表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/61

第2章 最終幕 I‘m ニワトリ星人


 ――見つかった!


 ダンボール裏では、怒りの形相のリーダーがこっちを見ている。

 あのリーダーの暴走が私たちに向けられると思うと、ゾッとした。大変なことになってしまった……。

 ただこうなってしまった以上、この状況をどう打破するかを考えなくては。

 「…誰?」

 そりゃそうよね、誰って思うよね。

 「あの、その……」

 だっしゅが頼りなく、オドオドと声を出す。さっきまでの積極的なだっしゅは影を潜めている。

 彼女はドアに隠れ、怪しい人?と聞いてきた。はい、怪しい人ですと答える人はまずいない。だっしゅは相変わらずオドオドしていて、彼女の質問に答えられないでいる。

 「……怪しい」

 「あ、怪しくないですよ、ほんと」

 彼女はドアに隠れたまま出てこない。やはり怪しいか。ここで事を大きくしては、警察に通報されるかもしれない。

 「どうしようか」とだっしゅに聞こうとしたら、その前にだっしゅが「どうしようか」と聞いてきた。私に頼っちゃうんですか……。

 「とりあえず挨拶して真摯な態度を見せるべきじゃない?」と言うと、だっしゅは「なるほど」と頷いた。

 「…こ、こここここ」

 挨拶も出来ないの!?

 「ニワトリ星人!?」

 なにそれ!?

 彼女は興味深そうに身を乗り出していた。

 「そ、そう、僕らはニワトリ星人。ね?」

 「何よ、ニワトリ星人って!」

 すると彼女は再びドアに隠れた。ニワトリ星人だったらよかったの!?

 「警察……呼びますよ?」

 バカ!と、だっしゅに小声で言った。

 「じ、実はぁ、私達、恋で悩んでいるあなたを救うために現れた、キューピットなんです♪」

 彼女はポケットから携帯を取り出す。

 「よくわかりましたね!そうです、ニワトリ星人です!コケ」

 彼女は携帯をポケットに入れなおし、驚いたようにドアから出てきた。どうやらニワトリ星人はOKのようだ。

 「なんでニワトリ星人が私のところに?」

 知らないよ、こっちが聞きたいよ。

 だっしゅに「どうするのよ」と目を向けると、もう私に「任せました」みたいな目を向けていた。どうやらニワトリ星人としての対応は、私がやらなければいけないみたいだ。

 「じ、実はUFOが不時着しまして。近くにあったこの部屋で休ませてもらっていたところです」

 「そうなんですか」

 いいんだ、それでいいんだ、あなたは。


 その時、だっしゅが何もない壁を見てつぶやいた。

 「…誰、お前?」

 「…どうしたの?」

 「あいつ」

 と、指差した先は白い壁でしかない。小声でだっしゅに「変なアドリブやめてよ」と言ったけど、だっしゅは真剣な顔で言った。

 「いるじゃないか」

 彼女も首を傾げている。

 「…誰?」

 だっしゅの行動は不可解なものだった。



  *



 その日の夕方、ロボは電話回線から外部にアクセスを行っていた。

 「ネットワーク接続OK。データ受信、データ受信。申し訳ありません、果たし状は渡せませんでした。……はい、わかりました、作戦を変更します。命令次第、自爆装置でボールダンを破壊します。それで偉大なるスーパーロボットが完成するのですね?」

 そのやりとりをダンボール裏からキャバクラが見ている。ロボはそれに気付いていなかった。

 「……偉大なるミスター?スパイってことかしら?あらあら、大変だ。でも、興味があるのは偉大なるスーパーロボットっていう言葉。それはボールダンより強いかしら?ちゃんと守ってくれるかしら?……でもね、ロボ。もっと強いロボットが私達を守ってくれるから、あなたのロボットは必要ないのよ」

キャバクラは、小さく微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物紹介登場人物
HONなび
Wandering Network
ネット小説ランキング
ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
こちらもNEWVEL
こちらもカテゴリ別
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ