''挨拶''
「抜けます!前方注意!」
ついに異世界へ着いた。だが、油断は禁物だ。いつ敵が来るか分からないからだ。もしかしたら待ち伏せされているかもしれない。衛星がないため、上空から確認することは出来ない。護衛の自衛隊艦や、アメリカ軍のイージス艦の艦内に緊張が走る。
そこに広がっていたのは…
「港だ!」
街があった。大量の帆船が停泊しており、まさに絵を書いたような中世の町並みであった。だが、喜べはしない。なぜなら…
「戦列艦、こちらに発砲!」
「反撃開始!ってー!」
予想通り、待ち伏せしていたのだ。だが、待ち伏せしてどれだけ撃ち込んでもイージス艦達どころか輸送船にすらダメージを与えられない。当たらないし、当たったとしてもダメージはほぼ0。唯一の被害と言えば、イタリア軍の連中が砲撃にびっくりしてマグカップを落としたくらいだ。
これももはやただの虐殺であった。この様子を見た街の住民たちは、口々にこう言った。
「我々は、神に手を出してしまったのかもしれない」
戦列艦の殲滅から15分後、上陸にちょうどいい浜を見つけた。強襲揚陸艦がフランス軍のAMXやLeopard、更には血気溢れる海兵隊員達を乗せ、浜に上陸した。
当然、敵軍はそれを察知していたし、待ち伏せもしていた。どうやら歩兵戦ではワンチャンあると思っていたらしい。だが、強襲揚陸艦から最初に出てきたのは歩兵ではなく、フランス軍の装甲車やドイツ軍のLeopardだった。
ドォン!
AMXが挨拶代わりの榴弾を打ち込むと同時に高い練度を誇るドイツ軍も一斉掃射。更に追い討ちをかけるように海兵隊員が突撃した。
この一帯を防衛していた異世界軍が殲滅されたのはこれから30分後であった。