一難去って、また一難?また何だか波乱の予感………
ツキヤ君の異世界ライフにゴールなんて御座いません♪
でも、たま~にちょっぴりシリアスなんです。
最後は笑いになっちゃうんですけどね( ̄ー ̄)
「………知らない天井だ」
はい!!やっちゃいました!!
このネタ、二回目です!!
ども♪ツキヤです。
前回、ドラゴンとの死闘(?)を繰り広げて、気絶しちゃったんだけど、目を覚ましたら知らない部屋のベッドの上です。
「何があったんだろ?」
状況把握も出来ないまま、考え込んでると……
コンコン……ガチャ
扉を開けて入ってきたのは……
「……ツキヤ?」
ディエナでした。
「よ♪ディエナ。おはよ「バカァァァァァァァッ!!」ウボフゥッ!?」
目覚めのあいさつをしようと思ったら、いきなりダイブしてきやがった……
「いってぇ……おい、ディエナ。いきなり馬鹿呼ばわりでダイブはないだろ、ダイブは……」
「……………カ」
「ん?」
「……ツキヤのバカ………心配したんだから…………」
ディエナの頬に涙が零れる。
「あ〜………心配掛けてすまなかったな」
「ホントだよ……でも良かった、気が付いて。アレから三日間寝てたんだから」
「…………ハイ?今、何と仰いました?」
「だから、ツキヤはアレから三日間寝てたの」
な!?何という事実!!
俺、三日間も寝てたの??マジで!?どうやら、ドラゴンと闘った後、気を失った俺はそのまま病院へと搬送され入院。で、今に至ると………。
「失礼するよ」
俺が項垂れていたら、またもや部屋に来客が…
「ツキヤ殿、気が付いて何よりだ」
「本当に心配致しました…」
「ツキヤ!!気が付いたのか!?」
王族御一行様ごあんな〜い♪
「つ〜か、普通に王家の皆さんが見舞いに来るって、ど〜よ?」
「何か不味いのか?」
「いや、王様?不味いっつ〜か、そんなにホイホイ出歩いて、城の方は大丈夫なのかよ…」
「ふむ……その事なら問題ない」
「宰相に仕事は押し付けて来たのじゃ♪」
あぁ…哀れ宰相さん。
貴方の苦労は多分、報われないでしょう…。
「で、何用なワケ?」
「先の件でな……ツキヤ殿、この国を救って頂いて、本当にありがとう。感謝の言葉も「ストップ!!」…?」
「国のトップが冒険者風情に簡単に頭を下げるな」
「だが、しかし!!」
「俺はディエナの居場所を護っただけだ。アンタ達の事はついでだよ、ついで」
俺はディエナの頭を撫でる。
その言葉に、ぽか〜んと口を開けたままの王様。
「では、褒美を「要らない」何故!?」
「別に褒美とか貰う理由がないからね。困ってる友を助けるのに、見返りを求めるなんて、あり得ないよ」
「アナタ……ここはツキヤ殿の御好意に甘えるべきじゃないかしら?ツキヤ殿……本当にありがとう」
そう言って微笑む王妃様。
「どういたしまして」
苦笑しながら、王妃様の言葉を受け取る。
「さ、こうしてても仕方がないのだから、そろそろ城に戻りましょう?」
王様とシャイナを引き連れて退室する御一行。
廊下の向こうから「また来るぞ〜!!」と、シャイナと王様の叫び声が聞こえてきた。
シャイナはともかく、王様は不味いだろ……。
「さて、客も消えたし……ディエナ」
「なに?」
「少し腹が減った。屋台にでも行こうか」
「!!……うん♪」
「ふぇぇぇぇんっ!!ツキヤ君が元気になったぁぁぁ」
屋台でクレープみたいなモノを購入して、中央広場のベンチでディエナとノンビリしていたんだけど、その姿をみて、マリーさんが泣きながら走ってきたのだ。
「いや、あの……マリーさん?とにかく落ち着いて……ね?」
「無理だよぉぉぉ」
グシグシと涙を拭きながらも、更に涙を流すマリーさん。
そんなマリーさんを前に、オタオタする俺。
その光景をニタニタと笑いながら眺めてるディエナ。
助けてよ……ディエナさん(泣)
「あ、そうだ!!ツキヤ、あの時現れた魔獣みたいなヤツって何だったの?」
「魔獣?……あぁ、召喚獣の事か?」
「そう、それ!!」
「アレは………この世界とは別世界……幻獣界って所に住む幻獣ってヤツだ」
間違って…………ないよね?
「んで、その幻獣界とこの世界とを繋ぐ門を顕現させて、幻獣を召喚したワケ」
「………その『召喚』って、誰でも出来るの?」
「いや……誰でも出来る訳じゃない。幻獣と心を交わし、主と認めてもらって初めて召喚が出来るんだ」
「なるほど〜」
納得して頂けて、何よりです。
「でも、あのドラゴンを倒した時のツキヤ………カッコ良かったなぁ………」
ウットリとした瞳で遠くを見詰めるディエナ。
お〜い、帰ってこ〜い。
「ふぇ!?あのドラゴンって、ツキヤ君が倒したの?一人で?」
あ、マリーさんが復活した。
「そうだよ〜♪ハァ〜……マリーさんにも見せたかったなぁ……あの時のツキヤ」
「う〜……見てみたかったです」
「確かに、あの時のツキヤ殿は雄々しく勇ましかったな」
………ん?
何やら二人とは違う声が混ざって………おぉう!!隊長さん!?
いつの間に……?
「あ、隊長さんだ♪」
「シェラさん♪」
「ディエナ殿、マリー殿、ツキヤ殿。お邪魔するよ」
いやまぁ、隊長さん美人だから拒否る理由はないけど……
「しかし、あのドラゴンをたった一人で……しかも徒手空拳。一体、どれ程の鍛錬を積めばそこまで強くなれるのか……」
「そんなに凄かったんですか?」
「スゴいなんてモンじゃ無かったんだから!!あのドラゴンの巨体を蹴り技だけで宙に浮かしたんだから!!」
「そうそう!!それから目にも止まらぬ連撃!!アレは凄まじかった!!」
「ドラゴンに攻撃する前に何か呟いて………ねぇ、ツキヤ?」
「あん?」
ったく、女三人揃って、キャッキャと話に華咲かせやがって………て、いきなり振るなよ、ディエナ。
「あの時、何て言ってたの?」
「あの時?……あぁ、武技言語か?」
「「「武技言語?」」」
三人が興味津々で近付いてくる。
近い!!近いから!!
マリーさんも隊長さんも、くっつき過ぎ!!
「所謂、自己暗示みたいなモンだよ。あの言葉を発する事によって、自身の身体を最高限界まで高めるモンだ」
「ふぇぇぇぇ」
「なるほど……自己暗示か……」
「で?ツキヤは何て言ったの?」
「『我は無敵なり。我が牙に敵うもの無し。我が一撃は無敵なり。』」
「「「か…………」」」
…………か?
「「「カッコいぃぃぃぃぃっ!!」」」
更にキャッキャと騒ぎ出す三人。
アホらし……付き合ってられんな。
俺は三人を置いて、その場を去る。
さて………何処に行こうか?
そして俺は一人、街を見渡せる城壁の一番高い場所に居た。
「いや〜、絶景かな!!絶景かな!!」
ふぅ………確かにあの時、俺は俺自身の力で命を刈り取った……。
今でも、あの時の感触は身体に残っている。
だけど、不思議と罪悪感が無い………。
相手が人では無かったから?
いや、違う。例え人であろうがドラゴンであろうが、命の重さには変わりはない。
なら、何故?
この世界では、当たり前の様に命のやり取りが繰り広げられている。
魔獣の討伐。野党の討伐。戦争………。
前の世界では考えられなかった。
でも、これも現実……。心のどこかで覚悟は決まっていたのかもしれない……。
もしかしたら、あの女神が精神補正してくれたのかも知れない……。
考え出したらきりがない。
ヤメだ、ヤメ。
俺はこの力を、大切なモノを護る為に使おう。
今それを、ここに誓う……。
………………ザッザッザッザッザッザッ……。
ん?足音?
しかも複数……何だ?
下を眺めて見ると、そこには何千という兵を引き連れて、こちらに向かう一団。
「………あれは」
その一団の先頭を進む馬の上には、燃える様な紅い髪を靡かせて、威風堂々としている女性。
その後ろにはガウィル王国の国旗……深紅の鳥をデザインした旗を風にたなびかせて……。
どうやら、遠征に出ていた第一王女様の凱旋の様だ。
俺は自然と口元を吊り上げて、ニヤリと笑っていた。
まだまだ俺の異世界ライフ……楽しくなりそうだ♪
ちなみに、そのあと病室に戻った俺は、ディエナ、マリーさん、隊長さんにこっぴどくお叱りをうけてしまいました。
ディ………ディエナさん!?ソレは椅子という腰掛ける物で、決して人を殴る物では……アッーーーーーーー。