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過ぎたる力は己をも傷付ける……

あれ?


話の内容が重くなった?

こんなハズじゃなかったのにぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?



初の女性sideの描写です。

やるつもりはなかったのですが、アレがないと話が纏まらない気がして……(汗)



「突然の申し出を受けていただき、感謝します」


俺達は城内にある修練場に来ていた。

俺とリオンは修練場内にある闘技場の上で相対する。


「感謝するなら、そのニヤニヤしたツラをどうにかしろ」


ムカついて仕方がねぇ……。


「では、模擬戦を始める!!ルールは相手に参ったと言わせるか戦闘不能にさせたら勝利とする!!」


声を張り上げ、ルール説明をするアメリア。


「ツキヤ〜!!頑張るのじゃ〜♪」

「ツキヤ!!無理しないでよ!!」


シャイナとキッシャが俺に声を掛ける。

シャイナ、いつ来た!?



ヒュンヒュンと風切り音を立てながら、自身の得物……槍を振り回すリオン。

槍………つーか長いな。

リオンの所持する槍は、普通の槍よりも長く、その形は刃の部分が他の槍よりも二倍ほど長い。


「コレはボクの為に造らせた特注品でね……。しかし、本当に嬉しいよ」

「……何がだよ」

「噂の闘神……最強種族であるドラゴンをたった一人で……しかも無手で倒した人物……」


ニヤニヤとするリオン。

あ〜ムカつく。


「そんな人と闘えるなんて……」


突然、そのニヤケ面をやめると…


「人の噂なんて、信憑性が無い物……。直ぐに化けの皮を剥がしてあげるよ」


フンッ……と鼻で笑い、上から目線での物言い。

コイツ………。


「御託はいいから、さっさとやろうぜ……」

「威勢が良いね」


ピタッと振り回していた槍を眼前で構えるリオン。


「ちょっと待て!!リオン殿!?その槍は模擬槍ではないではないか!?刃引きをしておらぬ得物で模擬戦など認める訳には「良いよ」ツキヤ殿!?」


慌てるアメリアを制止して、俺は続ける。


「刃引きしてない武器を使うってんなら、それでも構わないさ……」

「しかし、ツキヤ殿……」

「良いのかい?下手をしたら死に繋がるよ?」

「構わないって言ってるだろう?………さぁ」


最後の一言で、俺の雰囲気は一気に変わる。


「………殺り合おうか」


殺気を解放。


「「………ッ!?」」


殺気に当てられて、息を詰まらせるアメリアとリオン。

シャイナは以前、体験しているから二人程ではなかった。


「……は………始め!!」


アメリアの掛け声と同時に、距離を詰めてくるリオン。


意外と速いな。


「ハァッ!!」


ヒュボッ!!と言う音と共に、ほぼ同時に見える三連突きが俺の頭部を狙ってくる。

俺はそれを首を捻るだけで回避。

「セイッ!!」


回避したとみるや、横薙ぎに一閃。

しゃがんで回避すると、突然槍の軌道がかわり柄の先端が、顎を目掛けて跳ね上がってくる。


「チッ!!」


俺はそのままバク転してかわすと、そのまま距離を取る。


「………あの連撃を避けるとは」

「生憎、そう簡単にやられる訳にはいかないんでね」


お互い、睨み合う。



「な………何という攻防だ」

「そうか…。姉様はツキヤの闘う姿を初めて見るのじゃな」

「あ……あぁ。あのリオンの攻撃を全て回避するとは……」

「驚くのはまだ早いのじゃ。ツキヤは全くと言っていい程、力を出してはおらぬ」

「な!?」

「まぁ、見ていれば姉様にも分かります……」



「さて………次は此方から行かせてもらうぞ」


ニヤリと笑い、今度は俺がリオンとの距離を詰める。


「な!?速い!?」


一瞬でリオンの正面に現れ、そのままハイキックを放つ。


「ぐ!?」


槍を縦にして柄の部分で蹴りを受けるリオン。

意外と弾力があるな。


「今の動きに反応出来たのは誉めるが、俺の攻撃は受け止めちゃダメだな」

「何を……っ!?」

「ッラァッ!!!!」


俺はそのまま足を振り抜き、槍もろともリオンを吹き飛ばす。


「バッ!!バカなッ!?」


驚きながらも吹き飛ぶリオン。



「な!?リオン殿を軽々と!?」

「当たり前じゃ。姉様……ツキヤはあのドラゴンの巨体を蹴り技だけで宙に浮かすのじゃぞ?」

「そんなバカな!?」



ズザァ……と、闘技場を滑るリオン。


「クッ!!」


と、慌てて起き上がったリオンの目の前には、既に距離を詰めた俺の姿。


「甘いよ…甘過ぎる………。俺に喧嘩を売るなんて…甘過ぎるんだよ、アンタ」

「!?」


驚きの表情をするリオン。


「クソッ!!」


槍を振り下ろすリオンだが、俺はその槍を下から蹴り上げ弾き返す。


「なっ!!」

「戦場でどれだけ腕が立つのかは知らない…」


リオンのがら空きになった右脇腹に蹴りを入れる。

勿論、吹き飛ばない位に加減して……。


「どれだけ他人の命を奪ったかなんて知らない……」


更に左脇腹にも蹴りを入れる。


「ガァッ!!」


苦悶の表情に変わるリオン。


「どれだけ大勢の上に立ってるかなんて、どうでも良い………」


左右の腿に蹴りを叩き込み、堪らずしゃがみ込もうとするリオンの顔を蹴り上げて、無理矢理立たせる。


「ハブァッ!!」


鼻の骨が折れたのか、盛大に鼻血を噴き出すが、関係無い。


「でもなぁっ!!」

「ヒッ!?」


腹に蹴りを入れて、リオンがくの字に身体を曲げる。

が、放たれた足は、そのままリオンの顎を撃ち抜き顔を上げさせる。


「ギャフッ!?」

「俺はテメェに舐められる様な事は何一つ無ぇんだよ!!」

「や!!やめ…!?」


リオンの悲痛な叫び。

だが、俺は止まらない……。


「相手見てから喧嘩売れや!!バカヤロウッ!!」


脚を鞭の様にしならせて、リオンの頭部にヒット。

しかし、脚は止まらずリオンの顔を地面に叩き付ける。


「ガギャッ!!!!」


気絶したのか、ピクリとも動かないリオンに目もくれず背中を向けて、


「余計な闘いやらせやがって………後味悪いったらありゃしねぇぜ……」



「し………勝者、ツキヤ殿!!」


顔を青くしながらも、宣言するアメリアに近付き、


「悪いな、アメリア。お前の所の隊長さん……暫くは使い物にならな「ヒッ!!」……………」



肩を叩こうとした俺に、顔を引きつらせて、小さく悲鳴をあげるアメリア。


………あぁ、そうか。

この力は………人を簡単に傷付けるモノだった………。


「…………………」

「あ………いや、ツキヤど「……………帰るわ」」


恐る恐る此方を伺うアメリアに、そう呟いて城から出る為に歩き出す。



…………暫く一人になりたいかも。






〜side アメリア〜



リオン殿との模擬戦。

私はツキヤ殿が噂される程の力があるのか確かめたかった。

妹が言う程の力があるのか…………を。


確かにツキヤ殿の動きは凄まじいかった。

だが、武器を所持する相手……しかも我が国の中でも屈指の実力者でもあるリオン殿が手も足も出せずに、一方的にやられた。


私は恐怖した………。

彼は本当に人間なのだろうか?………と。


「悪いな、アメリア。お前の所の隊長さん……暫くは使い物にならな「ヒッ!!」……………」


しまった!!

恐怖心が身体を支配してしまい、思わず悲鳴をあげてしまった!!


ツキヤ殿は呆然と立ち竦み、私を見ていた。

何か弁解をせねばっ!!


「あ………いや、ツキヤど「……………帰るわ」」


そう呟いて立ち去るツキヤ殿。

既に彼の瞳は焦点が合っていない様で、どこかしら泣きそうな……悲しそうな表情をしていた………。


あぁ……私は何て事をしてしまったのだろうか………。


立ち去る彼を呼び止めようとするが、その後ろ姿に声を掛けられず…ただ……ただ、見詰めている事しか出来なかった………。





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