ほらぁ~…。やっぱり変なフラグ立ってたんじゃん。
時間経過が早い?
ツキヤ君は基本的にダラダラと毎日を過ごしています。
依頼やったり……隊長さんをからかって街を追い掛けられたり……
「…………ん………zzzzz」
ドタドタドタドタドタドタ!!
バンッ!!!!
「ツ!!ツキヤ君!!」
「んあ?」
ちわ♪皆、元気?
異世界に飛ばされた榊 月夜だよ♪
部屋でのんびり寝てたんだけど、ギルドの受付のお姉さん……マリーさんが血相変えて部屋に飛び込んで来たんだ。
「あり……マリーさん?」
コッチの世界に飛ばされて、既に一週間が過ぎたんだけど……
え?武闘会?
もう終わっちゃったよ♪
参加?しないしない。だって面倒くさいだろ?
優勝は確か……ランクSのナントカさんが優勝したみたいだけど、ぶっちゃけ俺には関係無いから覚えてない。
「マリーさん?じゃないよ!!」
「何かあったの?」
「今、王族直属の近衛兵団が来て、ツキヤ君を出せって……」
「近衛兵団?……王族直属の?」
「うん……ツキヤ君、何か悪い事したの?」
おいおい、マリーさん……人聞きの悪い事言わないでくれよ。
それに、悪い事したなら近衛兵じゃなくて、街の衛兵が来るっしょ……。
「何の用件かは分からないけど、とりあえず行くから…………あれ?そう言えば、ディエナは?」
「ディエナちゃんなら、近衛兵に睨み利かせてるよ……」
「あ〜………。了解」
俺はそう言って、ギルドのロビーへと向かう。マリーさんは俺の後ろを着いてきていた。
「ツキヤが何かしたの!?」
「いや……そういう訳ではないのだが……」
「だったら、用件は何?ハッキリ言わなきゃ分かんないじゃない!!」
「いや、だからそれは本人が来てから…………」
「私には言えないって言うの!?」
ロビーに着いて目にした物は、ディエナが兵士に喰って掛かり、タジタジになってる兵士だった。
ナニコレ?………カオス?
「は〜い、ディエナ。そこまで」
俺はディエナに近付き、頭を撫でる。
「ツキヤ♪」
俺に抱き着くディエナ。
あるぇ?抱き癖が付いたか?
そんなディエナを見て、ムッとするマリーさん。
いや……マリーさんフラグ、建ててないッスけど……あれ?
「おぉ!!貴殿がツキヤ殿ですな?」
近衛兵のおっちゃんが声を掛けてくる。
「確かに俺がツキヤだけど、何か」
「今回、我々が赴いたのは貴殿を客人として城に招待したい為」
「客人として招待?」
「はい」
客人として招待………はて?何かしたかな、俺。
「誰からの招待なんだ?」
「シャイナ・フォン・ガウィル第二王女様です」
「第二王女……?」
第二王女………第二王女……………あぁ!!
「あのじゃじゃ馬姫様か」
「じゃじゃ馬………返す言葉もございません」
いや〜、近衛兵のおっちゃん?何で泣いてるの?
「ん、分かった。着替えてくるからちょっと待ってて……………あ、そうだ」
「何でしょうか?」
「別に連れが居ても問題ないよな?」
「それは構いませんが」
「うし。ディエナ、着替えてお出掛けだ。城まで行こうぜ」
「は〜い♪」
俺達は着替える為に一旦、部屋に戻った。
んで、俺とディエナは一路城へと向けて、馬車でガタコンガタコンと移動してるんだけど……
「ケ………ケツが痛てぇ」
「?」
そりゃあさ、現代の自動車の様な乗り心地を求めてた訳じゃないけど、アレですよ……
とにかく揺れる度に、ケツが痛いんだよ。
振動を緩和する機構が付いてる訳じゃないから仕方がないけど、俺の想像以上に振動が凄いのなんのって。
こんな乗り物で長期間移動する人達は、尊敬するよ……ホント。
そんな事を考えている内に、城下町を抜けて貴族住宅街を抜け、城へと続く門を通り過ぎ、目的地へとたどり着いた。
「ふぅ……やっと着いたか」
「すご〜い………」
馬車から降りた俺は、身体を捻りパキパキと骨を鳴らす。
ディエナは城を見上げて、ぽか〜んとしていた。
馬車から降りた俺達は、良くも悪くも人目を引いていた。
ディエナはなかなかお洒落な恰好して端から見れば美少女なのだが、問題は俺。
あの馬鹿(女神)から頂いた、全身黒一色の闘衣を着込んでいたからだ。
「こちらです」
近衛兵のおっちゃんに案内されて、俺達は城内へと進む。
「此方にて、少々お待ちください」
「あいよ」
そう言って連れて来られたのは、一際大きな扉の前。
俺の予想では、此処は謁見の間の様な所だろうな……。
少し待っていると、扉がゆっくりと開けられる。
おっちゃんが先頭で、その後に俺とディエナが続いて中に入る。
中に入ると、かなりの広さの部屋で、奥に階段があり、その階段の上には厳かな椅子……所謂、玉座があり左右にも同じ様な椅子が鎮座していた。
部屋の右側には、偉そうな人達が10人程。左側には剣を携えた兵士達が控えていた。
「ガウィル王、並びに王妃、第二王女様……御入室!!」
そんな声が響く中、一人の男性と女性……そしてじゃじゃ馬姫様が現れ、男性は中央の玉座に。女性はその横の玉座に。じゃじゃ馬姫様はその脇にある玉座へと座る。
ふむ……アレが噂の賢王か。
年齢は40前半位だろうか。紅い髪に紅い瞳……威圧感と存在感、確かにカリスマ性は高そうだな。
そして王妃……此方は王様より少し若いか?金色の髪を結い上げて、優しそうな雰囲気で微笑んでいる。
じゃじゃ馬姫様は………まぁ、いっか。
近衛兵のおっちゃんが片膝を付いて頭を垂れる。
ディエナも慌てて同じ様な格好をしているが、俺は………普通に立ったまま。
「貴様!!何故、王に頭を下げぬ!!無礼であろう!!」
偉そうなおっさんが俺に向かって怒鳴るが、完全に無視。
「ツ……ツキヤ!?」
「ツキヤ殿!?」
「ん?なに?」
慌てる二人を尻目に、俺は平然と答える。
「王様の前なんだから、頭を下げなきゃダメだ「イ・ヤ♪」……ツキヤ!?」
「何で俺が頭下げなきゃいけないんだよ。俺は呼ばれたから、わざわざ来たんだぞ。それに、俺はこの国に忠義を捧げてる訳じゃない。故に、そこにいる王様を敬う事はしない」
しっかりと王様を見据えて言葉を紡ぐ。
「な!?なんたる無礼者!!やはり冒険者風情を招くなど、する事では無かった!!兵よ!!この者達を捕らえよ!!」
おっさんが叫ぶと、控えていた兵士達が剣を構えて俺とディエナを取り囲む。
王様と王妃は事の成り行きを静かに見据え、じゃじゃ馬姫はくつくつと笑っていた。
いや、笑ってなくて助けろよ。こちとらアンタに呼ばれて来てンだからさぁ……。
「聞けば、そちらの娘……銀髪のエルフだとか。忌み子を連れて歩く辺り、物好きとしか言い様がないねぇ……」
ニヤニヤと笑うおっさん達。
プチ……
「おい、おっさん………」
「お!?おっさ……」
「今言った『忌み子』ってのは、ディエナの事か?」
「他に誰が居る?」
「………………あ〜。ヤメだ、ヤメだ。馬鹿馬鹿しい……帰るぞ、ディエナ」
「ふぇ!?」
俺の言葉に顔を上げたディエナは、目元に涙をうっすらと浮かべていた。
最近、街ではディエナは帽子を被らない。
何故なら、街の人達はディエナの銀髪を見ても何も言わないからだ。ディエナをディエナとして受け入れてくれている。
なのに、国の上の連中がコレとは………呆れて物も言えねぇ。
「ま!?待つのじゃ!!」
じゃじゃ馬姫が慌てて席を立つが、今の俺には関係ない。
「……おい、じゃじゃ馬姫。俺はお前に呼ばれて来たんだぞ。……それが何だ?無礼だ何だと言い出して、兵士に囲ませて剣を突き付け、終いにはディエナを忌み子と言いやがった。これがこの国の客人に対しての礼儀か?」
あ〜、ヤバい。かなり頭に血が昇ってらぁ。
「そ………それは………」
「もういい。俺達は帰るからな………」
「まて!!黙って帰すと思っているのか??兵士達よ!!その者達を取り押さえろ!!」
おっさんが叫ぶと、兵士達が俺達に襲いかかる。
しかし………。
一人目の剣をかわし、顎に掌底を叩き込み意識を刈り取る。
そのまま身体を捻り、二人目の側頭部に回し蹴りを入れ、三人目には、その回転の勢いを殺さないまま脇腹に肘撃ち。
一瞬で三人の兵士を昏倒させた。
「「「な!?」」」
驚く一同。
「………まだやるのか?」
俺は殺気を解放させる。
殺気に当てられた他の兵士は、その場にへたり込み、室内に居る他の人達は真っ青になりならがら、ガタガタと震えだした。
「待たれよっ!!」
その時、王様が玉座から立ち上がり、声をあげた。
「ツキヤ殿………と申されたか?娘が気に入った者が居ると言っていたので、一目見てみたいと思っていたのだが……いやはや。我らを前にして、その胆力。確かに先の行動は、客人に対してあるまじき行為…どうか許して頂きたい」
深々と頭を下げる王様。
「………俺は別に謝って欲しいわけじゃない。ただ………ディエナに対しての発言は謝罪してもらおう」
「………宰相」
「………………先程の暴言と数々の無礼、許して頂きたい」
深々と頭を下げるおっさん。
アンタ、宰相だったんかい……。
「ディエナ」
「わ………私は気にしてないですから、頭を上げてください」
「………だそうだ」
俺は発していた殺気を霧散させる。
「ツキヤ……お主、本当に心臓に悪いのぅ」
「ハァ………あのなぁ。元はと言えば、お前が悪いんだぞ。わざわざ呼び出しやがって………用があるなら、お前から会いに来い」
溜め息を吐きながら、じゃじゃ馬姫を睨み付ける。
「う……以後、気を付けるのじゃ」
「分かれば宜しい」
「さて、一段落着いた所でツキヤ殿には折り入って話があるのだが……」
「アナタ……その話は食事をしながらでも」
「そうだな。では、ツキヤ殿、ディエナ殿。此方に……」
そう言って王様と王妃、そしてじゃじゃ馬姫の後に続いて、俺達は謁見の間から退室した。
折り入って話?
ほら〜………この前の依頼が変なフラグ立てちゃったんじゃないの〜??
ヒロインを増やしたいのですが、なかなか『コレ』と言った者が思い浮かばない……orz
読者の皆様、種族とかこんなヒロイン居たら面白いんじゃね?みたいな娘が居たら教えて下さい(泣)