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頭を撫でる優しい手

作者: いさねこ



家に帰ってみたらリビングの灯りとテレビが付いていた。こんな時間に起きてる訳もなくあおいはソファーでまるまっていた。 テレビを消してスーツのジャケットをかけてやる。

いつもラップをかけてテーブルに置いてある夕飯が今日は無い。準備する前に眠気に負けたのだろう。だからきっとキッチンにあるはずだ。あおいが食べる時2人分作ってくれているはずだから。


「今日はなんだろな。」


あおいは料理がとてもうまいから結婚してから毎日の食事が楽しみになった。独身の頃は食事をとること自体が面倒だったのに。


今日はアジの塩焼きと小松菜のおひたしそしてしじみ汁とご飯という純和食。塩焼きとしじみ汁に火を付け温め直す。さあ、その間の時間どうすごそうか。


「ん、ううん」


どうやら物音で起こしてしまったらしい。でも、まだ眠いのかいまいち状況が把握できていないようだ。


「悪い。起こしたか。」

「大丈夫。」


そう言いながら目をパチパチさせソファーに座っているあおいに近づいて行く。多分7割ほど眠っている状態だろう。今にもコテンと倒れてしまいそうにゆらゆらしている。


「あおい。」

「何?」

「ただいま。」

「おかえり。」


それだけ言ってそろそろ魚をひっくり返さないとなので食器棚から皿とお椀を持って一旦キッチンへもどる。その間にあおいは耐えられなかったのかまたソファーに横になって目を瞑った。


返事は返ってこないから眠ってしっまったのかもしれない。しじみ汁がいい具合に温まったのでよそってテーブルに置き、ついでにあおいの顔を覗く。するとゆっくりと瞼をあげた。


「いい匂いだね。」

「自分で作ったやつだろ。」

「そっか。」

「おお。」

「今日のしじみは大きめなのに安かったの。」

「得したな。」


また目を閉じてこくんと頷く。それを見ながらソファーの肘掛の部分に腰掛けあおいの髪を撫でる。


「きもちいい。」

「そりゃあよかった。」


ふにゃっと笑ってもぞもぞと動きず良い位置を探しているようだ。


「寝るならベット行けよ。」

「うん。」


うん。といいながらも移動する気はないらしい。後でベットまで抱えて行かなきゃな、と思う自分はまだ甘いのだろうか。


「お休み。あおい。」

「ん。」

「愛してる」


最後の愛の言葉は届いたのかどうか。

そろそろ魚もいい頃合いだろう。

最後に額にキスをしてキッチンへむかう。



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