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観光はどう行こう

「はわわわわわ! カンナちゃん可愛すぎます!」


着替えを終えた私の姿を見て顔をとろけさせながら、ガーちゃんはそう言った。


「あ、ありがとう。なんかガーちゃんいつもとテンションおかしくない?」


「は! 失礼しました。そ、可愛すぎたもので」


ガーちゃんは、私からの指摘で我に返ると、頬を赤く染めて恥ずかしそうに謝ってきた。


「全然大丈夫だよ。て、ことでこれからどうする? 依頼もやらないといけないわけだし。でも観光もしたいよねぇ」


「では、依頼の場所に向かう途中で観光、というのはどうでしょう」


うーんと悩んでいる私に、ガーちゃんは笑顔でそう提案した。


「ナイスアイディアだよガーちゃん! そうと決まればレッツゴー!」


私は大きく拳を上に掲げると、ガーちゃんの手をとって城を後にした。


「そういえば、依頼ってどんなのだっけ?」


城を出て数分。依頼の場所までの地図とにらめっこしているガーちゃんに、私はそう尋ねた。


「そうですね。えっと、大事なものを修理に出しているから代わりに受け取って持ってきてほしいそうです」


ガーちゃんはそう言った後も「うぬぬぬぬ」と眉間にしわを寄せて地図とにらめっこをしていた。


「何を届けるかってこともわからないの?」


「そうですね。依頼書にはお店の場所しか明記されてませんね。それかズーちゃんが記載しそびれたかということになりますが、あの子は昔から結構細かい子なのでそんなミスはしないと思うんですよ」


ガーちゃんにもわからないのならしょうがないかと思い、改めて街並みを見る。


森が本格的に叫び出したということもあり、開いていない店も多い。シゲルに連れて行ってもらったエグラムールも閉まっていた。


「あ、あそこ! じんにん焼きだって!食べてみようよ!」


じんにん焼きと書かれた店の看板には、人参のようなものが描かれていた。私はお店の前まで行くと、じんにん焼きを2つ頼んだ。


「お嬢ちゃんたち可愛い服着てるね。旅人さんかい?」


茶色の毛並みが綺麗で、頭には赤いリボンを付けた2足歩行で歩く馬の店主さんがじんにんを調理しながらそう話しかけてきた。


「はい、そうなんです。今は依頼に向かう最中で」


「そう、この時期に来ちゃうなんて災難ねぇ。アニマリルはいつもこうだからあまり冒険者が好んで来ることはないのよ」


お母さんのようなしゃべり方で店主さんはじんにんを器用にクルクルと焼いていく。


「店主さんは森が叫ぶことに迷惑してる?」


「そうねぇ、確かに収まるまで国から出られなかったり、面倒なことも多いけど。1つの自然現象をどうにかするために国民が協力し合うっていうのは、いい関係だなと思うわ。交流も増えるしね」


店主さんは可愛らしくウィンクをすると、じんにん焼きを差し出した。


「店主さん、ありがとうございます。いくらですか?」


「お代はいいわ。この時期に外の冒険者に会えて嬉しかったからね。それと私の名前はジェシカ、これからはジェシカちゃんと呼んでね」


今度は強烈な投げキッスが飛んできて少しクラっとしてしまう。


「では失礼します!」


何か顔を真っ赤にしたガーちゃんに手を掴まれ、そのまま店を後にした。ジェシカちゃんは私たちが見えなくなるまで手を振ってくれていた。


「どうしたのよガーちゃん」


「いけないです。破廉恥です」


何やら変なことを考えてしまったらしい。


「ほらガーちゃん、じんにん焼き食べよ」


私はガーちゃんを何とか止めさせて、じんにん焼きにかぶりつく。


「うんまぁ、ホクホクのじんにんがソースと絡まってめちゃくちゃ食べ応えある」


「ほんとですね。野菜とは思えません」


食べたことのない味がするが、見た目や匂いは完全に人参そのままだった。


「あ、ここですここ。依頼のものを貰うお店は」


ガーちゃんは少し驚いたようにお店の看板を見る。その看板を見る、何でも屋、ファミリエと書かれていた。


「何でも屋、いかにも怪しいお店だね」


「でも、依頼書にはこのお店だって書いてありますから。入ってみましょう」


私たちは恐る恐る店の扉を開けた。


「いらっしゃい。何が欲しいんだい?」


店の中は色々なもので散らかっていて、とても店とは思えなかった。店の奥の方にあるカウンターには、前髪の毛先だけが赤い、白髪のおじいちゃんがそこにはいた。


「すみません。私たち冒険者ギルドの依頼を受けて着まして。長老のゲブさんへのお荷物を預かりに来たんですけど」


「冒険者さんかい。ありがとうね。依頼されていたものの修理が終わったから持って行ってほしいんじゃ。これをあの長老のところに届けておくれ」


おじいちゃんはそう言って、カウンターの下から依頼品を取り出した。


「ま、孫の手!」


カウンターから出てきた見たことがあるが異世界で見るとは思ってもみなかった姿に、私は声を出してしまった。

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