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ファーストミッションVol:17

10/2更新しました。



ーーバタン!



扉は、無造作に閉まり、中は閑散としていた。



「ホント...。何も変わっていないよな.。」



竜司は、およそ20年以上ぶりに訪れた住まいは、

幼い頃の記憶のままであった。



3LDK、洋室が2つと和室が1つ、ベランダ、



内部も忠実に、再現されており、

不可解な点も、違和感もなかった。



「イヤな事しか思い浮かばんなぁ..」



ドアの正面から続く、廊下があるのだが、

それが、竜司に苦い思い出を起こさせていた。



まだ、5歳の時のことだ。



就寝するタイミングで、うっかり、おねしょをしてしまった。



パンツや着替えを、両親に頼んだのだが、

なぜか、逆ギレをされ、殴られた。



そして、漏らした罰で、一晩、廊下に放り出されてしまった。



泣きながら、必死に抵抗したのも虚しく、

玄関からリビングへと続く、通路に放置された。



しかも、そこでお漏らしをした事で、

翌朝、また、怒られてしまったのだ。



その時の記憶が、今でも竜司の心に、深く刻み込まれている。



幻覚か、先程、公園で天真爛漫だった

幼き竜司は、今度は、体育座りで、悲しんでいた。



ーーグスッ...グスッ...



嗚咽を聞かれてしまって、

両親からの制裁が来るのを恐れ、

必死に、声を出さない様に堪えていた。



まだ、小さいというのに、身体は芯から震えていた。



顔は下を向き、早く、朝日が昇るのを願っていた、

地獄の時間を過ごした。



「グッ...」



精神的に、蝕まれていく感覚がした。



とても、胸をナイフで抉られている様な痛み、



竜司は、今にも発作を起こしかねない、胸を抑えた。



ーー呑まれてはいけませんよ。



どこからか、聞き覚えのある声が、木霊した。



気を失いそうになった所に、竜司は、ハッと、正気に戻った。



「ウゥゥ..一体..どこから...?」



まだ、胸の痛みは引いていないが、

天の声によって間一髪、踏みとどまれた。



いわずもがな、声の主である聖女は、

そのまま、竜司の脳内へと語りかけた。



ーーここはもう、夢の中枢です。



ーーお相手の精神性よりも低ければ、

あっという間に、乗っ取られてしまいます。



ーーたとえ、どんなトラウマや過去の投影を

見たとしても、ご自分を保つ事です。



ーー感じているかとは思いますが、ターゲットは目前ですからね。



竜司は、玄関から続く、廊下の正面にある

ドアから、その気配を感じ取っていた。



ーーこの扉の先に、何かいる..!



確信的に、そう捉えていた。



だからこそ、目の前で倒れる訳にいかない。



ここで、悪夢の象徴を、終わらせなくてはならない。



その使命感が、竜司を意志を強くし、気を取り戻した。



フラついていた身体を起こし、



「フゥー!!」



頬を膨らまながら、肺から、息を吐き切った。



もう一度、深い深呼吸と共に、心を整えた。



そして、玄関を上がり、まっすぐ歩いた。



扉の前に立つと、間髪入れず、開けた。



「必ず、打ち克ってやる...!」



断固たる決意と共に、竜司は、リビングへと入室した。



ドアを開けた瞬間、その人物は、もう目と鼻の先にいた。



「あんたは...」



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