表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/61

第2章 序 髪金と私

 いつからか不思議な夢を見るようになっていた。

 それは普通の夢ではなくて、現実となる夢。

 正夢というのかもしれない。


 その不思議な夢を見ることを、みんなに教えたくて、はしゃぎまわった。

 みんながすごいと言ってくれた。それがとてもうれしかった。

 今日はどんな夢が見れるだろうと、毎日ドキドキしながら眠りについた。


 ただ、みんなで飼っていたウサギがいなくなることを夢見て、それが現実になった時、みんなの想いが変わった。


「気持ち悪いんだよ」

「またあいつの言ったことが当たった」


 いつしかその夢は、他の人には気味が悪いものでしかなくなっていた。

 私は自分の気持ちを閉じ込め、そして夢を口にすることをやめた。

 夢は私を苦しめるものでしかなく、心の奥に隠し続けた。


 私がこうやっていれば、誰も嫌がることはない。

 私がこうやっていれば、私も傷つくことはない。


「おい、トロ子って未来が見えるんだって?」

 そんな私に話し掛けてきたのが、髪金だった。

「実はさ、見てもらいたいことがあるんだけどよ」

 目を輝かせている髪金には、私を恐れている様子はなかった。

「……怖くないの? 私は過去も未来も、なんでも見えてしまう」

「すげーよな! いったいどういう風に見えるんだ?」


「……すごい?」

 

 あの日以来、もう言ってもらえないと思っていた言葉だった。

「俺が見てもらいたいのは……ここだけの話だぞ。実はさ、俺、正義のヒーローになりたくてよ。子供の頃、命を助けてもらったことがあってさ。だから今度は俺が助けたいんだ!」

 そう強い口調で話す髪金は、自分が将来ヒーローになっているかどうかを見てもらいたいと言った。

 表情がせわしなく変わる髪金を見て、ずっと閉じ込めていた気持ちが和らいでいくのが分かった。


 その日、私は髪金の未来を見れるように、久々にドキドキした気持ちで眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物紹介登場人物
HONなび
Wandering Network
ネット小説ランキング
ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
こちらもNEWVEL
こちらもカテゴリ別
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ