表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/371

魔女の呻きVol:1



「あら、すごいイケメン!その鋭い眼がタイプだわ!」



ーー面倒くせぇババァだ...。



全身黒の装束、黒色のサングラスとマント、

オーバーバックの髪型...etc



白色の肌に、180cm超えの身長、

ハリウッド俳優にいるイケメンの白人の

見た目に扮した竜司は、辟易していた。



アラフィフで、自称美魔女の鬱陶しい、

先程から、色目遣いをしてくる熟女を

調教という鉄槌を下す所だ。



「おい...気安く話しかけるな、クソババァ。」



「俺と話したければ...」



「3回周って、『ワン』と言え。」






-----------------------





時を、現実世界の昼に巻き戻そう。



竜司は、いつも通り、職場で勤務していた。



夢では、魔王候補、現実では、モブキャラ、



異世界の物語風に例えるならば、

竜司は、今、サラリーマンAのキャラを演じている、

陰の暗躍者といった所であろうか。



そんないつもと同じ日常を過ごしている所に、

イレギュラーが発生する。



「これは一体、何なのよ!」



「どうしてそんなミスばかりするのよ!」



先刻から、隣の部署を通して、金切り声が聞こえてくる。



「うわぁ...また始まったよ...。」



「あの人、癇癪持ちだし、周りに当たり散らすよな...。」



竜司の近くの席で、同僚達がコソコソ話をしていた。



現在進行形で、不快感をもたらしている音源の主の事だ。



「マツダさん...あの歳で独身なのもわかるわ...。」



「しかも、自分よりも若い人しか興味がないとか、

まぁ、同年代に比べても、あの人すごい若々しいしさ。」



彼女の名前は、松田峰香まつだみねか



竜司が所属する職場とは、違う部署にいるが、

彼女の噂は、署内では有名だ。



今年、50歳を迎えた、いわゆる、アラフィフ世代だ。



竜司がまだ生まれて間もない、

もしくは、この世に誕生すらしていない、

バブルの時代を知っている、



いわば、元祖パリピ女子をやっていた。



そこからの崩落、停滞、時代の酸いも甘いも

体験している女性だ。



社内では、キャリアウーマンの先駆け的な存在であり、

あの古田ゆきめも、尊敬していた。



だが、何かの拍子で、突然、彼女は豹変する。



急に、幼稚で、泣き喚く5歳児の様に、情緒が不安定になる。



そのネガティブな感情を職場にいる

メンバーにぶつけ、金切り声を上げるのだ。



しかも、峰香には、地位や実績がある為、

彼女を諌められる、ブレーキ役を買って出る人がいない。



社内では、黙認されている状況なのだ。



彼女の被害に遭った人は、ひとたまりもない。



その結果、毎年、何人もの社員が、

彼女の負のエネルギーにあてがわれて

辞職してしまう例が後を絶たない。



「聞いているの!?」



今日も、彼女の犠牲者が出ている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ