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ファーストミッションVol:14

9/24更新しました。



一旦、因縁のマンションから踵を返した、竜司。



背中越しからでも伝わる、威圧感を

ヒシヒシと感じながら、歩き始めた。



ーーフゥ...。



とりあえず、問題の先送りではあるものの、

プレッシャーから解放され、一息ついた。



それは、気休め程度で、仮初の休息にしか過ぎない事。



竜司は、嫌というほど、理解していた。



それでも、一度、休止せずにはいられなかった。



水中に潜っていて、途中で息が苦しくなり、

新しい酸素を得ようと、水面に顔を出す、



このまま潜り続けたら、溺れそうに、追い込まれていたのだ。



だが、同時に、そんなに待ってはくれないとも、わかっていた。



直に、また、グイッと、潜水させらされ、

息継ぎも許されない、苦行が、待ち構えている。



「重いなぁ..。」



竜司は、自身の抱える重荷に対して、ゲンナリと

ぼやきながら、負の遺産に背を向けて歩き出した。



ーーさぁて、どうすっかな...。



歩き出したはいいものの、特に、当てがあって、

進み始めた訳ではなかった。



苦悩に満ちたゾーンから脱出はすれども、

どう足掻いても、居心地が悪いポイントにいる事に

変わりはないからだ。



「そういえば...アソコはあるかな...?」



ふと、竜司は、とある場所を思い起こした。



彼の中では、すでにどこにあるかはわかっており、

後は確認するだけなのだが、10歩進めただけで、

それがあるのを、視認できた。



そこは、彼が、幼い頃、よく遊んでいた公園があった。



地蔵公園という名称の付けられた公園は、

実際には、お地蔵さんはいない。



しかし、彼にとっては、地面に足を固定し、

くっつけてでもいたい、避難所でもあった。



家や小学校の時のイジメのツラさから現実逃避できた、



17時の夕方のチャイムが鳴い、

周りの子供たちが帰宅する中、彼だけは、

家路につくのを躊躇していた。



また、何を言われ、何をされるのか、怯えながら

時を過ごさないといけない、苦痛が待っているからだ。



しかも、門限が設定されており、

もし、定刻通りに帰らなければ、

暴力が振るわれる事になっていた。



帰っても地獄、帰らなくても地獄の、板挟み状態だった。



まだ幼かった竜司は、恐怖に怯え、足がすくんでいた。



いつも公園の中央にある、時計の針を事あるごとに

チラチラと見てしまい、遊びに夢中になれなかった。



結果、門限が迫っても、帰られない状況が続き、

日常的に、親からの虐待を受けていた。



まさに、ドン詰まりの幼少期だった。



彼にとっては、あまり良くない記憶の

一つではあるが、それでもまだ、マシな部類だった。



竜司は、徒歩1分程度で、到着した。



ーードクン...。



わずかな時間と距離なのだが、彼の心臓が

一段階上がるのを感じていた。



ギュッと、自然と身体にも力が入り、

当時の事を思い出し、胸が苦しい、



その痛みともいえる感覚のまま、

いつも遊んでいた、入口から右手側にある

ブランコを見つけ、座り、辺り一帯を眺めた。



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