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落ちこぼれ魔法使いコート  作者: アールR
1/8

(1)寮を出る朝

魔法学校を落ちこぼれた主人公の冒険小説です .


中世の西欧のような世界。夕暮れの明るかった空が急に暗くなり、森に囲まれた田舎の村の小さな石作りの家の中では暖炉がパチパチと燃えている。


この世界では電気はないため、夜になるとランプや暖炉で灯りをとっている。大きな城壁に囲まれた街の中にはパブのような酒屋であったり、宿屋兼食堂、少しいかがわしいような店も数多あり夜遅くまで灯りを灯して営業しているが、田舎に住む多くの庶民は燃料費がかさむため、夕食はパンとスープ、紅茶などで軽くすまし、すぐに眠ってしまう。


王侯貴族は夜毎に絢爛豪華なパーティーを主催し楽しんでいるが、そんなことをほとんどの庶民は知らない。もう夕食をとり終わり、母親が家事を終えた頃、幼い娘が母親に一冊の絵本を持ってやってきた。何度も何度も読み返しているのだろう、ページは所々、折られ、手垢がつき、表紙はだいぶくたびれていた。


家事を終えた母親はまたかというふうに、暖炉の前に座ると、娘がその膝の上に来た。あなた、この絵本、好きね。そう娘に言うと、娘はだってこの絵本、面白いんだもんと返した。おもむろに母親が絵本を手にとり、読み始める、むかし、むかし、あるところにコートという魔法使いがいました。コートは、、、、、、。

  

コートは絶望した。今日は3月28日、とうとう住んでいた王立魔法学校寮の退寮期限の日が来てしまったからだ。アルカラン王国、国立魔法学校は3年制で、16才から18才までの少年、少女が寮生活を行いながら、強力な魔法取得を目指す学校だ。


1学年は30人、成績上位15人が給料が非常に高く国民の憧れの存在であるアルカラン王国魔法軍に入隊できる。明日からは新1年生が入寮してくるため、卒業が決まった3年生は寮を出ていかなければならない。それ故、コートは絶望していたのだ。

 この世界では魔法使いには誰もがなれる訳ではない。魔力は母親からのみ遺伝する。父親がどれほど魔力が強くとも、母親が魔力なしでは子供は魔力持ちにはならない。母親が魔力なしでは、魔力ありの子供は生まれない。当然だが、両親とも魔力なしの場合は子供は魔力持ちとはならない。魔力持ちの子供の出生に関しては、ごくごく稀に例外はあるものの、ほとんどないことが知られている。


そして、母親の魔力の量も全く子供の魔力量には影響しない。遺伝するのは、魔力の有無だけだ。不思議なことに母親が魔力持ちでも、魔力ありの子供、魔力なしの子供と分かれてしまう。この魔力あり、無しの出生は全くの謎なのだ。


アルカラン王国では、貴重な魔力持ちの子供を王国魔法軍として使うため、王立魔法学校を作り、親たちに入学を勧めている。もちろん魔法学校では授業料、寮費は無料。そのうえ月10万ギニーの返還不要の奨学金が出た。他の王国、帝国との戦争で戦死することもある危険な職業ではあるが、卒業後に王国魔法軍に入隊すれば、庶民の平均年収300万ギニーのところ、入隊直後から年収1000万ギニーという高給が貰える。そのため、魔力持ちの子供が生まれたら、親たちは息子、娘の将来のために王国魔法学校に入学させる。


王国魔法軍は45才で定年となるが、生き残れば退職金は8000万ギニー支給されるし、退職後もモンスターが出没する場所を通る輸送業者、商人から用心棒として高給でスカウトされる。王立魔法軍に在籍したという経歴は光輝く職歴となるのだ。もちろん王国軍で将軍、元帥ともなれば定年後も特別に軍に残ることとなるし、高級将校の一部は魔法学校の先生や寮監となり、王立魔法学校を含めた王国魔法軍の一員として残ることになる。

 

アルカラン王国の人口は約800万人、平均寿命は65才程度。一学年は10万人程度生まれるのに、魔力持ちの子供は1000人程度しか生まれないが、そのうちのほとんどはたいして役にたたない程度の魔力しかもって生まれてこない。鍛えれば戦場で役にたつ魔力レベルに生まれてくるものはそれは希少なのである。


数多の帝国、王国、公国など大小様々な国が、どこかしこで戦争をしているこの大陸では、魔法使いはたいそう重宝されている。そして、魔法研究に関してはアルカラン王国は歴代君主が大変熱心であったため、大陸一発展し他国から一目おかれる存在となっている。そのことを国民は誇りに思っており、王国魔法軍に入隊することは大変な栄誉なのである。


魔力はファイア氷雪ブリザドサンダーウインドアース回復ケア、その他の属性に分かれ、それは生まれた時に決まっている。たいていの魔法使いの属性は1個であり、複数の属性を持つものは稀である。今は失われ、書物にのみ存在し伝説となった属性の魔法もある。攻撃系は最初の5つであり、強さは1(ワン)、2(ダブル)、3(トリプル)、4(フォース)の順に上がっていき、最大は10くらいと言われているが、これより凄かった魔法使いが存在したと書いてある書物もあるが、それは伝説、伝承の類い、架空の話とも言われていて、真偽は定かではない。


今アルカラン王国魔法軍の最高魔力持ちは6程度が数人と言われているが、軍事機密であるために実際の所はわからない。魔法学校には1の魔力があれば入学を許可され、学校で魔力を鍛えていくことになる。また戦場で自身と仲間の身を守るために最低限の剣術なども身につけていく。魔法軍入隊には2の強さが必要であり、3となれば部隊長、高級将校クラス、4以上は教官、将軍レベルとなり、現実には4以上の魔力を身につけられるものはほとんどいない。

 

コートの属性は風であり、魔力はというと入学時に1であり、卒業時にも1であった。つまり、全く伸びず、王国魔法軍入隊はできなかったのである。


魔法学校の卒業式は3月15日で、王国魔法軍入隊式が3月20日にあったため、同級生は19日までには続々と退寮していった。今年は近隣のトラキア帝国と大きな戦争があったため、いつも魔力2以上の15人しか入隊できないが、幸運にも今年に限り魔力が1より少し強くかつ剣術で好成績をあげている20人までが入隊できた。


しかし、コートの魔力は1であり、剣術などを加味した成績でも26位だったため、全くダメだった。入隊できなかった同級生達は、恋人と結婚するもの、実家に帰って家業を継ぐもの、実家に帰って豪遊するという貴族や大地主の子供など様々ではあるが、みんな一週間程度で故郷に帰っていった。


しかし、コートは帰れなかった。コートの父はコートが顔を覚えていないような幼い頃に亡くなってしまい、母は故郷で大地主からわずかな土地を借りていた農民で、ケア1の魔法もちの薬師として村の人の小さな病気を治すなどして慎ましやかに生活していたが、去年病気で亡くなってしまった。母が借りていた土地は耕す人がいなくなったため、地主は農地をすぐに別の村人に貸してしまった。


コートは故郷に帰っても家はあるが、農地がないため生きていく方法がなくなったのである。先ほどコートの属性は風と書いたが、母の遺伝か幸運にもコートは1に満たない回復魔法は使えた。しかしそれは簡単な熱を下げる、小さなけがを治す程度のものであり、薬師になれる程度のものではなかった。どこにも行く当てがなく、コートはズルズルと3月28日の退寮期限の朝まで、寮にいたのである。


寮監から退寮を促され、ようやくコートは少ない荷物をリュックにまとめ、奨学金の残り50万ギニーをポケットの財布にいれ、3年間過ごした寮を出た。しかし、すぐに寮の入り口玄関横の石作りの道路の上に座り込んでしまった。そんな彼を見て、寮長が話かけに来てくれた。

衝動的に書き始めましたが、次回更新は今月中の予定です

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