第4章 第7幕 そして現実へ
「動くな! 動くな、こっちには爆弾があるんです!」
爆弾を掲げるロボに、全員が困惑していた。
「どういうことだ、ロボ!」
「すいません、リーダー。ボールダンは偉大なるミスターにとって、邪魔な存在なのです」
「何を言っている!?」
「私は偉大なるミスターに作られた、偉大なるスーパーロボットのパーツなのです」
「ミスターに作られた?」
「はい」
「この野郎、どこのパーツだ!」
「上半身の一部です」
夢と同じく律儀に会話は並べられていく。緊張感がない会話、でもその結末は……。
「素敵な恋をしてないのに死にたくない!」
このあとの髪金の言葉の前に、私がロボに立ち向かわないと。そうやって夢と変えないと、髪金は……。
「……俺が」
髪金の言葉と同時に、私はロボに向かい走り始めた。握りしめた水入りペットボトル。これでロボをショートさせないと!
ただ勢いよく走り出した私の手を、しっかりと握る手があった。掴んでいたのは髪金だった。
私はぐいっと引き寄せられ、そして髪金が私の目の前に立つ。髪金は懐から銃を出してロボに向けた。よく見ると、他のみんなも銃を構えている。
「俺達が、トロ子を助ける」
その言葉は私の夢と違っていた。
「そんな水の量で勝てるかよ。お前1人でロボと戦う気だったのか?」
よく見ると銃に見えたものは、水鉄砲だった。
「……なんで?」
「未来を見たからかな」
髪金の言葉に、キャンディーさんが笑った。
「寝言を聞いてたのよ。隠していたつもりなんだろうけどね、全部バレバレだったわけ。だから無茶しないようにずっと監視していたの。監視の監視ってやつね」
「しかし、トロ子君がこんなに行動的とはね。無表情で、ただ冷静に物事を判断しているだけかと思っていたけど、熱いものもあるんだね」
クールさんが鳴らない口笛を吹く。
「戦おうとする気持ちはナイスだが、仲間のために身を捨てるなど、良いとは言い切れない」
「俺なんか助けたっていいことないぜ?」
「ハゲという遺伝がひとつ消える」
「ハゲてないっての!」
「私もハゲてない!」
「……別にリーダーには言ってないけど」
この人たちは私をずっと見守ってくれていたんだ。私なんかのために……。