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魔女の呻きVol:7



「ひとまずは、こちらを頭に差し込んで下さい。」



聖女は、手の平から、エメラルドグリーン色で

発光しているUSBを出した。



ーー手品かよ...。



急に、出現した現代科学のアイテムを差し出された

竜司は、聖女に促されるままに、USBを手に持った。



ーー頭に差すって、SFかよ...。



脳内で、小言を挟みながらの、

何が入っているかのか、得体の知れない

無機物をこめかみ付近に近づける。



ーーカチャン!



すると、磁石に吸い寄せられる様に、

USBは、竜司の頭に、吸い込まれていった。



ーー...入ったのか?



痛みなどの感覚が、一切ない。



竜司は、確認の為、USBが入ったであろう部分に

手を近づけようとした時、



「ハッ!?」



『それが』インストールされた事を、竜司は、瞬時に理解した。



「松田峰香さんのデータです。」



「性格や、趣味嗜好、ライフスタイルなど、

彼女のありとあらゆる情報を、竜司さんの

脳にダウンロードした形となります。」



ーーこれはスゲェ...。



わざわざあくせくと足を使って労力を使わずとも、

彼女に関する情報が網羅されている事に、

竜司は、感心した。



「その上で、彼女の夢に侵入し、

彼女の大切なモノを盗み出し、

調教していきましょう。」



「では...」



ーーヤバッ!



この後の展開がどうなるのか、竜司には、想像がついている。



ーーパチン!



聖女が、右手の指で音を鳴らす瞬間、景色が一変した。






-----------------------





高層ビルが立ち並ぶ大都会、



スーツ姿の男性や女性達が大勢で、歩いている。



ヨーロッパ、ヒスパニック、アジア、アフリカ...etc



よく見てみると、多種多様な人種の人達が、

交差点を行き交っていた。



少なくとも、日本の都会が舞台ではないのは、確かだ。



「あ...危ねぇ...。」



すでに、竜司は、松田峰香の夢に入る手前で、

変装を済ませていた。



前回は、ロクな準備もしないまま、

ターゲットの夢で、素の状態で晒していたのだ。



危うく、開始早々、ゲームオーバーになりかけている。



その反省を活かして、潜入した。



「どう仕上がってるかな...?」



竜司は、近くにあるパン屋の

ショーウィンドウの前で、全身をチェックし始めた。



身長はおよそ180cm、オールバックの黒髪、

黒色のジーンズ、革靴、長袖のシャツ、

革のロングコート、ベルト...etc



全身、黒色の服装でコーディネートされている。



彫りの深い顔、筋の通った高い鼻、

オッドアイの瞳を隠すサングラス、



「これはまるで...。」



そこまで口にし、皆までは言わない竜司であった。



他人からみたら、これからエージェントと戦い、

空を飛んだり、銃弾をエビ反りで回避する

どこぞの救世主にも、見えなくもない。



「まぁ...悪くはないな。」



急なこしらえではあったが、竜司の感想としては、

上出来といった自己評価だ。



「さてと...。」



竜司は、横断歩道の手前まで歩き、辺りを見渡す。



「あそこだな...。」



立ち並んでいるビルの中でも、群を抜いた、

150mは超えているであろう超高層ビル、



同時に、今回のターゲットの居場所も把握した。



「準備は整っていますね。」



声をかけられた方向に振り向くと、そこに、聖女がいた。



竜司と同じ、全身黒色の服装だ。



ーーこ...こえぇ...。超こえぇ...。



竜司は、聖女の姿を一目見た瞬間、全身が震え上がった。



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