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王様未満と元王様

「君は、確かアニマリルの王子だったか。そんなに震えているのに何ができるんだい?」


クルーリはニヤニヤと笑いながらシゲルを見下ろす。


「ふ、震えてなんて、ないのだ」


「よく言うよ」


シゲルはクルーリの言葉が正しいとわかっていても、震えてでもこの場で戦わなければならないと思っていた。それは男として、次期王としての覚悟だった。


「うおおおおおおお」


「えいっ」


シゲルは震える足に必死に力を込めて走り出すと、クルーリに向けて剣を突き立てる。しかし、シゲルの勇気はクルーリのデコピン一発で吹き飛ばされた。


「うぅ、まだ、なのだ」


「その維持だけは王よりありそうだ。褒めてやろう」


クルーリはシゲルの懸命な姿を笑いながらそう褒めた。


「シゲル、無茶するな。早く逃げろ」


カレはシゲルにそう言うが、シゲルは一歩も引こうとはしなかった。


「僕がコイツを倒すのだ。そうしたら、いや、そうしなきゃ、きっとお母さまは安心して僕を王にできないのだ!」


シゲルはそう叫んで再びクルーリへと突撃する。


「何度やっても同じなんだよ」


クルーリは今度はシゲルを蹴とばす。シゲルの全身にはこれまで感じたことの無いような激痛が走り、もうやめてしまいたいと思う気持ちを必死に振り払って立ち上がる。


「まだ立ち上がるのかよ。めんどくさいなぁ。やれ、ドラゴン。この城ごと全部殺してやれ」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉ」


クルーリの命令にブルーラは大きく叫ぶと空高くへと飛翔する。


「これで終わりだ」


「まだ、なのだ」


シゲルはようやく立っていられるかという状態だが、クルーリの方へと歩みを止めない。


「はぁ、バカも度が過ぎると面倒なんだよ」


クルーリは歩み寄ってきたシゲルを掴み上げると、魔力を込めて赤黒く光る拳をシゲルの腹に放った。


「シゲル!」


カレは吹き飛ばされたシゲルを抱え上げ、必死に名前を呼びかける。


「まだ、な、のだ」


「もういい、もう頑張らなくていい。後は私が」


泣きながら自分の胸にシゲルを抱えるカレの元にクルーリが歩み寄る。


「王の証さえ渡せばこれ以上危害を加えるのは辞めよう。これは約束だ」


「ッ!?」


カレはその一言を聞き、首から王の証であるネックレスをはずそうと手をかけると同時に、部屋の扉は勢いよく開かれた。


「待たせたの、王よ」


「少々遅くなってしまった」


扉から現れたのは長老ゲブと何でも屋ファミリエ店主、名をスザ。


かつて動物の国を治めていた四人のうちの二人が国の危機を救いに現れたのだ。


「王の証は、絶対に渡す出ないぞ」


「お主は昔からメンタル面が王に向いてなかったからのぉ。ここからはわしらの出番じゃ」


小さくも頼もしい二つの背中はクルーリへと反抗の牙を見せる。



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