第3章 1幕 ロボの謀反
「動くな! 動くな、こっちには爆弾があるんです!」
爆弾を掲げるロボに、全員が困惑していた。
「どういうことだ、ロボ!」
「すいません、リーダー。ボールダンは偉大なるミスターにとって邪魔な存在なのです」
「何を言っている!?」
「私は偉大なるミスターに作られた、偉大なるスーパーロボットのパーツなのです」
「ミスターに作られた?」
「はい」
「この野郎、どこのパーツだ!」
いや、どこのパーツでも……。
「上半身の一部です」
律儀に答えなくても……。
どうして私の周りは緊迫感がないのだろうと思う。
突然、ロボが爆弾を片手にみんなの前に現れ、私たちボルレンジャーは、ピンチにさらされていた。
「素敵な恋をしてないのに死にたくない!」
キャンディーさんの叫び声が響く。
「だっしゅ君、せめて死ぬときは僕のラブレターにしてくれ!」
「ダメだ、これは僕が勝ち取ったんだ!」
こちらでも呑気な話をしている人たち……。爆弾を前にした緊迫感ではない。
でも「俺がみんなを助ける」という髪金の言葉に、みんなが静寂した。
髪金の手には液体の入ったペットボトルが握られている。
「ロボ、少し待っててくれるか」
そのお願いをすんなりと了承したロボは、『偉大なるスーパーロボット辞典』を片手に読書を始めた。
その隙に髪金を中心として円陣が組まれ、ロボに聞こえないように小声で作戦会議が始まった。
作戦自体は単純なもので、捕獲網の方向にロボの好物であるオイルを投げ、そのまま捕まえるというものだった。
「うまくいくかしら?」
「自信ありだね、なぜならあいつは物欲に弱い!」
その言葉に全員が「ああ」とうなずいた。ロボは物、特にメカ的な物に非常に興味を引かれる存在だったから。