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天秤Vol:12



ーーさぁて、席を確保しないと...。



ゆきめに食事を誘えたはいいものの、

大勢の生徒達で賑やかな食堂で、

空いた席を見つけるのは難しそうだ。



「あのさ...。」



空席を探す涼太に、ゆきめが話しかけてきた。



「私、あまり食堂では食べないから、場所を移動しない?」



「あぁ、別に構わないよ。」



そう涼太が返事をした途端、場所が一変した。



ーーここは...!?



突如の転移に、竜司の気が動転した。



周囲を見渡す限り、校舎の屋上に瞬間移動したらしい。



どうやら、聖女を除けば、夢の主は、

この空間を自由自在に操作できる様だ。



ただ、ゆきめの様子を見る限り、

状況が変わった事に、驚く様子がない。



特段、態度は変わらず、ベンチへと向かっている。



おそらく、彼女の感情に変化があったのだろう。



それに伴って、場所も変わった。



しかし、ゆきめは無自覚だ。



彼女の潜在意識が、屋上に移動させたのだろう。



同時に、竜司は、すでに、今回のミッションの

フロントラインに立っている事を実感した。



つまり、ゆきめは、涼太の好意にホレた。



明確に、恋愛感情を抱いたのだ。



その結果、彼女が許可した人のみが入れる

より深いパーソナルゾーンへ、涼太を招待した。



これは、彼女の機密情報を抜き取れるチャンス。



ーーだが、ヘタをすれば...。



たちまち、屋上のドアや窓から、防衛システムなる

掃除屋が現れ、竜司を排除しようとする危険と隣り合わせだ。



ここからは、言葉一つでも、命のやり取りになる...。



竜司は、気を引き締め、ゆきめの座るベンチへと向かった。



「初めてきたけど、綺麗な景色だね。」



涼太は、彼女に、屋上から見える景色の

感想を伝えながら、座った。



すでに、彼女は、牛乳パックを両手で持って、

ストローを咥えながら、食事を楽しんでいた。



「俺は、人混みがあまり好きじゃないから、

ゆっくりと落ち着く場所が好きだな。」



これは、竜司の本心だ。



先の数百人規模の生徒がいた場所から、

人のいない、青空を眺めながら、ベンチに座って

くつろげるのである。



ホッと安堵する感覚が、人混みが苦手な竜司の心にあった。



その言葉に呼応して、ゆきめが反応した。



「でしょ!でしょ!私の好きな場所で、いつも来るんだ!」



彼女の表情は明るく、とても嬉々としていた。



「意外だね。」



「ゆきちゃんは、誰とでも仲良くできそうだし、

ああいう賑やかな場所が好きだと思った。」



「いつも来るってことは、昼休みとかに?」



涼太は、彼女のギャップに驚きつつ、掘り下げてみた。



「私、あまり友達がいないしね。」



「学校の勉強も嫌いだし、サボる為にいる感じかな。」



「私の見た目がコレだから、避けられてるのかもね。」



少しずつ、彼女の闇が、現れ始めていた。



「まぁ私、面食いだし、イケメンにしか興味ないから。」



「それに男子からモテてるし、僻みとかあるのかも。」



彼女の言葉に、嘘や偽りはなかった。



現実世界の古田ゆきめも、性別・年齢問わず、大人気だ。



ただ、彼女の言葉は、露骨で、棘味があった。



「そっか、俺も、ゆきちゃんのギャルな感じいいと思うよ。」



無難な回答を涼太は選んだ。



「そう?わざとやっているけど、褒められたのは初めてだよ。」



ゆきめの返事は、とても嬉しそうだった。



しかし、竜司の中で、彼女から聞こえる

言葉の中身に、違和感を覚え始めていた。



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