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強気なあの子はプリン

「それで、どこを探すんですか?」


店を出てガーちゃんにかけられた一言目は、至極全うに当たり前のものだった。


「わかんない!」


「はぁ、いっつも見切り発車でやることを決めるんですから。それに、マジカランドに行くためにも早いうちに情報を調べておかないと」


ガーちゃんは呆れたように腕を組みながら説教を始める。確かにガーちゃんの言うことは正しいんだけど。なんかこう勢いも大事だなと思うようになったんだよね。


「とにかく、スイーツマジカルフェスティバルを見ていくにしても、それまでに予定を立てますからね。というか今日の宿だって決まってないじゃないですか!」


シュガリーに着いたのは大体昼前、それから入国の手続きや散策、ケーキを食べたりしていたせいもあり、時間はもう昼過ぎ。そうそうに宿を見つけなければ街の中で野宿することになってしまう。


「とりあえず宿を探そう」


私はとりあえず場所のわからないプリンさんよりも先に、今日の宿を探すことにした。


「とりあえず街の人に聞いてみましょうか」


「えーっと、えーっと。っていた!?」


私はグルグルとあたりを見渡しながら目に入ってきた金髪の少女の姿を見逃すことはなかった。


「え、宿ですか?」


「違うよ! プリンさんだよ! あそこで何か揉めてるみたい」


私が指さした方向にはプリンさんと思われる人と、白髭を生やしてぽっちゃりとしたおじさんが何やら言い争っているのが目に入った。


「あんた、ここは先に私が店を出す契約をした場所だ。それを横取りしようだなんてマネ、許されるわけないだろ」


「知らないなぁじょうちゃん。この国では味が全て。じょうちゃんは俺とのスイーツ勝負に負けた。潔く譲ってもらおうか」


近づいて見ると、どうやら場所で言い合っていることが聞き取れた。


「この野郎!」


「ダメ!」


怒りの籠ったプリンさんの拳を見た私は、思わずプリンさんの前に出て両手で拳を受け止める。


「誰だ、あんた」


「オー怖い怖い。すぐに暴力だなんて職人の風上にも置けませんねぇ」


拳を遮った私に、プリンさんは怒りをあらわにしていた。おじさんはというと、プリンさんの行動に大げさに怖がり、騒ぎを聞きつけて集まった人々に訴えるような話し方をしていた。


「ダメだよ。この手は、スイーツを作るためのものでしょ。プリンさんに、血で汚れた手でスイーツづくりをしてほしくない」


私はプリンさんに強く気持ちを伝えると、力を抜いたように拳を下に下した。


「あんたの言う通りだな。私、少しイライラが溜まってたみたいだ。危うく職人じゃなくなるところだった」


プリンさんはそう言って謝ると、私の後ろのおじさんに指を指して話を続ける。


「この場所は譲る。でもスイーツマジカフェスティバルじゃ負けない」


「ふん、勝手に言っていろ」


おじさんに力強く宣言するプリンさんに対し、おじさんは鼻を少し鳴らした後、余裕そうな声色でそう言った。


「じゃあ、あんたありがとうな」


「あの、プリンさん。少し話せますか?」


その場を立ち去ろうとするプリンさんに、私は思わずそう声をかけた。


「話? まぁさっきの礼だ。おごりなら考える」


プリンさんは私の声に振り返ると、強気にそう言って笑った。

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