うさぎのお巡りさん ③
読者の皆様
のんびり投稿ですみません
ちまちま進行ですが、どうかお付き合いくださいm(_ _)m
なんとか仕事を終えて走って行ったにも関わらず、俺は電車に乗り遅れてしまった。
「まじか……」
あれに乗ればギリギリだけど間に合った。けれどどんなに後悔したって時間が巻き戻るはずもなく、走り去った電車を見送ることしかできなかった。
「仕方ない……メールしとこう」
とりあえず、先の駅で待っているはずの唯花にメールをする。
ちょっとでもほっとけば一人で行って迷子になる困った彼女を引き止めるためだ。
「よし……あとは待つしかないな」
次の電車まではまだ時間がある。とりあえず座って待とうとしたその時だった。
「……っ……すみません!」
横から感じた衝撃と、フワッと香る甘い香り。よろける俺に間髪空けずに頭を下げたのは一人の少女で、どうやらさっきの衝撃は彼女がぶつかってきたからだと分かった。
「いや、だいじょ……」
大丈夫、と言いかけてハタと持っていたはずの携帯電話がないことに気付く。
辺りを見渡してみれば難なく見つけられたものの、液晶画面にヒビが入っているのが遠目でも確認できた。
俺が拾い上げた携帯電話を見て、少女の顔が一気に青ざめる。
「……っ! す、すみません!!」
「いや、不可抗力ですから」
仕方ないと思いながらも乾いた笑いしか出ない。拾った携帯電話のボタンを押してはみたものの、やはり反応はなかった。
修理で済むか、買い換えか。どちらにせよ、唯花との連絡ができなくなった。こっちの方が俺にとっては一大事。
「本当にすみません……あの、弁償しますから……」
少女は今にも泣き出しそうな顔をしている。その表情を見ていると、なんだか俺の方が悪いことをしている気分になってきた。
今日は散々な1日だと感じながら、俺は小さくため息をつくしかなかった。