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可憐なカレと辛いカレー

「そうだな。これはまだ私が女王になる前の話。アニマリル誕生時の話だ。この国は元々動物だけ、動物の国だった。獣の国では、人と獣のハーフである獣人は奴隷として扱われていたんだ。私の祖父はこの現状を変えるために革命を起こした。これがのちに言うアニマリルの革命だ。シゲルここはテストに出るからな」


シゲルはそんなことを言われたものだからビクッと小さく飛び跳ねていた。


「前王である私の父が、人や獣人も含めた国、獣の国アニマリルと名づけたんだ。現在私が二代目アニマリルの王なわけだが、中々問題も解決していない。差別はそう簡単に解決できる問題ではないんだ」


確かに、そうだ。私だって差別はダメッて思っていても、結局死ぬ前の世界だって差別が無くなったことなんて無い。私が、甘かったんだ。


「まぁ、客人がそう深く考えるな。森が静かになるまではこの城を好きに使うといい。私は基本、敵以外には優しくするようにしているんだ。増してや、バカ息子の恩人とあればなおさらね」


カレさんは玉座から立ち上がると、部屋の奥にある通路へと歩いていく。


「私は料理を趣味にしていてね。よかったら食べてみてくれないか?」


「いいんですか!」


私は嬉しさと共にお腹の虫をぐうぅ~と鳴らしながら、目を耀かせる。


「あぁ、立っているのも何だろう。ヒカゲ、客室に案内してあげなさい。シゲルは自分の部屋で反省文を書きなさい」


「かしこまりました」


「……はい、なのだ」


カレさんはヒカゲにそう言い残し、通路を奥へと歩いていき、シゲルは入ってきた入り口をとぼとぼと出ていった。その小さな背中を見ていると何だか少し可哀想な気持ちになる。


「それではご案内します。こちらです」


ヒカゲに案内され、長い廊下を歩いていく。


それにしてもとにかく広い。多分陸上の記録会とかできるよこれ。


「こちらの部屋になります」


入り口を左に出てからしばらく歩いた先に着いたのは、さっきの二分の一ほどの大きさの扉だった。


「しばらくの間はこちらの部屋をお使いください」


部屋の扉を開けると、大きなダブルベッドに、白い大理石で作られた大きなバルコニー、ハワイにある高級ホテルのような作りだった。


「いいの? こんな豪華な部屋使っちゃって。お金もないのに」


「カレ様が良いとおっしゃったのでよろしいのです。それでは夕食の準備ができたらまたお呼びします」


「何から何までありがとうございます」


ガーちゃんは、ヒカゲさんにそう言うと、ヒカゲさんは銀色の鎧をがしゃがしゃと鳴らしながら部屋を出ていった。


「ふはぁ。疲れたぁ」


私はダブルベットにダイブする。めっちゃふかふか。


「もぉ、はしたないですよ。でも確かに疲れたのは同感です。フィシュタニアが遠い昔に感じられますから」


「そうだね。フィシュタニアの時とは違って国のこと観光もできそうだし楽しみ。美味しいもの食べるぞぉ!」


私の気合いに満ちた顔を見て、ガーちゃんはフフッと笑う。


「食べることばっかじゃないですか。でも、私も楽しみなことがありますね」


「何々!」


私が気になってガーちゃんの顔にグイっと近づいて尋ねる。ガーちゃんは少しばかり頬を赤らませながら、恥ずかしそうに答えた。


「そ、それは。カ、カンナちゃんと思い出ができたらなって、思って」


口元を手で隠しながら、本当に恥ずかしそうに言葉を溢すガーちゃんの姿に、思わずドキッと心臓が跳ねたかと思うと、顔が熱くなるのを感じる。


「料理の準備ができましたのでお呼びに参りました」


そんなドキドキとしていた空気も、ヒカゲさんの一言によって切り裂かれた。


「口に合うかわからないが、特製カレーだ。私はスパイスから作るのが趣味でね」


そう言ってカレさんは私たちの前にスパイスの香りが強い特製カレーを置いた。


「いただきます」


私はゴクリと唾を飲み込み、スプーンですくったカレーを口の中へ誘った。


「辛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」


私はあまりの辛さに飛び跳ねると、口から火を吐いて見せた。

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