煮えたぎる闘志
隣に出店する人がまさかの優勝候補であるカガオーナであることがわかったことで、一気に緊張感が増す。どうやら飛んでもない人が相手みたい!? どうしよ!
「プリンちゃん! どうしよう!」
「どうしようもくそもねぇよ。私たちは最高のものを作る。ただそれだけだ」
プリンちゃんはそう言うとテントの塗装へと戻っていった。
それを横目に私は増々不安が増えるばかりだ。ガーちゃんがいなくなっちゃっただけではなく、隣にとんでもないライバルが出てきたり、このままで大丈夫なのかな。
「よし、これでいいだろ。おい、ぼーっとしてないでテント建てるの手伝えよ」
「ご、ごめん。って。めちゃくちゃぷりんになってる!?」
「当たり前だろ。ぷりんに似てなきゃ意味ないんだから」
プリンちゃんが私に見せたテントには、思ったよりも豪快に下半分が黄色に塗られ、ぷりんを思い出させるテントの屋根がそこにはあった。
主張が強すぎるよ。周りのお店どこも高級感ありそうだったり可愛い感じなのに。何だか私たちのところだけばかみたいじゃん!
「確かにインパクトはすごいけど」
「だろ! やっぱり私は天才だな」
目を輝かせて自慢げにそういうプリンちゃんの姿を見ていたら、もう何かを言う気なんてどこかに無くなってしまった。
もしかして普段の私を見てるガーちゃんもこんな気持ちなのかな? プリンちゃんを反面教師にって何か申し訳ないけど。これからは少しは私の勢いで動いちゃうところも治した方がいいのかな。
私はそんなことを思いながらもプリンちゃんと設営を続け、数時間後には立派なテントと調理器具などの設営が完了した。
「こうやってみると結構立派かも」
「だろ。やっぱり天才だな」
「ほんと、ここまで幼稚なものを作れるのは、天才としか言えないですわね」
設営を終えたテントを店の前から眺めていると、隣の店からそんな嫌味を吐きながらカガオーナが現れた。
私たちをあざ笑うようにそう言ったカガオーナは、私たちのテントを見上げる。
「何がおかしい」
「幼稚だと言っているんですわ。こんな馬鹿丸出しの看板をよく人様に見せようと思いましたわね」
「てめぇ」
「幼稚なんかじゃない!」
挑発するカガオーナに今にも殴りかかろうとするプリンちゃんの前に割り込むと、私はカガリーナにそう言い切った。
私がこんなことをするとは思っていなかったのか、カガリーナの表情が一瞬動揺したのが見てわかった。
「確かに、めちゃくちゃ単純かもしれない。だけど、プリンちゃんのプリンはすっごく美味しいんだから! あんたなんかみたいな見かけだけで判断するような奴には絶対に負けない!」
「やっぱり幼稚な人の見方をする人は同じくらい幼稚なんですわね」
「チョコガキ、私のことを悪く言うのは許してやる。私とあんたの問題だからな。だけどなぁ、私の大事な仲間を悪く言うのはちょっと見逃すわけにはいかねぇなぁ」
煽り口調で私をディスったカガオーナに、プリンちゃんは怒りの刃を向けながら、私を守るように前に立った。
それを見てカガオーナはフンっと笑うと、次第に笑みを溢していく。
「ほんと、弱い犬ほどよく吠えるとはまさにこの事ね。足元にも及ばないことを思い知らせてあげる。それじゃあ私はもう行くわ。あなたも遅れないことね。それとも始まる前から失格かしら」
カガオーナは迎えが来た部下を連れ、シュガリーの中心地にあるショコラティエを目指して歩き出した。
プリンちゃんのカガリーナを見つめるその目には、熱い闘志が燃えているのが分かるくらい強く強くカガリーナを捕らえていた。




