王都の隣の国で嘔吐
「ひどい、街がこんなボロボロに」
フィシュタニアの門を潜り抜けると、街の全貌が露になった。見た目自体は大きな港町と言った感じで、そこに市場が合わさったようなまさに魚の国と言ったような街並みだった。だが、その街並みは何者かによって破壊されてしまい、瓦礫になっているものや、燃え盛る建物で溢れていた。
「もう誰もいないのかな」
「見てください!あそこに人影が!」
私がつぶやくと、ガーちゃんが何かを見つけたらしく指をさして叫んだ。
「何、あいつ。気持ち悪い」
何やらべとべとした粘液のようなものが体から出ている。
「まだ逃げていないバカな人間がいたガメスか。まぁいいガメス、この俺、ガメス様がお前らもこの国の魚も全て食ってやるガメス」
目の前に現れたのは、私たちの身長の何倍もの大きさをした二足歩行をする亀のような化け物だった。
「亀が喋ったぁ!それに歩いてる!まさに異世界!」
異世界ってやっぱりすごい!こういう動物が化け物になった敵ってあるあるだよね!
「なんだ。こんな小娘でガメスか。逃げなかったことを後悔するガメス!」
ガメスとか名乗ってるよくわからん亀の生物は口から何かを私たちに吐き出す。
「うわ、なにこれ⁉ぬるぬるしてるし臭いんだけど!」
「気持ち悪くて吐き気がおえええええええええ」
「ガーちゃん!我慢してぇぇぇ乙女が吐くのはダメだおええええええええええ」
もらいゲロしてしまった……ガチで気持ち悪い
「これでとどめガメス!」
ガメスは大きなひれを振りかざすと、口から粘液をひれに吐き出す。
「やばい、ガーちゃん。補助お願おえええええ」
「わ、わかりまおええええ。ぶ、ブースト」
ガーちゃんは決死の思いで私に補助魔法をかける。
「おっしゃくらえ!ファイヤーボール!おえええええ」
あ、やばい。調整してない。
ゲロを吐いてしまった衝撃で放たれたファイヤーボールは調整をせず、あまりにも大きな力によって放たれてしまい、ガメスへそのまま直撃した。