第5章 第2幕 私達、ニワトリ星人
「ニワトリ星人の方々ですか?」
高揚した彼女の表情に、みんな困惑の顔を浮かべていた。とにかく彼女に合わせてというサインを送る。みんながこくりとうなずいた。
ようこそ! と歓迎する彼女。……自分の部屋にこれだけの見知らぬ人、いやニワトリ星人がいて、びっくりしないのかな……。
彼女を含んだニワトリ星人会議は、彼女の熱弁で彼女だけヒートアップしていた。
彼女は聞いたことのない言葉を羅列する。アダムスキー、グレイ、かろうじて知ってる単語はそれくらいだった。
得意げに話す彼女に、失恋した面影はなかった。
「ところで、ホゲーンって宇宙人ですかね?」
この言葉に彼女は少し首をかしげ、言った。
「かわいいよね、ホゲーン♪」
「……かわいい? かわいいだと?」
リーダーの声色が少し変わった。
「うん、すっごくかわいい♪ 今、携帯のストラップとか出てるんだよ?」
「地球平和の敵をかわいいって、貴様!」
ここはこらえてとリーダーを抑えるが、リーダーは止まらない。
「こらえられる話と、られない話があるんだよ!」
「でもボールダンもかっこいいよね」
その言葉でリーダーの動きは止まった。顔を見るとすごくうれしそうな顔をしていた。
「だろ? ボールダンかっこいいだろ?」
「そ、どっちも応援したいのよね」
「まぁ、ホゲーンもホゲーンなりに頑張っているとは思うがな。ボールダンの方がいいぞ」
鼻を広げながら得意げに言う。
「で、ホゲーンのことは知ってるの?」
キャバクラが相変わらず冷たい口調で聞く。ただ彼女はまったく気にもせず話す。
「私も卒論の研究テーマとしていろいろ調べてるけど、正直、よくわからないんです」
ホゲーンを卒論にして卒業できる大学って……。
「でもホゲーンが宇宙人なら新発見です! 今まで宇宙人はグレータイプやニワトリ星人が主流だったんですが、ホゲーンは今までのとは全然違います!」
ニワトリ星人ってそんなに主流だったんだ……。
「知る方法はないのかね?」
「わかりません。ただ交信するためのオーソドックスな儀式があります。それをやれば交信できるかもしれません」
「その方法とは?」
「ガゼッタ法と呼ばれるもので、手をつないで、宇宙人さんって言うんです」
「ああ、なんかそれTVで見たことある」
「よし、早速チャレンジだ!」
リーダーの言葉にみんなやるの? という顔を浮かべていたが、なかば強制的にやらされることになった。
髪金と手をつないだトロ子はびっくりするくらい真っ赤な顔をしていて、素敵な恋愛しちゃってとちょっとばかり嫉妬した。
髪金はそんな乙女心も知らずに、早くやろうぜとワクワクしているようだ。リーダーも気合充分だ。でも俄然やる気なのは……彼女だ。
こんなにも変わるものなんだ。
キャバクラを見ると、キャバクラも私を見ていて不適に笑った。すぐ目をそらした。
――私は間違ってない。
「はじめて……これやるのはじめて! なんか興奮してきた!」
彼女は鼻血を垂らしながら、叫ぶ。すごい興奮状態だ。
「さあ、やるぞ!」
「ホゲーンさん、ホゲーンさん、聞こえますか? いたら姿を見せてください。聞こえますか?」
そして驚くことにその言葉に応じたのか、ゆっくりとドアが開いた。