんと黙ってしまった。こいつは確か16歳と言っていたか。この世界で16歳といえば大人として扱われるが、この態度はどうみても子供だ。それなりに可愛いが面倒そうだしやっぱいらないわ。


「兄貴~、買いたいものがあるのでお金が欲しいでやんす」

 あわただしく戻ってくるなり言い放つ。


「戻ってくるなりなんなんだ。いくらいるんだ?」

「金貨1枚欲しいでやんす」

「アホか、金貨1枚ったら大金だぞ。お前ら自分が奴隷だということをわかってんのか?」

「もちろんでやんす。これも兄貴のために必要な資金でやんす」

「それで、なんなんだ?」

「後のお楽しみでやんす」

「あー、わかったわかった。後で何にいくら使ったかきちんと聞かせろよ。そして残りはちゃんと返せよ」


 金貨1枚は大金とはいえ、盗賊を突き出した報酬が一人銀貨30枚の8人で金貨2枚と銀貨40枚、それに盗賊から奪ったお金、商人から追加報酬としてもらった分があり今回の護衛依頼に関わる盗賊騒ぎで金貨10枚以上は手に入っていた。

 それに盗賊から奪った品物がまだそのまま馬車にあるし、あの盗賊の退治依頼がギルドに出ていたとすれば、その依頼を完了したことにできるとの話だった。もっともこちらは依頼が出ていない可能性ももちろんあるわけだが。

すみません。毎日投稿するつもりが昨日はできませんでした。

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