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語る者、語られる者

「おい、起きろ」


どこかから声が聞こえる。聞いたことがある。でも誰だろう。かっこいい男の人の低い声が聞こえてくる。


「ん、ここは?」


私が目を覚ますと、ただ真っ暗な空間が広がっているばかりだ。周りを見渡しても誰もいない。


「起きたか」


「うわ! びっくりした。いるならいるって言ってくださいよ!」


私の後ろからぬるっと現れたのは、毒の王シビレンさんだ。


死んじゃったんじゃないの!?


「シビレンさん、生きてたんですか?」


「ばか、とっくに死んでるわ。今の俺は王の証に残った残り香みたいなもんだ。そのうち消えちまうよ」


なんか、そう思うとやっぱり悲しいな。誰かが死ぬって、辛いな。


「って、ここどこなんですか!?」


「そうだな。ここはお前の精神の中だ。王の証の反動で死にかけてるからな」


「私、死にかけてるの!?」


なんかすごい爆弾発言何ですけど!? でも確かに死んだシビレンさんと話せてるんだからなんか少し納得してしまう。


「まぁ、死なねぇよ。お前は1人じゃねぇからな」


「なんかそれだと、シビレンさんが一人ぼっちみたいじゃん」


「当たり前だろ? 王ってのは孤独に一人で戦うもんなんだよ。それに俺は誰からも好かれちゃいねぇ、王の証を直接継承させる相手も嫌しねぇんだ」


シビレンさんは当たり前みたいに話してるけど、寂しそうな顔をしているように見えるのは、私の勘違いだろうか。


「シビレンさんは優しい王様だったんだね」


「は? どこが優しいんだ。他国にも毒でできてるせいで被害ばっか出す厄災みたいなやつなんだぞ」


シビレンさんは私の発言に驚いているみたいで、すごい食い気味でそう言ってくる。


「だって、アニマリルに来た時も、自分の体よりもアニマリルを心配してたし。私に王の証を託した時も、残った国民のことを心配してたじゃん。そんな王様、優しい人以外の何物でもないよ」


シビレンさんは驚いたような顔をした後、少し嬉しそうに微笑みながら話し出す。


「お前、案外いいこと言うじゃねぇか。名前は?」


「カンナ、世界を回る旅人だよ」


「カンナ、か。懐かしいな。昔同じ名前の可愛らしくて強い嬢ちゃんがいてな。なんかその子を思い出しちまった」


なんか私のそっくりさんがいるらしい。え、もしかしてシビレンさんその人と私のこと重ねてる? 初恋の人とかなのかな


「カンナ、王の証は頼んだ。これも何かの縁だ。毒の国民に会うまでは代理の王としてその力を使ってくれ」


「いやいや待ってよ、今この状況って王の力のせいでなってるんじゃないの? ほら、王の適性がないとか」


「そんなことないぞ、王の証はその国の象徴であり、その国が国であること、王を王であると証明するためのものだからな。誰か他の奴が力を使うこともできる。だが、その国の王でなければ本来の力は使えない。そういう代物なんだ。王の証ってのは」


誰でも使えちゃっていいの? この力。危なすぎない?


「でも、託されたものだから大切に使わせてもらいます」


「頼んだ。俺がふがいないばかりにこんなこと頼んじまった。おっと、そろそろ時間みたいだな」


「……ちゃん……ナちゃん!」


「ガーちゃん!」


どこかからガーちゃんの声がどんどん大きくなって聞こえてくる。


「シビレンさん、ありがとうございました」


「頑張れよ」


白い光に包まれる中、シビレンさんは最後に私に笑顔を送ってくれた。

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