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天秤Vol:19



ーーパン!パパン!!



崩壊していく校舎、飛び散る窓ガラスや破片、

背後から聞こえてくる弾丸の撃鉄音、



竜司は、嵐の中を駆け抜けていた。



コンクリートの建材が崩れ落ち、

彼が通り過ぎた直後に、床や壁が爆発する。



ギリギリの、命の綱渡りをしていた。



ーーうわぁ!



運悪く、落ちた瓦礫に当たり、下敷きになった生徒がいた。



現実ならば、胸を痛め、良心の呵責が起きる、残酷なシーンだ。



だが、ここは夢の世界、



いわば、幻に過ぎない。



竜司は、斃れた学生に目もくれず、一心不乱に教室を目指す。



ーー行き止まりか!?



階段に差し掛かった時、上に続く道が崩落していた。



ーー逃すな!撃ち殺せ!



引き返したら、蜂の巣にされる。



考える暇もなく、竜司は、飛んだ。



ーーグッ...!



落ちる寸前の所で手に届き、ガムシャラによじ登った。



その直後、追ってきた生徒達が

階段に到着し、矢継ぎ早に、銃を放ったが、

竜司に、当たる事はなかった。



ーーハァ...ハァ...。



目的地の教室まであと10m、



竜司は、息を切らしながら、扉に近づいていた。



ーーカツカツカツ...。



しかし、正面から、何者かがやってくる音が聞こえた。



このままでは、戦闘は避けられない。



竜司は、ここで、学生服のポケットから手榴弾を取り出した。



ーーカチッ!



キャップを乱暴に引き抜き、足音の方へ放り投げた。



竜司は、廊下の柱に避難し、身を潜めた。



ーードゴーン!



凄まじい爆発と共に、前方の廊下が瓦礫と共に埋もれた。



これで、襲われる事は無くなった。



後ろは、階段しかないし、崩落している。



念の為に、後ろにも手榴弾を投げて

爆破し、廊下ごと、瓦礫の山にした。



「これでよし...。」



追手からの逃走には、成功した。



しかし、校舎の崩壊は、依然として、進んでいる。



タイムリミットが迫っているのに、変わりはない。



竜司は、疲れた身体を引きずり、教室へと入った。



ーーRRRRR...!



聖女が座っていた机の上で、スマホが鳴っていた。



「あれか...。」



おそらく、あのスマホの電話を取ると、脱出できるのだろう。



この教室は、崩壊の影響がまだなく、無傷だった。



最初に、入室した時と変わらない景色だ。



竜司は、息をつきながら、スマホのある

机に進もうとした時だった。



「逃がさないわよ。」



待ち構えていた様に、古田ゆきめが教壇に姿を現した。



右手で、銃を構え、今度こそ息の根を止めるつもりだ。



「またかよ...。」



涼太は、脱出目前だったのに、またもや邪魔が入った。



諦めの悪い、ゆきめに半ば呆れていた。



「さぁ...大人しく...。」



壊れたラジカセのテープの様に、

屋上と同じセリフを言うつもりなのだろう。



「二度も聞かせるな。」



そう言わんばかりに、山川涼太は、ゆきめの言葉を遮る。



「もう中身は全部、見た。」



「お前、かわいそうな女だな。」



事の顛末を全て知った涼太は、

ゆきめを哀れむかの様に、蔑んでいた。



「なっ...!」



ゆきめは、目を見開き、思わず銃口を降ろしてしまった。



そして、彼女がこれまで感じた事のない、

涼太の瞳の奥にある冷たさに恐怖した。



「あんたに...何が...!」



明らかに、彼女は、動揺の色を隠せなかった。



そのスキを、涼太は見逃さなかった。



ーーパァン!



涼太は、ゆきめの持っている拳銃の

ハンドルを狙い撃ち、彼女の手から銃を弾いた



「うっ...。」



その反動で、彼女は手首を痛め、顔を歪ませた。



すかさず、涼太は、彼女に急接近した。



ゴム弾で両足を撃ち、足元を崩す。



そして、彼女が膝を教室の床に着かせた所で、

涼太は、彼女を万歳のポーズで固定し、

黒板に彼女を押し付けて、無力化させた。



ゆきめは、恥辱を受ける形になった。



彼女の生殺与奪の権利は、涼太が握っている。



「好きに...しなさいよ...。」



彼女は、諦めた口調で、涼太にそう告げる。



しかし、涼太は、至って冷静だった。



彼の興味は、彼女を犯して、性欲の捌け口にするとか、

そういう低次元のレベルのモノではない。



「古田さんはさ...」



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