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天秤Vol:18



ーーふぅ...何とかやり過ごせたかな...。



屋上からの脱出に成功した竜司は、

体育館の隣にある倉庫に忍び込んでいた。



ひとまず、窮地を脱し、安堵した。



「こういう事もあろうかと...」



ゴム弾が込められている拳銃を見ながら、竜司は、呟いた。



母親との対峙して以来、竜司は、有事の際に備えをしていた。



夢の中では、イメージをすれば、

その場で、すぐにモノを用意できるのだが、

備えあれば憂いなしだ。



予め、身の危険を守る為に、

制服の内ポケットに銃をひそませていた。



ーーアドリブだったけど、うまくいった...。



ゆきめに見つかる直前、竜司は、

彼女の機密情報が入っている封筒を

すり替えていた。



今頃、ダミーの封筒を、ゆきめが確認している頃だ。



怒り狂い、躍起になって、本物を取り戻しにくるだろう。



(しかも、殺意マシマシで、襲ってくるはずだ。)



ーー探せ!侵入者だ!



近くで、武装した生徒達の声が聞こえる。



竜司は、彼女の防衛システムが来る前に、急ぎ、封を破いた。



数枚からなる、A4サイズの資料だった。



「これは...!」



竜司が、ゆきめの秘密を知った瞬間、



ーーカチャ。



竜司の後頭部に銃口を当てられる感覚がした。



今、撃たれでもしたら、ひとたまりもないだろう。



「見つけましたか。」



しかし、その人物の声に、竜司は、ガックリと項垂れた。



ーーはぁ...この声は...。



竜司が振り向くと、案の定、聖女であった。



あれだけ騒がしかった外も、彼女が現れた瞬間、

水を打った様に静まり返った。



ーーやったのか?



いや、そんな無益な殺生をする聖女ではない。



きっと、時空間をとめられる、

トンデモ能力でも使って、竜司以外の人間の動きが、

今、停止しているのだろう。



ひとまず、気配を感じさせずに現れた

聖女の知らせに、竜司は、耳を傾ける事にした。



「ゆきめさんの機密情報を抜き出せましたね。」



「今回のミッションは、ほとんど達成したも同然です。」



「あとは、夢の彼女をどうするかは、竜司さんの自由です。」



特に、彼女の秘密には触れず、今後の流れを伝えるだけだった。



「竜司さんの存在がバレてしまった今、

彼女の潜在意識が、竜司さんの命を狙っています。」



「脱出しても、良いでしょう。」



「私達が最初にいた教室を覚えてますか?」



ーーコクリ。



竜司は、頷いた。



「そこに、脱出口を用意しました。」



「到着すれば、すぐに、わかります。」



どうやら、今回は、失血死とか、転落死とか、

酷い死に方をせずに、済みそうだ。



「それと、もう一つ。」



ーーなんだか嫌な予感しかしないのですが...。



竜司が、胸を撫で下ろしたのも刹那、

聖女のこの良く使う言い回しに、嫌な予感がした。



「まもなく、夢の崩壊が始まります。」



「教室や食堂、あらゆる場所に爆弾を仕掛けました。」



「このお話の後、まもなくです。」



ーー今度は、爆死かよ!



竜司は、心の底から、ツッコンだ。



また、理不尽な死に方をするのは、ごめんだ。



「引き続き、彼女の武装化した意識達から

逃げないといけませんが、掻い潜りながら

辿り着いてくださいね。」



「それでは。」



ーーパチン!



指を鳴らす音が鳴った後、聖女は、いなくなった。



その直後だった。



ーーゴゴゴゴゴゴ!!!



地面が、いや、空間全体が揺れ始めた。



ーーズドーン!!ボーン!!ドカーン!!



建物が爆破される音が聞こえた。



「もう始めやがった!」



強制的に、脱出せざるを得なくなった。



ーーピッ、ピッ、ピッ...。



そこに倉庫内に響き渡る、一定のリズムを

刻んでいる電子音が、竜司の耳に入ってきた。



「ま...まさか...。」



振り向くと、そこには、時限爆弾があった。



ーーピッピッピッピ...。



しかも、その間隔はどんどん短くなっている。



「やばい!!」



竜司は、大急ぎで、ダッシュして外を出た。



ーードゴーン!!



爆発音と共に、倉庫が丸ごと吹き飛んでいた。



ーー容赦なしかよぉ!!



竜司は、アクション映画の世界に飛ばされた気分だった。



「いたぞ!」



追手に見つかり、おちおちと、行き着く暇もない。



竜司の夢の脱出劇が始まった。



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