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楽屋にて……①

今日は、コンサート最終日

あのPVが話題になって、世間を賑わせていた。

私のお腹も徐々に目立つようになってきた。


ハァー。

しんどいなぁ……。

今日が過ぎれば、休みにはいる。

頑張らないと……。

私は、お腹を擦りながら気合いを入れる。

「shiori、大丈夫か?リハ、行ける?」

マネージャーの声に。

「あっ、はい。大丈夫です」

って、声上ずってるし……。

「無理するなよ」

気遣ってくれる。

けど、そうされると返って、申し訳なくなってくる。

「ママー」

かなでが呼ぶ。

「どうしたの?」

「頑張ってね」

ニコニコして言うから。

「うん。頑張るね」

私は、そう言ってステージに向かう。



「軽く合わせて、本番に備えるだけでいいからな」

マネージャーに言われて。

「はい」

って、頷いてた。


リハが始まり、軽く一通りの音合わせを終える。

「お疲れ。今日も頑張ろうな」

バンドメンバーがそれぞれ声を掛けてくれる。

「はい、よろしくお願いします」

と返事を返した。

ハァー。

今日も無事に終われますように……。

そう思いながら、楽屋に行く。


「ママー」

屈託の無い笑顔で迎えてくれる、響。

「どうしたの?」

私が聞くと。

「遊星くんが来たよ」

響が嬉しそうに言う。

エッ……。

顔を上げると。

「久し振り、詩織」

そこには、笑顔の里沙がいた。

「来てくれたんだ」

「もちろんだよ。って言うか、優基さんがチケット用意してくれたんだよ」

優兄が?

「“詩織んとこの子も来るから、楽屋にも顔を出してやって”って、言われて早めに来たんだ」

ニコニコして言う。

「よく入れたね。パス無いとは入れないのに…」

「実は、そのチケットね、関係者用のチケットなんだよね。だから、それを見せたら入れてくれたよ」

里沙が答えてくれた。

そっか……。

「ごめんね、忙しいときに来て……」

「いいよ。私は、本番まで何もすること無いから、話し相手に名手くれれば」

「本当?実はさぁ、相談したいことがあったんだ」

いきなりですね。

「最近さぁ、幸子が反抗期になったみたいでさぁ、どうしたものかと……」

困り顔の里沙。お手上げポーズまでついてる。

「その相談は、私にするんじゃなくて、護か流弥兄が適任じゃないの?」

「そうなんだけどさぁ、話しにくいし……」

話しにくい?

私が護に目をやると子供たちの相手をしてる。

「幸子ちゃん、護には素直な反応してると思うけど…」

「そうなんだよね。護さんには、凄く素直な態度なのにあたし達の前では、ひねくれた態度を取るようになっちゃって……」

溜め息混じりで言う。

「何が違うんだろう?」

「親に言えないことが出来たんじゃないの?」

「そうなのかなぁ…」

不安気な里沙。

「そのうち話してくれるって…」

「それならいいんだけど…」

まだ不安そうな里沙に。

「護に聞いてもらえば?」

私が言うと。

「エッ…」

里沙が驚いた顔をする。

「護、ちょっといい?」

「うん?」

護が、不思議そうにこっちに来る。

「なんか、幸子ちゃんが反抗期になってるみたいなんだけど、それとなく聞くことできる?」

「たぶん、聞けると思うよ。幸子ちゃん素直だし…」

護が言うと幸子ちゃんのところに行って遊びだした。

「大丈夫かな?」

里沙の心配をよそに護は、幸子ちゃんの相手をする。

「まぁ、護に任せておけば大丈夫だよ」

「ねぇ、ママ。トイレ」

響が、私の服の裾を引っ張って言う。

「はい、はい」

私が席を立って、響の手を引いて連れていこうとすると。

「詩織は座ってな。オレが連れて行くから……」

目敏く護が言う。

「パパ、かなでも…」

かなでが、小声で言う。

「あたしも行く」

「僕も…」

子供達皆が言う。

「じゃあ、あたしも一緒に行くよ」

里沙も一緒に行ってしまった。

一片に出て行くので、静かになる。

そこら中に物が散乱してる。

私は、少しずつ片付け出す。

まだ、遊ぶだろうと思い、ある程度分かるように纏めていく。

「痛…っ」

お腹が、張った。

少し屈み込む。

そこにドアが開いた。

「詩織、大丈夫か?」

屈み込んでる私に護が手を貸してくれる。

「うん…なんとか…」

私は、それを取って、ゆっくりと立ち上がる。

「無理するなって、言ってるだろ」

心配顔の護。

「ごめん。でも、少しは片付けないと…。このままだと、困るから…」

「そうだな。このままだと詩織も身動きできんな」

護も見渡して、そう言う。

そこに子供達が、戻ってきた。

「ママ、ただいま…。大丈夫?」

元気に言ったかと思うと心配そうな顔を覗かせるかなで。

「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう」

笑顔で答えた。

そこに。

「四人とも、少しこの部屋を片付けようか」

護の声が、響いた。

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