デート02
「これこれ、これが欲しかったんだよなー」
ちょっと足を伸ばして正解、と嬉しそうにレジに向かう彼を他所に私はゴタゴタした空間の中ただ立っていた。アニメキャラたちが歌うCDに原作の漫画やライトノベル。アニメ宣伝が流れるTVにどこか懐かしいガチャガチャ。そしてそれに群がるヲタクたち。今時のヲタクさんたちは私たちのイメージする牛乳瓶の蓋のような眼鏡をかけてアニメキャラのTシャツを着ていたりはしない。中身はそのままでも見た目には結構気を使うのだそうだ。そうしないと一般社会では生きていけない、ハブられたりいじめの標的にされたりするらしい。
確かに見た目がアレな人だったら自分から近づいて行こうなんてサラサラ思わないし、むしろ別世界の住人として私は捉える。
"この人と私は無関係なんだ"と自分自身に言い聞かせることだろう。そばにいたら私が何を言われるか分かったもんじゃない。それに関してはもうすでに体験済みであることだし…。
「マーヒーロっ!ほら見て見て!これでコンプ出来た」
紙袋の中に大切そうに仕舞われたゲームたちとガチャガチャの景品たちを満足そうに見せる彼。子供っぽいけれど、可愛らしいと頬を緩めてしまう私は結構ヤバいとこまで来てるのか?
「良かったね、今回はそれでおしまい?」
「今日はこれで満足。ほらマヒロはどこ行きたいの?」
「とりあえず、ここ出てご飯食べよ。お腹すいちゃった」
大きな掌、自分より15cmほど高い背。割と整ってる顔。
「ん?何?」
「別にー?好きだなぁって思っただけ」
好き、という言葉に反応して真っ赤に染まる頬と耳。
「また突然言うでしょ!」
「思ったことを言っただけだもーん」
「まっ!」
ホント、可愛らしいんだからもう。
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