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貞操逆転世界になっていたので、幼馴染を色仕掛けで落としたい  作者: 138ネコ


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第39話「男が「子猫ちゃん」とか言うの草」

‐3人称視点‐



 そして迎えた日曜の夜。


「……よし! それじゃあ、配信するか」


 気合を入れて、PCを立ち上げる栄太郎。その目には、少しの不安と、確固たる自信が宿っている。 

 一度深呼吸をして、気合を入れなおし、配信開始ボタンをクリックする。


「はーい、こんばんわ。といってもまだ誰もいないんだけどね!」


 ちょっと陽気気味に喋る栄太郎。もちろん観覧者数の数字は回っていない。

 だが、ここ数日、栄太郎がVtuberの放送を調べてた際にある事に気づく。

 観覧者が増えたタイミングと、観覧者数の増えるタイミングに時間差があるのだ。

 更にいうと、生配信で映してる画面と、それを視聴しているリスナーの間にもそれなりに時間差が生じる。


 つまり、リスナーが増えた事に気づいたタイミングで喋り出していては遅いのだ。

 自分はリスナーが来て即座に対応したつもりでも、リスナー側からは十数秒以上放置された状態になっているのだから。

 なので、例えリスナーがいなくても喋り続けなければ、最初の一人を引き止めることが出来ない。


「それじゃあ、今日は話題のフリーゲーム「Ivアイヴィ」をやって行こうかな!」


 誰もいないのに喋り続ける栄太郎。

 その誰もいないのに喋り続ける作戦が功を称したのだろう。


『初見です』


 開始して1分もしない内に人が来て、コメントをくれたのだ。

 コメントを見た栄太郎が、一瞬だけ心臓が大きく脈を打ったかのような感覚を覚える。

 この前やった時は、誰もコメントをくれなかった。それが初めて貰えたのだ。

 感動の気持ちをこのまま吐き出し、感謝の気持ちを伝えたい。

 だが、そんな気持ちをグッと押し殺す。


 確かに嬉しいと素直に伝えるのは良い事だ。 

 しかし、Vtuberに求められてる物はそうじゃないと栄太郎は考えていた。

 栄太郎の出した結論。それは。


「やぁ、初見の子猫ちゃん。ゆっくりしていってね(イケボ)」


 演じることだった。

 Vtuberに必要なのは、キャラクター性。

 もちろん素のままでやって人気な人もいるが、そういう人はそもそも素の自分の状態で十分キャラクターが立っている人が殆ど。

 いや、もしかしたら『キャラクターが立っている素の人』というキャラクターを演じているだけかもしれない。それが本当に素なのかは栄太郎に判断は出来ない。


 キャラクター性もなく、本当に素のままやってて人気なVtuberがいないわけではない。

 だが、それは例外中の例外。

 参考にするべきは、確実に人気が出る法則性。 

 そして、調べ上げた栄太郎が導き出した法則は、キャラを立てる事だった。


 なので栄太郎はキャラを立てるために演じる。

 まぁ、どんなキャラが良いか思い浮かばず、結局最初に参考にした個人Vtuberのキャラを真似する形になってしまったが。


『男が「子猫ちゃん」とか言うの草』


 栄太郎の言葉に、リスナーからのレスが返ってくる。

 その言葉に、内心驚く栄太郎。


(しまった、こっちの世界では女が男に「小猫ちゃん」って言うのか)


 しかし、今更キャラを変えるわけにもいかない。


「変だったかな? 子猫ちゃん(イケボ)」


『これはこれで、斬新なのでありだと思います』


「ありがと。ふふっ」


 心の中で安堵のため息を吐く栄太郎。

 時折リスナーと会話をしながら、Ivを始める栄太郎。

 目線はゲーム、の横に準備しておいたテキスト。

 そのテキストには、どこに行って何をし、どんなことを話すのかが書かれている。

 ゲーム中に喋るのが途切れないように事前に準備しておいたものである。


「いやー、このゲーム初見だから楽しみだな」


 などと言っている栄太郎だが、既にゲームは事前に何度もクリアしている。

 クリアしたデータを全て消し、初見を装い、時には笑い、時にはわざと物音を立て驚きを表現する。

 そんな栄太郎の反応が面白かったのだろう。リスナーは人気Vtubrと比べられるほどではないが、徐々にだが、確実に増えていっていた。

 そして1時間が経った。


「さてと、明日の学校の準備もあるから、今日はここまでしようかな」


 栄太郎の言葉に「リアルDK!?」のコメント欄が溢れかえる。


「それじゃ、お休み小猫ちゃんたち。そうそう、チャンネル登録、忘れずによろしくな」


 チャンネルの宣伝をしてから「ばいばい」と言って手を振り、数秒間を置いてから配信停止ボタンを押す。

 配信が終了しましたという画面が出ても、不安を感じ自分のチャンネルを見て、ちゃんと配信が終わった事を確認する栄太郎。


「やった、マジでやった!!」


 最終的に観覧者数が100人を超えた事に、手ごたえを感じ感動のあまり、ベッドにダイブしゴロゴロとのた打ち回る。

 時刻は23時前、普段ならもう少ししたら眠くなる栄太郎だが、目が冴え、興奮冷めやらぬ状況に。

 栄太郎が眠りについたのは、それから3時間後の事であった。


 そして翌日。

 いつものように西原と登校し、京の教室まで行く栄太郎。

 普段よりもテンションというか、朝からやたら元気な栄太郎だが、西原はあまり気に留めない。何か良い事があったのだろう。その程度の認識である。


「おはよう」


 そして、自分の席に座って猫背で漫画を読んでいる大倉さんに元気よく挨拶する栄太郎。

 彼のハイテンションが続いたのはここまでだった。


「あっ、島田君に西原さん。おはよう」


 笑顔で返事を返した大倉さんが、言葉を続ける。


「あっ、そうそう、島田君。昨日の配信見たよ」


「……えっ?」


 大倉さんの発言に、栄太郎、真顔である。

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