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なんか弱っちい

 少女は森を前にして緊張していた。手は隣を歩く頭二つ分は背の高い男の服の裾をきつく握っている。

 森は危険だから入らないようにと両親に散々聞かされてきたが彼と一緒ならきっと大丈夫だ。いや、彼の役に立ちたい。そう願ってはいたが少女の体は正直だった。

 裾を握った手から震えが伝わったのだろうか、彼は頭をポンポンと撫で少女に声をかけた。

 「絶対に守るから安心して」

 彼の大きな手は私を安心させてくれる。そんなことを考えていた少女の手からは震えが消えていた。



「ドヤッキー、なに変なナレーションいれてるんだ」

「緊張をほぐそうと思ってでやんすよ、その証拠にほら」

 フィラは俺の裾をつかんだまま顔を真っ赤にしてうつむいていた。


「絶対に守るなんてかっこいいことは言う気はない。フィラは俺のいうことをよく聞いて行動するんだ。油断が命取りになるので注意しろよ」

「はい」

「ドヤッキー、お前はフィラを守っていろ。戦闘は基本的に俺とドンズルーでおこなう。いいな」

「了解でやんす」「わかったでんねん」

 

 フィラのギルド登録は昨日無事終わっていた。何事もなかったかといわれれば、やめとけという声に耳をかさず少女が登録に来たことをみて囃し立てた馬鹿がいたせいで、またもや威圧スキルを開放したことくらいだ。腰を抜かした馬鹿など知ったことではない。



名前:フィラ

所持名:コウの奴隷 

LV :1

HP :8/8

MP :9/9

SP :4/4

STR :4

VIT :3

INT :3

MND :4

AGI :9

DEX :7

LUC :4

種族スキル:聴覚アップ、嗅覚アップ、暗視

所持スキル:



 子供だからなのか、フィラのステータスは結構低かった。もしかして一緒に冒険者をやっていくのは難しいかもしれない。

 元盗賊二人組みにしてもケホ子にしてもはずれを引いたかと思わないでもない。




「フィラ、お前には敵を倒した後の解体をやってもらうことにする。教えるから覚えておけ」

「フィラ、お前って嗅覚能力は高いよな。あぁ、嗅覚ってのは匂いをかぐ能力ってことだ。鼻はいいよな? そうだ鼻、耳、目を使って敵が潜んでいないか注意するようにしてみろ」

「フィラ、こいつはここが討伐部位だ」


 最初だから一度には覚えられないだろうと思いつつも次々と教えていたが、覚えはよいほうだったらしくどんどん吸収していっている。

 昼になるころにはフィラに疲労が見えたので一度町に戻ることにした。ついでにギルドにより依頼終了の手続きをフィラにやらせておく。何事も練習だ。

 受付のリタさんは登録の時もそうだが、終了手続きの時もフィラのことを心配して優しい声をかけてくれている。まぁリタさんと一緒に捨てられボロボロになってるところを見つけたのだから、気持ちもわからなくはない。

 午後はフィラに宿の掃除でも手伝うように指示し、俺たち三人はいつものように森へ狩りにでかけた。



「今日はよくがんばったな」

「申し訳ございません。私だけ先にばててしまって…」

 夕食が終わり、部屋でくつろぎながらフィラを労った。

 ばててしまったのは病み上がりだからしょうがないだろう。ステータスも低いことだし。

 そうだ、みんなのステータスも確認しておくか。




名前:コウ

所持名:奴隷の所有者 下克上を成し遂げたもの へたれ後輩 おばちゃんを倒したもの 異世界よりきたりしもの ハイテンション

LV :7

HP :153/153

MP :23/108

SP :62/63

STR :39

VIT :85

INT :36

MND :71

AGI :79

DEX :40

LUC :9


所持スキル:異世界言語能力、アイテムBOX、鑑定、能力成長率UP、威圧、爪、投擲

所持魔法:ヒール+1、キュアポイズン、キュアディシーズ



 ヒールが+1になってるな。この世界ってスキルや魔法が強化されると+がついて数値が増えていくタイプなのか。

 確かにフィラの治療のためにヒールを使いまくったからな。今でも効果があるのかどうかはしらんがフィラにはヒールを使いまくってるしな。

 MPやMNDの伸びが高いのもそのおかげだろう。




名前:フィラ

所持名:コウの奴隷 

LV :3

HP :23/23

MP :14/14

SP :6/6

STR :6

VIT :5

INT :5

MND :6

AGI :14

DEX :11

LUC :4

種族スキル:聴覚アップ、嗅覚アップ、暗視

所持スキル:気配感知



 気配感知を覚えてるじゃないか。一日で凄いな。これは必須スキルでどうしても欲しかったからありがたい。

 にしてもステータスの伸びが悪いな。




名前:ドヤッキー

所持名:コウの奴隷 元盗賊 

LV :7

HP :55/55

MP :12/12

SP :11/11

STR :18

VIT :21

INT :32

MND :14

AGI :41

DEX :45

LUC :3


所持スキル:剣、弓



名前:ドンズルー

所持名:コウの奴隷 元盗賊 

LV :7

HP :112/112

MP :2/2

SP :7/7

STR :63

VIT :59

INT :6

MND :17

AGI :11

DEX :13

LUC :5


所持スキル:怪力、鈍器



レベルが俺と同じとは思えないくらいステータスに差があるな。能力成長率UPの効果だろうが凄すぎるわ。

「フィラ、お前は今日ので気配感知のスキルを覚えたみたいだな、よくやった。ドヤッキーとドンズルー、お前たちはレベル7まであがってる。俺と同じだ。明日はギルドで冒険者カードの更新をおこなうか。ランクもたぶんDになってるだろうしな」

「これでご主人様のお役に立つことができますか?」

「アイアイサー」×2

「あぁ、周囲の警戒やモンスターを探すのを頑張ってもらうぞ。それはそうとフィラ、お前はどんな武器を使ってみたい?」

「武器ですか? 武器はよくわかりませんが、ご主人様と同じ回復魔法を使ってみたいです」


 回復魔法か、ありだとは思うが教えてもらうのに銀貨10枚かかるんだよな。

 フィラは小さいからゴブリンから奪ったあの小さな皮鎧でも調整すれば着れるかもしれない。矢は買うとして武器は木の弓でいいかな。それとショートソードは大きいから、剥ぎ取り兼用としてナイフを買おっか。武器として使わないとしても剥ぎ取りようにいるからどちらにしてもナイフは必須だしな。

 宿も前払い分は終わったから毎日払わないといけないし、金がかかってしょうがない。

 露天で高く売れそうなものを探すのもいいが、市が開かれる日はばたばたしていて露天市のことはすっかり忘れてた。次まで間があるし市が立っていない日は露天はぽつぽつしかでてないし、いつも変わり映えしない店、品揃えなんだよな。

 頭の中でソロバンをはじいていく。


「決めた! 明日は防具屋でフィラ用に皮鎧の調整、剥ぎ取り兼武器用のナイフと木の弓用の屋を武器屋で購入、そして神殿でフィラご希望のヒールを教えてもらう。その後森へ狩りに出かける。そして明後日は王都までの護衛依頼を受け移動する。いいなみんな」

「はい!」

「皮鎧の調整はあっしができるでやんすよ」「ガハハハ」

「えっ!? ドヤッキーって器用なんだな」

「任せろでやんす。ちなみに兄貴は気付いていなかったと思いますが、ショートソードとナイフも毎日研いでいるでやんすよ」

「それじゃぁ、皮鎧の調整は任せた」

 まじ知らなかったわ。どおりでいつもピカピカになってたわけだ。ていうか砥石とか買ってやった記憶はないぞ。


「ドヤッキー、研ぐための道具とか買ってやった記憶はないんだが、どうやって研いでるんだ?」

「もちろん砥石でやんすよ」

「いや、そんなもの買った記憶はないぞ」

「お使いのときについでに買っておいたでやんすよ」

「なにー、勝手に買うなよな。次からは許さん、なにかあったら報告するように」


 駄目だ、こいつら自由すぎる。自分が奴隷って分かってるんだろうか。なに勝手に使い込んでんだよ。


「わかったでやんす。そういえば道具屋にハンマーなどの工具を注文しているので支払いよろしくでやんす」

「あ、あぁ。次からは注文前に相談するように」

 こ、こいつわー(怒)

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