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天秤Vol:2



「その通りです。」



聖女は、竜司の答えを肯定した。



「母親は、潜在的に、竜司さんを抑圧していました。」



「生前、彼女は、竜司さんに、彼女の

理想とする、男性象を求めていました。」



「これは、家庭環境が良くない女性や

シングルマザーに、多く見られる傾向です。」



「いってしまえば、息子として見ていません。」



「彼女達が要求する、一人の男性を子供に求めています。」



「本人も無自覚に、無意識に、やってしまっています。」



「竜司さんの母親も、その一人です。」



「彼女が求める行動や発言以外は、一切、認めませんでした。」



「その結果、竜司さんは、これまで、

人との会話はおろか、言葉を発する事も、

困難でした。」



「特に、女性に対する姿勢が、顕著です。」



聖女からのフィードバックに、竜司は、思う事があった。



ひとえに、竜司という存在は、母親に抹消されていた。



ライトな言い方をすれば、レンタル彼氏の扱いだ。



それを、まだ物心もついていない頃から、

彼の母親は、竜司に、強制していたのだ。



彼女にとって、都合のいい男の役割を求められていた。



ーー冗談キツいわ...。



竜司の心に、嫌悪感を覚える。



いわば、母親に、疑似恋愛をさせられてきたのだ。



現実の世界で、男の子の子育てに苦戦し、

感情が沸き立ってしまう母親世代の多くは、

聖女の語る、疑似恋愛に陥りやすい。



表面的には、我が子に対して、愛情を注いでいる、



そのつもりであろう。



しかし、彼女達の潜在意識では、全く様相が異なる。



竜司の母親の様に、息子に、ロールを求めるのだ。



たとえ、まだテーブルの脚を掴みながら、

やっと、立ち上がれる年齢であっても、

夢の中の彼女達には、免罪符にならない。



むしろ、非力な存在だからこそ、利用するのだ。



彼女達の、過去に失敗した恋愛、

劣悪な家庭環境、現在進行形で

うまくいかない家族関係...



マイナスな出来事があると、それらに引っ張られてしまう。



「こんな男性がいたら...」



そして、いつしか、彼女達の中で、妄想が芽生える。



まるで、ドラマや御伽話に登場する、

イケメン俳優や王子様を求める様になるのだ。



しかし、現実には、パーフェクトな男性はいない。



だから、ピエロでもいいから、

彼女達は、理想の男性を演じてくれる

相手を求める。



それが、我が子であってもだ。



竜司の母親は、育った家庭環境が悪く、

また、結婚した相手も間違え、毎日の

生活が地獄であった。



そのため、竜司を犠牲にしてでも、

彼女の理想の男を要求する様になったのだ。



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