出逢い
昔々、とある鬱蒼とした森に魔女リリーとその娘アイリスが住んでいました。
暮らしは平和でした。時折、森へ行って木の実を集め薬などをつくり、それを売って生活していました。人間の友達はいなかったけれど、森に住む兎やカラスが友達でした。そして、生まれた時から一緒にいる、艶やかな毛並みの黒猫のラルドは一番の親友でした。
ある日、ラルドと一緒に森へ散歩に出かけると、森で一番高い柊の木の下で少年が倒れているのを見つけました。驚いて傍に駆け寄ると気を失っているだけのようでした。
「このままじゃ、いけない。家に運びましょう。」
アイリスはそう言って、森の動物達に頼んで少年を家まで運んでもらいました。
「ここは・・・?」
「気がついた?」
「君は?一体・・・?」
混乱する少年にアイリスは少年が森で倒れていたこと、森の動物達に頼んで運んでもらったこと、そして自分は魔女リリーの娘アイリスということを話しました。
「ありがとう、アイリス。」
少年はそう言ってアイリスに狩りに出かけたら森に迷い込んでしまったことく空腹で気を失ったことを話しました。そうしている内に魔女リリーがやってきて元気になるまでここにいるといいと言いました。こうして、少年はしばらく森に留まることとなったのです。