表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

記者会見

今回は、長目です。


飽きずに付き合っていただけたらと思います。

「大丈夫だよ。気を付けるから…」

「わかってるよ。でもなぁ、単体じゃないんだから…」

私たちの会話を聞いていたマネージャーが。

「それって、双子ってことか?」

って、聞いてきた。

「はい、双子みたいなんです」

「そうか。あまり無理させられないな」

真剣に悩みだすマネージャー。

「はらshiori。優基も来たから、会見場に行くぞ」

社長に促されて、部屋を出る。

「災難だったな」

優兄が言う。

「私がいけなかったんだ。普段からオーラがないからって、油断してたから…」

私が、反省してる。

「でも、よく気が付いた奴いたな」

優兄が、感心してる。

「一様、自己紹介したからね」

私は、苦笑しながら答える。

「いや。自己紹介しただけで、アーティストの“shiori“に行き着かないだろ。よっぽど、詩織の曲が好きじゃなきゃバレてなかったと思うぞ」

優兄の言葉に付け足すように護が。

「優基の言う通りだよ。最初に声をかけてきた奴“shiori“の大ファンで、ファンクラブにも入ってるくらいだ」

って言う。

そうだったんだ。

「ほら、会場に入るから、口閉じろ」

社長に言われ、口を閉じた。

護は、入り口で歩みを止めて、壁に凭れている。

社長の後にマネージャー、私、優兄と続いていく。

記者達の前に向かい合って立つと、お辞儀した。

そして。

「本日は、お忙しい中、お集まりいただき恐縮です。先程の件についての説明と今後の活動について、この場をお借りして、お話しさせていただきます」

社長が、マイクを通して言う。

「先程“shiori“が、ある高校に訪れたのは、ご主人の忘れ物を届けに行ったためです」

社長が、私のかわりに話す。

「ちょっと待ってください。“shiori“さんは、ご結婚されてるんですか?」

そこは、ちゃんと説明しないと……。

「それは、本人に直接聞いていただいた方がいいでしょ」

社長が、私に視線をよこす。

私は、覚悟を決めた。

「私は、デビュー前に結婚も子供も生んでます。結婚する前にも違う事務所ですが、オファーを頂きました。その時は、バンドのヴォーカルをしてたので、単体でのデビューは、断りました。結婚して、子供を生んでからも、歌の事を忘れられなくて、優さん…。優基兄さんに話したら、今の事務所を紹介してくれました」

「デビューのきっかけになったのは、何だったんですか?」

「それは、僕がまだ駆け出しのシンガーソングライターの時にデモをshioriに歌ってもらってたことが、きっかけでした。そのうち、デモの歌の主の事を詮索されて、shioriに行き着いた事務所がオファーをしに来ました。その時点では、乗り気じゃなかったshioriが、結婚して、子供を生んでから、『歌を唄いたい。子供たちに聞いて欲しい』って、言ってきたのを覚えてます」

優兄が、真顔で言う。

「作詞家の優さんとshioriさんは、兄妹なのですか?」

「僕たちは、実の兄妹です」

「shioriさんは、ファンを騙してたってことですか?」

「……」

私は、答えに困った。

騙したことになるんだろうか?

「近々、ファンの皆様だけにカミングアウトをする予定でした」

マネージャーが口を開いた。

「shioriは、デビューする時から、私生活の事も公表したがっていましたが、事務所で考えて、シークレットでデビューさせたんです」

「それは、なぜですか?」

「画面に出して売るのではなく、声だけで売れると踏んだからです。彼女の声は、魅力的で、伸びのある声をしてます。それにクオリティー、ビジュアルもいいので、宣伝するにも使えました。ある程度の期間を過ぎて、ファンがshioriの声を好きになってくれてるのがわかってきたので、私生活を公表して、頑張ってるママさんたちのリーダーてき存在になってくれると判断して、公表すると決めた矢先だったんです」

社長の真剣な眼差し。

「shioriさんに質問ですが、旦那様は、教師ってことでいいんですよね?」

「はい」

「ネットに掲載された写真に写ってるshioriさんの横に居る人ですよね?」

「すみません。私、それを見ていないので、答えようがないのですが…」

私は、そう答えた。

「そうです。僕の大親友ですから」

優兄が答えた。

「優兄…」

私が小声で言うと。

「大丈夫だって」

優兄が、自信ありげに言う。

「shioriさんの旦那さんって、大学時代、人気があったサッカー選手ですよね」

女性記者が突こんできた。

辺りが、ざわつく。

私は、護に目線を送った。

護が、微かに頷いた。

言っていいってことだ。

「そうです」

私は、堂々と頷いた。

「その人とは、何時からのお付き合いになるんですか?」

そんなに突っ込まれると困るんだけど…。

私が、答えずにいると、

「それ以上は、聞かないでください。知りたい人は、僕のブログにアクセスしてくれれば、大抵の事は載ってますよ。

優兄が、笑顔で答えた。

「それでは、今後のshioriの活動ですが、年内中にシングル一枚とアルバム一枚、シングル集を一枚。それに治なんだコンサートを最後に産休にはいることになってます」

マネージャーが言う。

「産休ですか?」

「ええ。今、shioriのお腹に新しい命が宿っています。なので、年内一杯の活動後、産休にはいります」

社長が、付け足すように言う。

私の横で、優兄が。

「本当か?」

と、小声で聞いてきた。

「里沙には、伝えたよ」

私も小声で言い返した。

「俺、聞いてない」

里沙、優兄には言わなかったんだ。

「護は、知ってるのか?」

私は、小さく頷いた。

「…で、あいつがあそこに居るわけか…」

優兄が、一人納得してる。

「shioriさん。今、幸せなんですか?」

突然、話を振られて。

「幸せです。優しい旦那と可愛い子供たちにか囲まれて、楽しい日々を過ごさせて頂いてます」

満面の笑みを浮かべて答えた。

「以上で、会見を終了させていただきます」

と、社長が締めた。

お辞儀をして、マネージャーの後に続いて歩いていた。

何もないところで、つまづき。

倒れ込みそうになった。

わーっ…。

「何やってるんだよ」

護が、支えてくれてた。

「アハハ…。ゴメン……」

私は、苦笑いをする。

「まったく…。昨日の疲れ、残ってるんだろ」

護が、耳元で言う 。

「ほら、しっかり掴まってろ」

って…。

えっ…。

まさか、ここで…。

って思ったときには、お姫様抱っこされてた。

「ちょ…ちょっと、護。恥ずかしいってば…」

「ダメ。これ以上は、無理させられるかよ」

って、そのまま歩き出した。

「護。いくらなんでも、過保護すすぎ」

優兄が、護の肩に手を置き苦笑い。

「そう言うがな。今日の詩織、睡眠もろくにとって無いんだ。その上、また双子だって言うんだぜ」

護が、真顔で言う。

「それ、マジ」

優兄が、大声で言うから、注目を浴びるはめに…。

「嘘ついて、どうするんだよ」

「護。落ち着いてよ。取り合えず、下ろしてもらえると嬉しいんだけど…」

護の耳元で言う。

「降ろせるわけ無いだろ。今、無理されても困るんだよ。だから、大人しく抱かれてろ」

苛立たち気に言う。

「…わかった。心配してくれて、ありがとう」

私は、素直にお礼を言う。

「当たり前だろ。お前以上に大切な奴は居ない」

と断言する護。

嬉しいけど、恥ずかしい。

「そこの二人、何時までやってるんだ?さっさと行くぞ」

社長に促される。

護は、私を抱き抱えながら歩く。

「今日は、このまま帰れ。後の事は、また連絡する」

マネージャーに言われて、駐車場に向かう。

「お疲れ様でした」

私は、マネージャーに声をかけた。

「お疲れ」

マネージャーの短い返事が、返ってきた。


「護。今日は、車なのか?」

優兄が、聞いてきた。

「ああ…」

護るが、短く答える。

「じゃあ、送ってくれるか?」

「わかったよ」

護は、ぶっきらぼうに答えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ