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なんだか成り行きで登録しちまった………

カランカラン…


ギルドの扉を開くと、小気味の良い鐘の音を響かせる。


中の様子は、ちょっと広いロビーみたいになっていた。

数組のテーブルとイス、受付と思われる窓口が5つ…。


でも、窓口に人が居るのは2つ。

ま、俺達以外は誰も居ないからか?


俺とディエナはその内の一つに向かう。


「ようこそ♪冒険者ギルドへ♪今日はどの様なご用件でしょうか?」


事務仕事(?)をしていたお姉さんが顔を上げて、これまた素敵な笑顔で迎えてくれた。

薄い緑色の髪と、髪と同じ色の瞳。

俺よりか、少し年上かな?

ついつい素敵な笑顔だったので、見惚れてしまっていた。


「あ………あの?」

怪訝な顔をして俺を見つめる受付嬢。

うむ!!そんな顔も素敵だ!!


ダンッッッ!!!


「ぎゃんっっ!!!!!」


もの凄い音と共に俺の足に走る激痛。

横を見てみると、ディエナが俺の足を、力の限り踏んで俺を睨んでいた。


ディエナさん……あんた、何ばしよっと~ね?


「あ………あの~」


恐る恐る声を掛けてくる受付嬢。

おぉう。すっかり忘れていた。いや、失敬。


「すいません、街で宿を取ろうとしたんですが、生憎と満室でして…。で、宿屋の女将さんにギルドなら宿舎があるから、行ってみると良い…と言われたので、来たんですが…」

「あ~!!宿舎ですね?確かにギルドには有りますよ。今の時期は武闘祭で街の宿屋はなかなか部屋が取れないですもんね~。え~と、ちょっと待ってて下さいね」


そう言って、後ろの棚からファイルらしき物を取り出し、パラパラと捲っていく。


「あ、宿舎の部屋ですが、空いてますね。どうなさいますか?」


おぉ!!空いてた♪コレで野宿は回避出来たぞ!!


「お願いします」

「はい。分かりました。では、ギルド認定証をお出し下さい」


笑顔でそんな事を仰るお姉さん。

ギルド認定証……?

まさか………


「あ…あの~、もしかして、ギルドの宿舎ってギルドに登録してないと使えないんですか?」


俺が質問をすると、お姉さんは


「はい。そうですけど…登録………してない方ですか?」


キョトンとするお姉さん。


「はぁ…、登録してない……です」


そりゃ、異世界から来たばかりで♪

なんて、言えないッス…。

ガックリと肩を落とす俺を見て、お姉さんはクスクスと笑いながら


「じゃあ、今から登録なさいますか?この用紙に必要事項を記入するだけで、すぐに終わりますから」


そう言いながら、ス…と一枚の紙を差し出す。


「そうなんですか?じゃあ、登録します」

「分かりました♪じゃあ、記入をお願いしますね♪」


用紙を受け取り、記入しようとする俺だが…


字が…読めねぇ…


「ディエナ、教えてくれないか?」


横に居るディエナの方を見ると、何故かプイッと顔を背けられた。


あれ?俺、何かした?


「ディエナさ~ん?」


俺がディエナの頭を撫でてみると


「知らないもん…」

「どうしたんだ?ディエナ」

「だって…ツキヤ……………」

「ん?俺がどうした?」

「ツキヤが受付のお姉さんに見惚れてたから…」


モジモジしながら頬を膨らませて、小声で呟くディエナ。


……あ~……。なるほど。こりゃアレか……。所謂ヤキモチってヤツか?

「ディエナ」


俺はディエナの名前を呼んで、顔をコチラに向けさせる。


「あのなぁ…俺が誰に見惚れようが、俺の中での一番はディエナだ。それは何があろうと変わらない不変の感情。それとも、ディエナは俺の事を信じれないか?」


そう言って、ディエナの額に俺の額をくっつける。


次第に顔が真っ赤になっていくディエナ。


「ツキヤの事…信じる」

「良かった」


俺はニッコリと笑ってディエナの頭を撫でる。

気持ちが良いのか、目を細めるディエナ。


さて、ディエナの機嫌も良くなったし、さっさと記入しますか。



それから俺はディエナに代筆を頼んで用紙の記入欄を埋めていく。

だって、字…書けないんだよ……(泣)



記入を終えて、お姉さんに渡す。


「はい。ありがとうございます。え~っと、ツキヤ・サカキさんで宜しいですね?」

「はい」「では、少々お待ちください」


そう言うと、お姉さんは用紙に銀色の板を重ねる。


「ツキヤさん、今から認定証を作成しますが、認定証の形は自由に決めれます。もし、ご希望が無ければプレートタイプになりますが…」


ふむ…形は自由なのか…なら…


俺はお姉さんに紙とペンを借りてイラストを描く。


「コレでお願いします。タイプは首からさげれるタイプで」

「分かりました」


銀色の板に俺が描いたデザイン画を載せて何かを呟く。


すると……


「おぉっ!?」

「わぁ♪」


驚く俺と、楽しそうに目を丸くするディエナ。


用紙に重ねられた銀色の板が、俺のデザイン画と同じ形に成形されていく。


ぬぉぉぉっ!!ファンタジーじゃぁぁぁ♪



「はい。終わりました。コレがツキヤさんのギルド認定証となります。紛失等致しましたら、再発行は出来ますが、その際有料となりますので、お気を付けください」


そう言われて、お姉さんから認定証を受け取り首に掛ける。


俺がデザインしたのは、剣に翼を広げたドラゴンが絡みついた形。

そう、某魔術師が首から下げている魔術師の証だ。


「カッコいい~」


目をキラキラさせて見上げるディエナ。


「私も初めて見た形ですが、カッコいいですね♪」


笑顔のお姉さん。


よ!!よせやい!!照れるじゃねぇか♪


「ギルドの説明を致しましょうか?」

「あ、お願いします」

「はい♪では………」


それから俺とディエナはお姉さんから説明を受けた。

ギルドの中にはギルドランクがあり、ランクは7段階。

下からE・D・C・B・A・S・SSとあり、最初は皆、例外無くEからスタート。

ギルドで取り扱っている依頼を受け、条件を満たすとランクアップ。

その条件は……

一、自分のランクよりも一つ上のランクの依頼を10、もしくは二つ上のランクの依頼を5つ達成すれば、ランクアップ。

一、自分のランクよりも二つ上のランク指定されている魔物を5体討伐すればランクアップ。

一、ギルド内でのランクアップ試験を受け、合格すればランクアップ。


というものだった。


依頼を受け、失敗するのは良いが、余りにも依頼失敗率が高いと、ギルドからペナルティが課せられる。内容は、ランクダウンや違約金等々……。



「……で、何か質問ありますか?」

「ん~、特に無いかな…」

「分かりました。では、ツキヤ・カミシロさん。冒険者ギルドへようこそ♪」


ここから俺、神代 月夜の冒険者ライフはスタートするのだ♪




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