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ケーキ入刀!何故彼女はプリンにこだわるのか

「申し訳ございません」


店員さんはすぐさま私たちに謝罪をした。私は一体何が起こったのかさっぱり理解できなかった。


「ガーちゃん、一体今何が起こったの?」


「喧嘩でしょうか。少し心配ですね」


しばらくの間、店内はシーンと静まり返ってしまう。あんな現場を目撃してしまっては無理もない。それから食べ終わってそそくさと帰る人が多く、店内は数分で人はほとんどいなくなってしまった。


「あの、一体何があったんですか?」


私は思わず、店員さんに聞いてみた。


「プリンが新商品にケーキ以外の商品、例えば焼きプリンなんてどうだって言い始めるから言い合いになってしまったのよ」


私の質問が聞こえていたのか、さっきまで喧嘩していたであろう店員さんが出てきてそう説明してくれた。


「え、ちょっと待って。プリンって名前ですか? それともスイーツの方ですか?」


「あーややこしいわよね。アラモード・プリン。それがさっき出て行ったあの子の名前よ」


いやスイーツの国で人の名前がスイーツと一緒ってめちゃくちゃわかりづらいじゃん! なんでそんな名前つけるかなぁ。そんなに親がプリン好きなのかな?


「そうねぇ、実はあの子元々捨て子でね。私たちが見つけた時はまだ赤ちゃんだったのよ。その時入っていた木箱にプリンって書かれていたから、プリンちゃんって名づけたのよ」


犯人この人たちじゃん! わかりづらくした張本人だったよ!


「えっと、何でプリンを店に置いちゃダメなんですか?」


私はプリンさんのことは一旦置いておいて、本題に入ることにした。


「うちの店は昔からケーキをメインでやらせてもらっているわ。自分で言うのもなんだけど結構力を入れているの。プリンってなるとケーキと手間が違うわ。沢山の種類のケーキを作りながらプリンを作るのは、とても現実的ではないのよ」


「確かに、そうかもしれないですね」


そうだ。料理の名前が同じだから忘れていたけど。ここは異世界。現代技術のない状態で沢山の種類のケーキを作らなきゃいけない。元々の世界よりもコストがかかりすぎる。


「なんだけどあの子。絶対に売れるからプリンをメニューに入れてくれって聞かなくてね」


店員さんはとても困った顔をしていた。まるで子供に手を焼く母親のように。


「私、プリンさんと話してみたい」


「カナちゃんはやっぱり突然ですね。でも、そういうところが好きなんですけど」


私の言葉にガーちゃんは少し微笑みながらそう答えると、ケーキの会計を別店員さんと済ませてしまう。


「とりあえず、ケーキを食べてから考えましょう。私たちが彼女に話しかけても心を開いてくれるかわかりませんから」


ガーちゃんはそう言ってケーキが乗ったお盆を持って窓側への席へと歩き出す。私もその後を追って向かい合うように席に着いた。


「それじゃあ、いただきます」


「いただきます」


私たちはショートケーキにフォークを入れて一口サイズに分けると、それを口の中へと運んだ。


「美味しい!」


「甘くて美味しいです。これは癖になりそうですね」


私は思わず美味しさで涙が出てしまう。ガーちゃんはその美味しさに驚いている様子だった。


まさか異世界でもあの頃と同じ味をしたショートケーキが食べられるなんて。食べるの止まんないよ。


「あれ、もうない」


「カナちゃん食べるの早す……ぎ?」


綺麗になった私の皿を見て注意しようとしたガーちゃんの皿の上にも、もう何もなかった。


「ガーちゃん?」


「な、なんでもありません。恥ずかしいよぉ」


ガーちゃんはまるでショートケーキの上の苺のように頬を赤らめていた。


「わかるよ。確かに食べた感触はあった。でも次に気がついた時には皿の上が空だった。おかしな話だよね」


「もう言わないでください」


ガーちゃんは遂に顔を覆い隠し、恥ずかしさの頂点に達してしまったようだ。


「それじゃあ探しに行こうか」


「切り替えが早すぎますよ。もう、誰のせいだと思ってるんですか!」


何だかガーちゃんの自滅だったような気もするけど、そんなところも可愛いなぁ。


「美味しかったです。ごちそうさまでした。プリンさんとは少し話してみますね」


私たちは帰り際に店員さん2人にそう話した。


「別にいいのに。これは私たちの問題だから」


「私が気になっただけなので」


「カナちゃん、こうなったら止まらないんですよ。気が済むまでやらした方がいいです」


ガーちゃんが何やら私の補足説明をする。店員さんは「そう」と少し納得した様子だった。


「それじゃあガーちゃん行こうか」


私たちはプリンさんを探しに、店を後にした。



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