表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/61

第4章 最終幕 そして動くもうひとつの想い

「…最悪だ」

 だっしゅはげっそりとした顔でキャンディに呟いた。


 昨日だっしゅは、ロボが停止して落ち着いた頃、息を切らして戻ってきた。リーダーにすごく怒られていたけど、リーダーの言葉を遮って「急いで戻らないと」と言って、また部屋を出て行った。当然戻ってきた時には、さらにリーダーに怒られていた。

 危険時に出動しなかったキャバクラも怒られていたけど、「謹慎中と言ったのはリーダーでしょ」との一言で話は終わった。

 キャバクラは去り際、「今日は表情が明るいわね」と声をかけてきた。たしかに私は落ち着いていた。


「大丈夫よ、どうせ待ったって来なかったわよ」

 だってあれはラブレターじゃないんだから――その事実を私からは言わないでいた。


 だっしゅの大きなため息のあと、カチャと部屋の扉が開いた。

 そこにはうつむいた彼女がいた。彼女の目は赤く充血していた。

「……ふられちゃった」

 精一杯無理してつくった笑顔の彼女に、だっしゅは反論した。

「違うんだよ! ちゃんと待ち合わせ場所にいたんだけど、急用が出来てさ! どうしてもはずせなくて……ごめん!」

「そりゃそうだよね、私のことなんて」

「そんなことない、僕は、僕は君のことが……」

「嫌いだって言われた。私のこと、嫌いだって言われた」

 だっしゅはその言葉にきょとんとしていた。

「……言ってないよ、そんなこと。なに言ってるの?」

「ふられちゃった」

 彼女は涙をポトポトと落としながら、その場に座り込んだ。

「あ、あのさ、お詫びといってはなんだけど、今度、今度さ……。……ねえ、泣かないでよ、ねぇ、泣かないでよ。……泣かないでよ」

 彼女を心配そうに見るだっしゅの手には、遊園地のチケットが握り締められていた。


 だっしゅと彼女はこの日、失恋した。



   ※



 ――ソノオモイ、トジコメマショ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物紹介登場人物
HONなび
Wandering Network
ネット小説ランキング
ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
こちらもNEWVEL
こちらもカテゴリ別
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ