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「気をつけろ、ひよっこども! 一番は依頼者の護衛、次は荷物だ。俺たち冒険者の命はその次だ!」

 ロングソードを構えた熱い魂の男が叫ぶ! 同じく斧を両手で持ち相手を威嚇している男も叫ぶ!

「俺たちを襲うとはいい度胸してるな。返り討ちにしてやる!」

 対した相手が倍近い人数がいるのに怯むこともない。


「兄貴もなんかいってくれでやんす」

「い、いや」

 気分は沈んでいた。今にも雨の降りそうな曇ったこの空が俺の今の気持ちを代弁してくれるかのようだ。

 恐怖を感じる心が震えとして手に体に現れていないだろうか。怯えた気持ちとは裏腹になぜか驚くほど冷静に思考している自分がいた。

 10人以上の盗賊たちに囲まれている。

 それに対する俺たちは5人、いや俺たちの後ろで隠れるように震える手でショートソードを構えているでっぷりとした商人も人数に数えれば6人だ。

 人数もそうだが、おれは今まで明らかに格下と思われるような奴らとしか相対してきていない。

 明らかな経験不足だ。この世界に来てから1週間と少ししかたっていないのだから無理もない。

 どうしてこのような状況に陥ってしまったのだろうか。たぶん逃げずにその場で立ち向かえば若干ましな体制で立ち向かえたのかもしれない。




 馬車は王都まで後1日半のところを走っていた。通常馬車は常歩なみあしを使い、人の約1.5倍の時速5~6kmくらいで荷台部分を引いてくのだが、速歩はやあしで時速20kmくらいで駆けている。

 徒歩で護衛していた仲間は馬車の走る速度について行けず後方に置き去りにされてしまっていた。

 併走しいる馬車は異様な風体をしていた。どう言えばいいのだろう、奇妙奇天烈 摩訶不思議 奇想天外、いやこれ以上考えるとまずいな。

 異世界ファンタジー系の小説を読みまくっている俺でもあまりお目にかかったことのないデザインだ。

 馬車の後部には剣山のようにショートソードの刀身が、サイドには斧の刃の部分が無数に取り付けられている。そこまではまぁいいとして?いやいいかどうかは知らんが、馬車の車体は人に似た、つまりゴブリンと思われるものの頭骨をふんだんに使用してデコレートされていた。

 趣味が悪いのはここでは置いておくことにしよう


 この世界の大き目の街道は馬車2台がすれ違うことはできるが、3台分の幅はない。

 踏み固められた道を少しでも横へずれてしまうと、荒れた地面か草ぼうぼうの地面のため横転の恐れがあり、まったくといいほどスピードは出せなくなってしまうのである。

 つまり盗賊は馬車を道から外へ押し出してしまえばそれで逃亡を阻止したことになる。

 デザインは別にしてこの悪趣味な馬車に取り付けられた刃は馬、もしくは御者にプレッシャーを与える効果があるようだ。

 

 後ろから駆けてくる馬車の接近を察知した護衛の言葉に振り向き、御者を務めていた商人は悪趣味な馬車に怯え、馬に鞭をいれ走らせてしまった。

 そこが誤りだったのだろうが、あれを見ては無理もないといえる。

 荷を満載した馬車に比べ盗賊たちの馬車のほうが速く、すぐに追いつかれ並ばれてしまった。意識してはいなかっただろうが商人は馬車から逃れる方法を道の外へと求め、荒れた凸凹な地面のショックを吸収しきれずに馬車は激しく上下に揺れ、ついには横転してしまった。

 御者台に乗っていた俺と商人は投げ出されたが特に怪我の心配はなく、幌のかかった荷台に乗っていたフィラも頭を振りつつもすぐに外へ出てきていた。

 走り出した馬車に驚異的な身体能力で縋り付いて走ってきた護衛の冒険者ふたりも盗賊が奇抜なデザインの馬車から飛び出してくる前に追いつき、すぐさま倒れた馬車と商人を守るような位置についた。


 ここまでが今に至るまでに起こった事柄だ。

 ドンズルーは馬車の後ろから走って追いかけていたが、次第に距離が離れていきへばってしまったのか地面に転がってるのが遠めに見て取れた。戦闘中に合流できるかもわからないため当てにはできないだろう。

 ドヤッキーはというと、歩いてついてきていたのだが馬車が走り出すときにうまく後ろから飛び乗り、馬車が倒れたときには既に飛び出していた。予想外に要領のいいやつだ。といっても今回はそのおかげで助かっている。



「月並みな台詞で悪いが、荷物を渡してもらおう。そうすれば命だけは助けてやる」

「命だけだけどな」

「そんなこというと降参しようと思わなくなってしまうだろ」

「ちげぇねえや」

 趣味の悪い馬車から最後に出てきた盗賊の中でも一際ひときわ体格のいい男が言い放ち、他の盗賊がちゃちゃをいれている。

 下卑た視線が俺の方、というより俺の背に隠れるようにしている少女に飛んできているのを感じる。フィラは震える手で片方はナイフを片方は俺の服の裾を掴んでいた。


「えと、俺たちって護衛一人分として付いてきてるから、他二人は戦わなくてもいい?」

 俺はこの場にそぐわない、的外れな言葉を商人にかけてしまった。

 王都へと向かうことを決め出発する際に、異世界来たらやらなきゃねということで護衛依頼を受けたのだが、募集人数三人に対して二人は埋まっていた。それがこのやたらと熱い男たちだ。

 報酬は一人分で問題ないと早く王都へ行きたかった俺はそのまま一緒に行くことに決めたのだ。


「追加で報酬を支払いますのでお助けください。ここで荷物を奪われたら生きていけません。それに捕まったとしても奴隷としてこき使われることになってしまいます」

 腰が抜けてしまいそうなほど震えていた商人は顔を一層青くしている。

 別に俺としては報酬が欲しかったわけではなく、少しでも気を紛らわせたかっただけなのだ。といってもやはり追加で報酬が貰えるならありがたい。

 だが、積極的に盗賊に立ち向かいたいという勇気も湧かない。


 少し落ち着いたことで威圧スキルの開放をおこなってみることにした。スキルON、頭の中でスキル発動を促したが盗賊たちに変化は見られない。

 やはりこちらが感情的に優位な立場にある必要があり、相手を恐れている今は威圧することができないのだろう。基本的にこれは格下向けのスキルだったはずだ。


 俺が盗賊との戦闘に踏ん切りをつくことができないでいる間。一番早く行動を開始したのはやはり剣を持った熱血漢だった。


今日はあまり書けず途中になってしまいました。すみません。

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