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天秤Vol:17



「私の大事なモノを、返してくれる?」



ゆきめにとって、よっぽど知られたくないのだろう。



言葉に重みを乗せ、涼太にプレッシャーをかける。



「..。」



涼太は、沈黙していた。



ただ、彼女の瞳を刺す様に見据えていた。



ーーギリッ...。



ゆきめは、涼太の態度にイラつき、歯切りした。



「何なのよ...。」



「どうしてよ!なんで怖がらないのよ!?」



「わかってるの?今、あなたの命は私の手の中よ!」



彼女の言葉は、その通りだ。



状況的に、涼太は負けを認め、彼女の要求を呑み、

地を這って、許しを乞う姿を見せる、



そのはずだった。



しかし、相手が悪かった。



どんなに武装しようが、格の違いが立ちはだかる。



涼太にしてみれば、幼稚な小娘が逆ギレして、

暴れている様にしか見えなかったのだ。



だが、竜司の内心では、冷や汗だった。



たとえ、格上の立場であろうと、

竜司は、まだその立場に慣れていない。



ぶっつけ本番の形で、対峙している。



それを相手に悟らせ、調子づかせまいと、黙っていたのだ。



過去の負け犬根性から抜けようと、彼自身、必死であった。



ーーパァン!



ゆきめは、銃弾を一発撃った。



弾丸は、涼太の頬をかすめ、少量の血が流れた。



「死にたいの!?」



有利な立場なはずなのに、ゆきめは動揺していた。



それでも、涼太は、顔色一つ変えず、

ゆきめの顔を、凝視しているだけだ。



「そんなに返してほしければ...」



その言葉を合図に、涼太は行動を起こした。



「返してやるよ、ほら!」



封筒の中に入っていたであろう、

何枚もの紙を、バラバラに宙に放り投げた。



「あぁぁ!」



ゆきめは、慌てふためき、乱心した。



「ぜ...全部、回収するのよ!」



周りにいた学生達も、ヒラヒラと落ちてくる

ゆきめの機密情報が記された書類に気を取られた。



その場にいた全員が、上空へと注意が逸れた瞬間、



ーーうわぁ!!



男性の生徒一人が、突然、叫び、後ろに倒れた。



ーーあぁ!きゃあ!



次々と、ゆきめの取り巻く生徒達が、倒れる。



「な...何が...!」



ゆきめは、突然の異変に、思考が止まった。



が、その原因は、すぐに判明した。



涼太が、学生服の内ポケットに忍ばせていた、

拳銃を取り出し、こちらに発砲していたのだ。



ーーパァン!パァン!



的確に、生徒達を狙い撃ち、屋上から逃走を図ろうとしていた。



「逃がさないで!」



ゆきめの合図と共に、彼女の防衛システムが機能する。



次々と刺客が、涼太に銃弾を放つ。



だが、涼太が先手を打っていたので、行動が早かった。



ベンチを壁に使い、弾丸の雨を逃れた。



屋上のドアに転がり込む様に、逃げ仰せた。



ーーギリ...!



奥歯で歯軋りさせ、悔しさを滲ませる

ゆきめであったが、まずは、彼女の秘密を

回収する事が先決であった。



急いで、全部の書類をかき集める。



全て揃っているのか、無事を確認した時、

ホッとした矢先だった。



ゆきめは、顔を歪ませ、苦虫を潰す表情をした。



「やられた...!!」



回収したはずの書類は、全て真っ白だった。



まんまと、涼太にいっぱい食わされたのだ。



しかも、凶弾に斃れたはずの生徒達を

よく見てみると、一切の流血がなかった。



落ちている薬莢を確認すると、中身はゴム弾だった。



涼太に出し抜かれた挙句、情けもかけられる

二重の屈辱を、ゆきめは味わされた。



「殺してでも、取り戻しなさい!」



彼女は叫び、狂った様に、涼太を追い、校舎内へと入っていった。



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