朝のヒトコマ 1
カーテンから、日差しが差し込んでくる。
眩しいなぁ……。
私は、起き上がる。
もう、朝なんだ。
昨日、寝たの朝方だったから、寝たって感覚がない。
でも、起きて、朝御飯の準備しないと……。
気だるさが残る体を起こして、支度する。
キッチンに入ると、朝食の準備が終わっていた。
あれ?
テーブルの上に手紙が置いてあった。
“詩織へ
遅くまで、仕事お疲れ様。
今日の朝食は、準備しておいたから、オレがジョギングから帰るまで休んでていいよ。
子どもたちも、その時に一緒に起こせばいいから…
護“
もう、自分だって忙しいのに……。
今年は、高校三年生の担任だって言って、生徒の進路の事で、大変だって言ってたのに……。
こんなことまでさせて、悪いよ…。
私は、洗面所に行き、顔を洗い洗濯機を動かす。
さてと、そろそろ双子を起こさないと……。
私は、いつものように子供たちを起こしに、子供部屋に行く。
「響、かなで。起きなさいよ。」
私は、双子の布団をめくる。
「まま……?」
「あっ、ママ、おはよう。昨日は、遅かったんだね」
双子は、眠たそうに目を擦りながら、私に抱きついてきた。
私は二人を抱き締めて。
「うん、ごめんね。本当は、もう少し早く帰れると思ってたんだけどね。その代わり、今日は休みもらったんだ。だから、一緒に幼稚園に行こうね。」
思いが伝わるように二人に言う。
「わ~い。ママと一緒に行けるんだ。」
って、大喜び。
「じゃあ、準備しようか。パパが、帰ってくる前にね。」
「うん!」
キラキラ笑顔の子どもたちを見てると、私も自然と笑顔になる。
本当、子どもって可愛い。大変なこともあるけどそれでもこの子達のお陰で、今の私が居るんだな。
あの時、おろさなくてよかった。
そう思う、この頃。
「ただいま。」
玄関から、護の声。
「お帰り。」
私が、玄関に顔を出すと。
「なんだ、起きてたのか……。」
ちょっと、残念そうな護。
「うん。目が覚めた。」
そんな護に笑顔で答える。
「子どもたちは?」
「起きて、準備してるよ。」
「珍しいな。いつもなら、グズルのに……。」
そう言いながら、子供部屋に向かう。
「おはよう、パパ。」
響が、護に飛び付く。
「こら、響。飛び付くな。朝から元気だな。」
「うん。だって、今日は、ママが幼稚園まで送ってくれるって……。」
響が嬉しそうに言う。
「大丈夫なのか? 昨日、遅かっただろ。」
心配そうな護。
「うん。昨日、仕事を詰め込んだ分、今日は、お休みもらってるから……。」
「それならいいが……。無理するなよ。」
「うん。急な仕事が入ったら、またメールするから……。」
私たちの会話を聞いてたかなでが。
「ママ……。疲れてない?」
私の手を引いて心配そうな顔をして聞いてきた。
私は、かなでの目の高さまで屈んで。
「疲れなんて、あなたたちを見たら、吹っ飛んでいっちゃったよ。」
笑顔で、かなでの頭を撫でながら言う。
「本当?」
「うん。二人の笑顔のお陰で、疲れもなくなっちゃった。」
そう言うと、かなでのキラキラ笑顔が見える。
「さぁ、朝御飯までに準備してね、お二人さん。護もシャワー浴びるんでしょ。」
私たちのやり取りを優しく見守っている護に声をかける。
「おっと、そうだった」
そう言って、脱衣所に向かう護。
「ねぇ、ママ。パパって、いつも朝早くから、どこにいってるの?」
響が、不思議そうに聞いてきた。
「パパはね、学生時代から、走り込みしてるの。体力をつけるために始めたんだけどね。それが、毎日の日課になってしまって、今も走りに行ってるんだよ。」
私は、分かりやすく言ったつもりだったのだけど……。
響は、首を横に傾げてる。
「響は、プニプニパパとスマートパパ、どっちが好き?」
響は、少し考えてから。
「僕は…。スマートなパパがいい。」
って、答える。
「今のパパは、響の好きなパパだよね。そのためには、パパも努力してるってこと。」
「そっか……。僕、パパ大好きだから、今のままでいて欲しい…。」
「かなでも、今のパパ好き。怒ると怖いけど…。」
かなでが、おどけるように言う。
すると。
「オレがどうした?」
シャワーを終えた護が、顔を出す。
「響とかなでが、パパのこと好きだって」
私が、笑顔で言うと照れ臭そうに。
「本当か?嘘じゃないだろうな」
子供たちを捕まえて、抱き上げる。
「嘘じゃないよ。パパ大好き」
かなでが、嬉しそうに言う。
「パパ、苦しい…」
響は、顔を歪めてる。
「ほら、朝御飯食べないと。護、遅刻しちゃうよ」
私は、子供たちと遊んでる護に言う。
「ヤベー。今日、朝から会議なんだよ」
護は、寝室に戻って、着替えに行く。
私は、子供たちを伴って、ダイニングに行く。
双子たちは、自分の席に着いて、大人しく待っていた。
私は、味噌汁を温めながら、ご飯を善そう。
そこに護が、スーツに着替えて、ダイニングに来たのだった。