2人の旅はどこへやら
「どうしてこうなったのよぉぉぉぉ」
目の前には自分の背よりも何倍にもでかい壁があるだけだった。壁とは反対方向から登ってきている朝日が目に染みる。
「カンナちゃん!落ち着いて!」
すると隣から焦った私を見てられないのかガーちゃんが大きな声を出す。
「焦ってても仕方ないよ。これからどうするか考えないと」
私にそう言った顔は少しばかり不安そうで悲しそうにも見えた。
「うーん、そうだね。他の国に行くとか?」
「でも、何も持ってない状態で外に投げ出されたのに隣の国まで歩いていくのは結構無茶じゃないかな?隣国まで早くても5日はかかるんだよ」
「それでも、もう戻れないんだし行ってみるしかないよ。それに、食料なら適当にそこら辺の動物でも魔物でも殺せばいいからね」
そう言って私は壁とは反対方向、太陽へと駆け出した。
私はずっとカンナちゃんのことが気になっていた。
いつでも明るくてその燃えるように赤い髪はまるで太陽に思えた。
「私、やっとカンナちゃんと2人になれたんだ」
走っていく彼女の背中を見つめながら私はそう呟いた。
ひょんなことからこうなってはしまったが私は今すごく幸せだ。もう誰にも彼女は傷つかせない。
だって私はカンナちゃんが好きだから。
「ねーねー!ガーちゃん見ててーうううん、ホイッ」
カンナちゃんはそういうと手のひらから小さな炎の玉を出してみした。
「なんか、色々忘れちゃったみたいだけどこうやって力を込めれば炎の玉出せるみたい!」
かわいい!カンナちゃんどうしてこんなにも可愛いの!まるで小動物みたい。
「ガーちゃん?ぼーっとしてどうしたの?やっぱり昔の私の方がもっとかっこよく魔法使えてたよね……」
しょんぼりと落ち込んでしまっているカンナちゃんも可愛い!
「そんなことないですよかわ、かっこいいですよ!私は今のカンナさんもいいと思います!」
「そんなこと言われたら照れるなぁ」
ほんと、どんな仕草も可愛い。もう誰にも渡しません。
「それでは隣国、魚の国フィシュタニアに参りましょう」
私はそう言ってカンナちゃんの隣に並び歩きはじめる。
「さかな!めっちゃ食べたい!」
そんな反応を見ていると私はカンナちゃんを食べたくなっちゃいますよ。
私たちは同じ歩幅で歩いていく。