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唐突の追放

私の人生は平凡だった。何か得意なことがあった訳でもない。好きなこと、本気になれることもなかった。私はつくづく思う。「何も無い」と。空っぽな自分をどうやっても好きになれなかった。


「私、どうして生きているんだろう」


そう自分に問いかけても答えが帰ってくることは無い。

帰り道を歩く私の足はフラフラしていて力はほとんどこもっていなかった。いつも通りの灰色の景色をただフラフラと通り過ぎている日々。


キキーッ!ガシャンッ!


その瞬間私の体は宙に舞った。

体が痛い、動かない。目の前に赤が広がる。


「やっと、わた、しに色が……」


私はそう言い残し、意識を手放した。



明るい光が私に差し込んだ。眩しさに目を開けると目の前には見たことのない天井が拡がっていた。


「ここは、私は死んだはずじゃ……」


あの時私は確実に車にひかれて死んだはずなのに。


「目が覚めましたか? 丸2日も寝ていたんですよ体調は大丈夫ですか?」


私の声に気がついたのか奥の部屋から1人の女性が部屋に入ってきて私にそう告げた。


「体調は、大丈夫です。けどここはどこなんですか?それに、あなたは誰、?」


彼女は緑色の目を大きくして驚いた様子だった。そして口を開いて私に話しかけた。


「記憶を失ってしまったのでしょうか…ここは王の国の冒険者ギルド。私はこのギルド受付嬢、そしてマスターでもある ガーネット・バトランスと申します。覚えておりませんか?私のことガーちゃんとあんなに笑って仰ってくれたではありませんか!」


ガーちゃんと読んでほしそうに白く長い髪をフリフリと揺らしている。そんなガーネットさんを見てとても大人らしい第一印象から一気に子供らしさを感じてしまう。


「私、その、死んだと思ったんですけど気がついたら知らない場所にいて……自分の名前、というかこの体の名前も正体もわからないんです」


「またまたカンナちゃんは変なこと言って私を困らせるんだから」


どうやら私の体の名前はカンナというらしい。ベットの隣の鏡を見てみるとそこには燃えるように赤い髪に澄んだ青い目をした少女の姿があった。


「これが、私……」


この時私は確証した。

私、転生したんだ。

今鏡に映っているのは人生に絶望しているボサボサ黒髪死んだ魚の目をした女ではない。可愛らしい赤髪の少女である。


「こんなこと、あるんだ!この世界で、私の新しい人生が始まるんだ!」


急に笑顔で鏡の前で飛び跳ねている私をガーネットの冷たい視線がよぎった。


やばい、めっちゃ引いてるよ。ここは何とかこの子と仲良くしなければ。


「ガーちゃん、少し記憶が曖昧だから色々教えてくれないかな?」


「もっちろん!私はギルドマスターですから!」


ガーちゃんはパンッ!と手を合わせて笑顔で私に言った。


「おーいガーネットちゃんいるかい?」


すると下の方から男の人の声が聞こえた。


「どうやら冒険者の方々が来たようですね。私ちょっといきますね」


「あ、あの私も一緒にいっていいですか?」


この世界のこと色々調べなきゃいけない。それに、この体の元々の持ち主がどんな人だったのかも調べないと。


「もちろん!いつも手伝ってくれるじゃない助かってるんだから」


サラッと白い髪をなびかせると1階へと降りていった。


「デモスさん今日もありがとうございます。デモスさんにピッタリの依頼が来てますよ」


私が1階に降りる頃にはもうガーネットは冒険者に依頼の案内をしていた。木材で作られた小さな部屋にカウンターやテーブルが置かれていて、掲示板には依頼が張り出されている。



「よぉカンナ!またギルドの手伝いとは偉いな。でもそろそろやばいんじゃないか?ジーク様もお怒りにならないか?」


冒険者のデモスといったこの人は私にそう訪ねてきた。


「ジーク、?誰ですかその人」


「おいおい、ジーク様のこと呼び捨てとはダメじゃないか。この国は王の国なんだぞ。次期王のジーク様を呼び捨てなんかしたらこの国じゃ死刑だぞ」


え、どういうこと、王の国ってそういうことなの


私が状況が理解出来てないところにギルドの扉が思いっきり開かれた。


「カンナはどこだカンナは!」


次はなんなのよ


「ジーク様」


デモスもガーネットも跪きジークに頭を下げる。

ジークと呼ばれたその男はぽっちゃりと膨れたお腹に金髪といういかにも王族といった見た目をしていた。


「また俺の許可なしでこんなところにいて何回言えばわかるんだ」


「どういうことでしょうか?」


全く状況が理解できてない。なんなのよこいつ


「お前は俺の父上である国王陛下の力が全くわかっていないようだな。俺が父上に頼めばこんなギルドすぐに無くすことが出来るんだぞ」


ジークは腕を組んで誇らしげに私に告げる。


「それって結局あなたじゃなくてあんたのお父さんが強いんだよね?なんでそんなに威張ってるのか知らないけどやめた方がいいよ?」


あまりにもムカつく言い方に思わずそう言ってしまった。

金髪に少しふっくらとした体、そしてダサい服ときたらムカつくどころか助走をつけて殴りたいレベルだ。


「お前は俺をどこまで侮辱すれば気が済むんだ!もういい俺のパーティーに戻してやろうと思ったがもう許してやらんお前もこのボロっちいギルドも全員まとめて国外通報だ!」


ジークがそう宣言するとぞろぞろと兵がギルドの中に入ってきてガーネットを拘束する。


「なんて卑怯な」


こんなのただの悪者がすることだ。

私は抵抗してやる!

私は思い切って兵たちにつかみかかろうとする。


「うっそー!離してよー」


拘束された。めっちゃあっさりされた。なんなら相手に技すら使わせずに捕まった。恥ずかしいよ。穴があるなら入りたいよ。

私、力全然ないじゃん。

あっという間に両手を掴まれて店の外まで引きずられていく。


「ちゃっちゃとつまみだせ!」


そのまま兵に連れていかれると2人揃って塀から投げ捨てられた。


兵が塀からプフッ

ダジャレを言っている場合ではない。

転生して10分足らずで国外追放である。


「これから私はどうすればいいのよー!」


私は塀に向かってそう叫ぶ。

私たちを照らす太陽がまぶしい。



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