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天秤Vol:22



ーーだけど...。



ゆきめは、竜司以上に拗らせ、穴に陥っていた。



外見以外の価値を認めない、価値観に染まりきっていた。



彼女よりもルックスが上か下か、また、

女王様として崇める召使の男性がいなければ、

ゆきめは、生きる実感がなかった。



その為ならば、自らの身体さえ、差し出す始末だ。



竜司は、彼女の生まれながらの綺麗な心を感じていた。



だが、成長するにつれて、その美しい心は

汚染され、俗世間に侵食されてしまった。



その気高い精神性が退廃してしまった。



埋められないギャップが、彼女の夢に現れている。



竜司は、結局、ゆきめは悪夢に囚われたままなのか、



最後まで、彼女に変化の兆しが見られなかった。



今回のミッションは、徒労に終わったのではないかと、

次第に顔を強張らせた。



その表情は、憂鬱げだ。



「竜司さんという存在の登場で、それまで

同じパターンを繰り返していた、ゆきめさんの

夢に、確実に変化を与えていますよ。」



「そして、竜司さんの言動は、

彼女の現実に反映されていますよ。」



竜司の杞憂に、聖女は、助け舟を出した。



「彼女は、無自覚なままでしょうが、

何かしらの行動を起こすでしょう。」



そう預言もするのであった。



竜司は、全てが丸く収まる大団円、

ハッピーエンドを描いていたが、

人の抱えるカルマというのは、難しい。



竜司自身、それはわかっているはずなのだが、

実際の困難さを前に、苦く感じるのであった。



ーーPRRRR...!



竜司の背後に、公衆電話のボックスで、ベルが鳴っていた。



「そろそろ時間ですね。」



聖女が、終わりを告げる。



「現実のゆきめさんの行く末を、その目で見届けて下さいね。」



竜司が、振り向くと、すでに聖女の姿はなかった。



「なんだかなぁ...。」



煮え切らない、心がモヤモヤしたまま、

竜司は、ベンチから立ち上がり、公衆電話ボックスの

中へと向かった。



ーー流れに身を任せるしかないか...。



竜司自身、やれる事はやり切った。



あとは、この目で、ゆきめの行き着く先を確かめるだけだ。



竜司が、ゆきめにかけた言葉は、いわば、一つの種だ。



その種子は、ゆきめの心に蒔かれた。



それが、どのように芽を出していくのか、



竜司は、見定める為に、電話の取っ手を取り、現実へと帰還する。



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