未来を笑う男
今回の舞台は 前回から10年経ったゴスメニアです。
前回人間化したヴィヴォ。
そこから10年経ったヴィヴォはどうなっているのか。
今回の見所である 新キャラクター。
そこにも注目していただければ幸いです。
それでは 第2部お楽しみください
ヴィヴォが人間の様な姿になって10年の時が経った
ボロボロのヴィヴォはまた 商店街の人通りの少ない路地裏の大きなゴミ箱の横に座っていた。
今のヴィヴォは以前とは違う。痛みも感じるし ちゃんと血も出る。
だけど 不満はあった
(なんで人間なのに 死ねないんだろう)
(色々試したのにな...毒を飲んでも 自分を刺しても 高所から飛び降りても死ねない。骨折も流血もするのに 数分後には元通りだ...)
さっきまでボロボロだったヴィヴォは 既に元通りになっていた。
ただ ヴィヴォには思い当たる節はある。
(もしかしたら 10年前に僕の身体にいたあいつか?僕の身体の半分は奴で出来てる。生きたいって言ってたな。可能性は大いにある)
ボワッ
突然ヴィヴォの周りの様子が変わった。
「ここは一体どこ?」
パッと見は普通の森だが 空は無数の 時計の針と数字で埋め尽くされている。
とりあえず ヴィヴォは立ち上がり 森を進むことにした。
しばらく歩くと道がひらけてきた。
そこには大きな湖が広がっていて 20m位の高さの洋風の時計塔がそびえ立っていた。
すると後ろから何者かが話しかけてきた。
「やあやあ 僕の世界へいらっしゃ〜い」
振り向くと そこにはニヤけた不気味な男がこちらを見て立っていた
首に大きな腕時計を巻き 右目はアナログ時計 左目はデジタル時計 服装は教会の神父の様な服を身につけていた。
「ここは君の世界なの?」
ヴィヴォは問いかけると
「そうさ!ここは 僕1人だけの世界!」
「ずっと君は1人なの?」
「ずーっと1人!寂しい!だからたまに 当たり障りのない奴を呼んでは 一緒に遊んでいるのさ!それで今回は2人を誘ったって訳!」
(2人?)
ヴィヴォは辺りを見回した。
すると 少し離れた所に 頭に頭巾を被った子供が体育座りでうずくまっていた。
「あの子は誰なの?」
「うーん あの子は気にしないであげて!何回声を掛けても 無視!無視!無視!僕可哀想だろ??」
ヴィヴォは あの子の方をチラッと見て すぐ気にしない事にした。
「そういえば君は誰?」
ヴィヴォは ニヤけた男に名前を聞いた
「おっと!そういえば自己紹介がまだだったね!僕の名前は ジークン=サウス!よろしくね〜」
ジークンは続けて ヴィヴォに話しかける
「それはそうと 気づかないかい?気づかないか!鏡なんて無いもんね!」
(???)
ヴィヴォは 何となく言いたいことを察して 湖に自分を写すことにした。
驚いた。
湖に写った自分の姿は 顔も体型も人形だった頃の姿だ
「どういうこと!?」
慌てるヴィヴォにジークンはニヤケながら答える
「今のヴィヴォが 僕にとって1番好きなヴィヴォの姿だからさ!僕は人形と遊ぶのが好きでね ヴィヴォが人形だった頃からずっと観てた!なのに 君ってば人間みたいになっちゃうんだもん...シクシク だから今から僕と一緒に遊ぼ!」
ヴィヴォは困惑したが 言い返した
「僕は死にたくてこんな姿になったんだ!悪いけど君と遊んでる暇はない!」
ジークンは左側に口角を上げながらニヤけた
「今の君では死ねないだろ?色々試してダメだったのを 僕は観てたから知ってる!だから遊んだ方が有意義な時間を過ごせると思うよ?」
「うるさい!僕はそれでも死ぬ方法を探して絶対死ぬんだ!」
ヴィヴォが言い返すと ジークンは落ち込み気味に
「じゃぁいいよ帰って。その代わり またここへ来たら 今度こそ僕と一緒に遊ぼ!」
ジークンの身体は浮いた。
「最後に聞いてもいいかな」
ヴィヴォはジークンに問いかける
「どうして君はずっと笑ってるの?」
「どうしてってそれは 面白いからさ!君の未来がね!!それじゃまた会おう!バイバーイ」
するといつの間にかヴィヴォは元の路地裏に戻っていた。
(ジークン...彼は一体何者なんだ?未来が面白い...??そんな事より今はとりあえず動かないと何も変わらない)
ヴィヴォは立ち上がり顔が見えない様に商店街を歩き始めた。
ヴィヴォは10年前にアイミの父親を食べたとして 特殊危険生物扱いになっており指名手配のビラが国のいたる所に貼られている。なので自分がヴィヴォであることを知られる訳にはいかないのだ。
ヴィヴォの歩幅は狭くなり 速度を上げ小走りで商店街を駆け抜けた。
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舞台は代わり ここは噴水から見て商店街通りから北側45度位隣の 防災・警備通りにある 武装警察署。
普通の警察署では対応できない様な 危険生物や犯罪者を取り扱っている。
武装警察署の敷地内の 地下訓練所では 日々武器の使い方や 技の技術等 あらゆる生物に対する対策を 隊員達に教えこんでいる。
ここが出来たのは ヴィヴォのせいでもある。
訓練所から強そうな女の声が聴こえてくる。
「お前らだらしないぞ!!そんな事では 普通の強盗にすら勝てぬぞ!!しっかり鍛えろ!!」
「は、はい!わかりました ドールドゥ上官!」
上官の名前は アイミ=ドールドゥ
ヴィヴォの元持ち主である。
少し乱暴な部分や 勝手な部分もあったが 自身にもアイミにも溺愛で優しい所もあった 父親のダインを食べてしまったヴィヴォを捕らえる為に アイミは警察学校の特殊捜査科を卒業し 15歳の若さにしてこの武装警察署の戦闘訓練教官及び 武装戦闘課の上官にのぼりつめ 16歳 現在彼女は頑丈な鎧を身にまとい 隊員達の訓練を行っている。
しかしアイミはヴィヴォを全体的に責めている訳ではない。
(ヴィヴォ...あの時は怖くて逃げてしまったけど ヴィヴォはホントは優しくていい人形のはずなのに なんであんな風になってしまったのか...6歳の私にはわからなかったけど 今ならヴィヴォの話が聞ける!真実を確かめたい!)
「上官!上官!」
「...!」
「上官!大丈夫ですか?ボーッとしてましたよ!何かあったんですか??」
アイミの事を1番慕っている 部下のケイトが心配そうにアイミに話しかけてきた。
彼は 地毛の金髪で オシャレなショートヘアーの青年。
「大丈夫だ。気にするな!それよりお前はもっと剣術を鍛えた方がいい!!怠るなよ!」
「はい!上官!」
署内放送が武装警察署全体に響き渡る。
「緊急事態発生!緊急事態発生!直ちに武装戦闘課は配置に付き戦闘に備えろ!!噴水周辺で 指名手配中のヴィヴォらしき男が 商店街通り入り口に設置された監視カメラにより 感知された!直ちに現場に急行せよ!」
(ヴィヴォ...!!!)
アイミは 我先にと 戦闘準備をし 一目散に現場に向かった。
第2部 未来を笑う男 いかがでしたか?
自分の事で悩んでいたヴィヴォを 勝手に自分の世界に連れ込み 遊びたがっていた 不気味な男 ジークン=サウス。
彼は何故そんなに ヴィヴォと遊びたいのか はたまた その目的はなんなのか。
そしてね!
16歳になったアイミが武装警察署に登場しましたね!
武装警察のアイミと 国の指名手配犯となったヴィヴォがどのように交わるのか...
これからのアイミの活躍 そしてヴィヴォとの関係性にも期待ですね!
次回 第3部もよろしくお願いいたします!アデュー