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その少女、ケモ耳!だが、それでいい!

「どうして、森が叫ぶようになったんですか?」


私は疑問に思っていた一つのことをズーさんに尋ねる。


「私も詳しいことは分からないのですが、言い伝えがあったと思います」


「どんな言い伝えなんです?」


私の問いにズーさんは「うーん」と頭を捻ったあと口を開いた。


「私にもわからないんだよね。王様、もしくは長老様ならわかるかもしれない。私もここには長いけど出身ってわけじゃないからさ」


ズーさんは申し訳なさそうにそう答えると、栗色の髪をふわりと揺らして受付の下を覗き、一枚の依頼書を取り出した。


「ガーネットちゃんたちだから頼みたい仕事があるんだけどどうかな? この依頼をこなせば知りたいことの答えに近づけるかもしれないよ」


ズーさんが取り出した依頼書には簡単な配達任務だった。これ誰でもできそうじゃない?


「この依頼、どうして私たちに?」


「いやぁ、この仕事の配送先が変わった長老様でね。なかなか依頼を受けてくれる人がいないんですよ」


「ようは、汚れ仕事の押し付けってこと?」


ズーさん、優しいふりしてもしかして仕事押し付けてない?まぁ受けるしかないんだけどさぁ。


「そうなりますね。でもこの依頼を受けてくだされば知りたいこともしれますし、お金も手に入る。一石二鳥だと思いません?」


目をキラキラと輝かせながら押し売りしてくるズーさんに断る言葉も出てきそうになかった。


「相変わらずですね。わかりました。受けます。カンナちゃんもいいですよね?」


「私はどんなものでも大丈夫だよ」


私はガーちゃんにグーと手を突き出して答える。ガーちゃんは少し苦笑いをすると、以来の手続きを済ませた。


「ではこちらの住所に行っていただいて長老への届け物を受け取って、こっちの住所に届けてくだされば大丈夫です」


ズーさんはガーちゃんに一つの封筒と、何枚かの書類を手渡した。


「ではカンナちゃん行きましょうか」


私たちは冒険者ギルドを後にした。


「冒険者登録は終わったのだ?」


外で待っていてくれたシゲルとヒカゲさんが私たちのことを迎え入れた。ヒカゲさんなんかめちゃくちゃ疲れた顔してるけど大丈夫かな?


「はぁはぁ、それはよかったです。依頼の方も受けられたのですか?」


息があがりながらも、ヒカゲさんは私たちにそう尋ねた。ヒカゲさん無理しなくてもいいのに。


「手紙を届ける簡単なお仕事だよ。届け先は確か……って誰だっけ。教えてガーちゃん!」


「はぁ、さっき聞いたばかりじゃないですか。アニマリル長老のゲブ様です」


ガーちゃんはため息を吐きながらも私の問いかけに答えた。なんかカタカナばっかりだと分からなくなっちゃうんだよね。


「ゲブ様ですか!? これはまた大変な依頼になされましたね」


ヒカゲさんは驚いたような表情でで頭を悩ませる。もしかして私たちはとんでもない依頼を押し付けられてたの!?


「とりあえず、一旦城に行くのだ。もう夜がやってくるのだ。夜行性の国民もいるから危ないのだ」


シゲルは城を指さして急ぐように伝える。異世界でも夜行性という概念があることに驚いたが、この依頼をすぐにこなせないのなら城に行くのが最善だろう。


「とりあえず案内してもらってもいいでしょうか」


ガーちゃんはシゲルにそう頼むと、頼られたのが嬉しかったのか胸をドンっと叩いて「任せるのだ!」と城へと歩き出す。


「おい! 待て! 誰かそいつを捕まえろ!」


「奴隷のくせに逃げるんじゃねぇ!」


歩き始めてしばらくした頃だろうか。目の前から男たちの大きな声が聞こえる。よく見ると、凄まじい速度でこちらに走ってくる銀髪の少女がいた。彼女の頭にも耳が生えている。銀髪でケモ耳それでいい!


「あの子、助けるよ」


私はみんなにそう言う。みんなはあまり乗り気ではなさそうだが、私はそれでいいと思った。

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