表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/371

天秤Vol:23



ーーGRRRRR...!



目覚まし時計の騒がしい音が部屋を木霊した。



「...。」



竜司は、それに呼応するかの様に、目を覚ました。



スイッチを押し、けたたましい音源を消した。



銃弾が飛び交う死戦の夢とは打って変わり、

静寂さが漂う現実に戻ってきた。



「確かめるか...。」



そう呟き、竜司は、現実のゆきめと会うべく、

身体を起こし、出勤の支度を始めるのであった。



電車に乗る通勤の最中、

変わり映えしない景色を眺めながら、

今回の夢を振り返る。



初めて他人の夢に潜った事、

ギャップのある古田ゆきめの姿、

そこで知った彼女の秘密や闇...



その一つ一つを吟味しながら、現実で答え合わせする。



いつも通り、同じ時刻に会社に着いた。



そして、同じ場所で、いつもの様に、古田ゆきめが現れた。



「今日のお昼、時間ある?」



竜司は、すぐに彼女を見るやいなや、尋ねた。



「えっ...特に用事もないから、大丈夫だけど...。」



急な彼の誘いに、ゆきめは面食らった。



無意識に、竜司の変化を察知し、

いつもと違う彼の雰囲気や態度に加え、

有無を言わせない、何かを感じ取ったのだろう。



すでに、竜司は、『彼女』を知っている。



「じゃあ、12時に入り口で会おう。」



竜司は、ゆきめに約束を取り付けたら、

そそくさと職場に向かった。



彼女の方はというと、困惑の表情を浮かべたままだ。



だが、何かを覚悟したのか、手を無意識に、キツく握っていた。



午前中の業務を終え、竜司は、会社の入り口前に来た。



さっさと仕事を片付けて、彼女と会うべく、

いつもより彼の動かす手は、速やかだった。



約束の時間まで、まだ5分ある。



側から見たら、デートに見えるかもしれないが、

今回は、特殊な事情による逢瀬だ。



竜司が、腕時計を確認している時だった。



「お待たせ。」



ゆきめがやってきた。



手には、昼食の入ったレジ袋を引っ提げていた。



「サンドイッチ?しかも卵たっぷりの」



「えっ!?なんでわかったの!?」



ゆきめは、買ってきた昼食の中身を、

竜司が、ピンポイントで当てた事に仰天した。



竜司にとっては、別段、驚きはない。



すでに、彼女の夢で、予習済みであったからだ。



「好きそうな顔をしているから。」



「意味がわからないのだけど...。」



ギャルのゆきめがオーバーリアクションで、

喜ぶ姿を目撃していた竜司にとって、至極、

真っ当な回答をした。



ゆきめにしたら、意味不明のジョークに聞こえ、戸惑う。



「とりあえず、行こうか。」



頭が整理されていない消化不良なゆきめを尻目に、

竜司は、歩を進めるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ